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葬送

平野啓一郎著「葬送 第一部(上・下)」「葬送 第二部(上・下)」

やっと読み終わった。

かなり難解な革命前後のヨーロッパ時代背景と、
活躍する芸術家たちの緻密な心理描写。

孤独あり、恋愛あり、対立ありの様々な人間模様が、
芸術論や社会論とともに複雑に描かれています。

そもそもこの平野啓一郎という作家は、
若いのに難しい言葉や表現を好み、
最近の人気作家とは確実に一線を画している。

今までも何回か彼の本を手に取り、迷った挙句棚に戻してきた。
が、今回いよいよ私の好きなふたり、
フレデリック・ショパンとウージェーヌ・ドラクロワが主人公とあっては、
読まないわけにはいきません。

文庫で登場したのを機に挫折しないよう4冊まとめて買った。
ショパンを聴きながら、なんて幸せな時間が・・・、
という淡い期待は読み始めてすぐに消え去り、
ちょっと読んではすぐ眠くなって寝てしまう。
1ページがなかなか進まないのです。

タイトルから推察の通り、
サンドとの愛人関係の破局と肺炎に苦しむ晩年のショパンを中心に、
画壇に認められずに大作を描き続けて消耗していく友人ドラクロワ。

ふたりの希代な天才が、奇しくも同時期のパリに居合わせ、時代と人間関係に苦しむ姿。
読んでいて楽しいはずが無い(笑)。
映画「アマデウス」や「真珠の耳飾の少女」にしても、同じ。
結局は生きるために必死だったり苦しんだりして、
きっとそれらの何もかもがあってこそ、
誰が観ても聴いても「美しい」作品が出来上がっているのですね。

普段の素晴らしい作品からだけではとても想像できない背景が、そこには必ず存在する。
だからこそ人は、苦しいのは普通の人だけではないし、
苦しまなければ傑作は生まれないことに共感するのではないでしょうか。

それにしても、著者は本当によく研究しているし、
それを基に豊かな想像力と細かな描写力で、
まるで当時共通の友人が書いた本の
翻訳を読んでいるような気分になります。

もしかしたらもっと軽いタッチやリズムで、
同じようなテーマを書ける人がいるかもしれませんが、
書こうとする人がいないのか。
いや、やっぱり書ける人がいないかもしれませんね。

とにかく今の時代の作家の中では貴重な存在です。
だけどしばらくは他の作家の作品を読むのは間違いないでしょう(笑)

ショパンやドラクロワが心から好きな人、
もしくは時間に余裕があって一気に読める人は、
ぜひご一読ください。

閉じる コメント(4)

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平野啓一郎さんは 難解な表現をする作家だな とあたしも思います ショパンとドラクロワを描くのに 薄っぺらな表現でも興ざめしそうですから 適者だといえるのかも? ちょっと手にとるのは躊躇うけれど(笑)

2006/3/3(金) 午前 1:43 bsd*x2*6

nazieさん>年末年始の休みにと思って思い切って手に取ったのに、こんなにかかるとは・・・。私もこのテーマじゃなければ、躊躇い続けていたと思います(笑)

2006/3/5(日) 午後 1:10 [ 森比古 ]

ヨーロッパ若しくはアメリカで映画化されたら(作家が日本人ですからむつかしいでしょうが)観てみたいです^0^超大作すぎて読破する自信が無い^0^;

2006/3/20(月) 午前 11:27 qum**o11*7

qumikoさん>たしかにヨーロッパで映画化されてもおかしくないくらい、映像が目に浮かびます。心理描写は難しいでしょうが。

2006/3/28(火) 午前 11:06 [ 森比古 ]


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