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楽日を迎えた。
10日間はいつもあっという間だ。この劇場までの道とも、次に声が掛かるまでお別れだ。 このメンバーと、りあ姐さんと今度一緒になるのは、いつだろう。 今日じゃなくてもいい。でも、いずれ、ニイさんの話を聞かせてもらいたい。 10日間の間、ずっと思っていた事だ。だけど、初日と今とでは、その内面の気持ちは全然違う。 初日は、ただの嫉妬心だった。今の気持ちは・・・言葉にするのは難しい。 ただ、りあ姐さんと仲良くなりたい、そう思っている。 そんな気持ちの変化が起きた自分自身に、少し驚いてもいた。 「あれ・・・?」 劇場の前に、りあ姐さんが立っていた。 スタッフが遅れて、まだ入口が開いてないのかな?と思いながら、私も劇場前に着く。 「おはようございます」 りあ姐さんに声を掛けると、りあ姐さんはびくっと身体を震わせ、私を見た。 泣いていた。 「どうしたんですか?」 「・・・なんでも、ないの。ごめんね。変な顔見せて」 私はりあ姐さんの視線の先を見る。 スタンド花だった。今日になってひとつ増えている。 ひとつは、初日からずっと飾られていた、りあ姐さん宛てのファン一同のもの。 そしてもうひとつも、りあ姐さん宛てのものだった。黄色の花が基調になった、華やかでかわいらしいスタンドだ。 送り主の名は、Nプロモーションと書かれていた。 Nプロモーション、その名前は私も知っている。 「今日、楽日なのに。もったいないなぁ、もう」 りあ姐さんは、そう言って笑った。でも、涙は止まらず、泣き笑いの状態だ。 「喜んで欲しかったんですよ、きっと」 私の口から、自然にそんな言葉が出た。 りあ姐さんは私を見る。 「たとえ一日だけでも、りあ姐さんに喜んでもらえればいい、そう思ったんじゃないですか?」 私はなんで、こんな事を言ってるんだろう。 でも、ニイさんなら、やるかもしれないな、とも思った。 りあ姐さんは、花にそっと触れながら、小さい声で喋った。 「・・・だね」 私に話しかけたのかと思い振り向くと、りあ姐さんは慌てて言った。 「ごめん、今の独り言。気にしないで」 私は頷く。 「よし、楽日だね。今日もよろしく」 「はい」 私とりあ姐さん、二人並んで劇場に入った。 ―私は反芻する。りあ姐さんの独り言を。 「見つけてくれたんだね」
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