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今日は、少し個人的私情の入り混じった、ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ氏による
バッハ『チェロ無伴奏組曲』のDVDをご紹介します(笑)。
最近『チェロ無伴奏組曲』に取り組みはじめてばかりですが、
世の偉大な巨匠達は、この曲に対してどのように感じておられるのだろう…。
ふつふつとそんな疑問が沸いてきて、もう一度このDVDを観ています。
このDVDを買ったのは、もう1年ほど前。
無謀にもチェロビギナーのくせにゴリ押しで参加させていただいた
2005年の国際チェロコングレス・イン・神戸の1000人のチェロコンサートで
生ロストロポーヴィッチ氏(ちょっと変な言い方ですが)に、
お目にかかったのが思わぬ動機になりました。
1000人のチェロコンサートは、神戸の震災復興のために、串カツ屋のオーナーM氏が
当初手弁当ではじめられたイベントでその年が3回目。
この事業のことをロストロポーヴィッチ氏が耳にされ、その趣旨に賛同しぜひタクトを
振りたいと熱望されたことがきっかけで、国内外の有名チェリストが集まり参加する
一大イベントにふくらんだのだそうです。ご参加された方は、ご存知ですよね。
ヘタッピキmorinは、先生に手取り足取り教えていただきながら、
1年間にわたる地域公式練習にチェロを担いで参加しました。
恥ずかしくて口に出来ないぶっ飛び失敗弾を何発も暴発しながらも、
当初音楽記号が分らず鼻血が出そうだった難解な10曲目をなんとか、
弾いているかんじ…にまでたどり着けたのは、先生や家族の協力のたまもの。
え…っと、何の話でしたっけ。1000チェロの話じゃなくて、ロストロポーヴィッチ氏のこと
でしたよね。
で、ロストロポーヴィッチ氏に初お目にかかったのは、当前日のリハーサル。
恐らく、パリのご自宅から飛行機でこられたんでしょうが、
休む間も惜しんで、すぐにリハーサルに入りたいとのご要望。
もう70歳半ばのご高齢だというのに、なんという気力なんでしょうか。
1000人あまり集まったアマチュア・チェリストたちはそれぞれ12パートに分れているのですが、
大人数なのでリハでは4会場に分散して練習します。
マエストロ、ロストロポーヴィッチは、この4会場をそれぞれ(当初30分づつの予定だったのですが)
1時間あまり、駆け回って指示されたのです。
いやぁ、これには正直びっくりしました。
なにせ、はじめは世界の巨匠ロストロポーヴィッチ氏のことを、
ご高齢で偉大で、高みを仰ぎ見るようなイメージを抱いていたんですが、
とてもフレンドリーでアグレッシヴなんです。
マエストロが指揮してくださるのは演奏曲10曲のうち、ペルト作曲『フラトレス』、
シェドリンがこの1000チェロのために作曲してくださった『ハムレット・バラッド』、
クレンゲル作曲『ヒムヌス』。
マエストロは(少し鈍りのある?)英語で指示されて、それを通訳者の方が日本語で
会場のチェリストに伝えるという形で、リハは進行していったのですが、
なかなか意図が伝わらなかったり思ったような音質、音量、リズムでなかったりすると、
顔をあからめて、「ニェット、ニェット!!」(だめだめ!)と思わずロシア語が。
時にはジョークをはさんだり、「タリララ〜♪」と歌ったり。
予定時間ですよと、進行係のかたが時計をさされても、「ニェット!」
そんなこんなで、あっという間に1時間が過ぎてしまいました。
このリハは、本当に楽しかった!!!
こんなヘタッピキでも、感動です。マエストロの恐るべき集中力が、
会場のチェリストにのりうつったかのよう。
そして、妥協しないぞという、真の芸術家の底意地を垣間見た気がします。
そして最後は、マエストロは指揮台を降りて、私達アマチュアチェリスト全員に
惜しむことなく暖かい拍手と労いの投げキッスを。
これで私はすっかりやられてしまいました(笑)。
男らしく堂々とした力強い指導力、気力、忍耐力!またユーモア好きでチャーミング。
そして何よりも音楽や人に対しての豊かな愛を感じました。
音楽家、チェリストとしても凄いのでしょうが、とにかく例えようのないほど
とても魅力的な方でした。
プラハの春で出会って電撃的にプロポーズされたというガリーナ夫人が羨ましい^^;♪
で本題ですが、おわかりでしょ。
安直、不純、単純馬鹿と言われようが、惚れっぽいヤツだといわれようが、
ロストロポーヴィッチ氏のバッハを聴かないわけには、いかないじゃないですか。
このDVDでは各曲の冒頭でロストロポーヴィッチによる解説があります。
バッハについてまるで瞑想するかのように語りかけるマエストロ。
とても細かく、深淵な解釈は、私のような素人でも勉強になります。
演奏会場はマエストロ自らバッハに相応しい場所として探して見つけられた
パリ郊外の古い教会。ピアノやパイプオルガンさへもスラスラの弾きこなす
巨匠の言葉を少しご紹介します。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「私は、今まで2回バッハの無伴奏を録音しています。40年前、モスクワで第2番を。
1960年にニューヨークで5番を。どちらの場合も自分を許せません。
人は過去を振り返り、やらなければよかったと後悔する場合があります。それが人生です。
63才になった今、勇気を奮い起こして組曲すべての録音に踏み切りました。
それほどこの作品は私にとって『特別』です。人生でもっとも大切なものです。」
「この素晴らしい組曲は非常に奥が深く、毎日新しい発見があります。
すべてをわかったつもりでも、翌日また新しい何かを見つけます。」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
これ以上ご紹介すると、著作権に引っかかりますね。
ご興味があれば、一度みてみてくださいね^^。
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すばらしい方のようですね。すごーい人って、みな「フレンドリーでアグレッシヴ」のような気がしますよ。
2006/10/19(木) 午前 11:57 [ あるこ ]
テレビで1000人のチェロコン見ました。どうやって、まとめられたのか、スゴイなあと思って見ていました。感動が伝わります。参加されたんですね。私もいつかそのようなチャンスに出会える時のために、レッスンに励もうと思うのでありました。
2006/10/19(木) 午後 1:45 [ tif*any*5*44 ]
Мorinさんの音楽に対する情熱は並々ならぬものを終始感じながら読ませていただきました。さすが、芸術家は違いますよね。マエストロさんについてはこんな凄いかたでも後悔はあるのか。。という感じです。ま、私なんぞの後悔とはレベルが違うと思いますが。。それが人生。。深い言葉です。
2006/10/19(木) 午後 3:29 [ - ]
アルコさん>本当に、オーラが凄かったです。それにお歳を忘れてしまうほど、生き生き溌剌としていらっしゃったです。下手したら私達の方が老けて見えるかも。いつも何かを追い求めていく気持ちが、若さの原動力!いくつになってもそうありたいですね!
2006/10/19(木) 午後 3:34
世の中お上手なチェリストさんは五万といらっしゃるのに、私なんぞが末席であれ、一緒に空気を味あわせていただいたことは、ホントにラッキーだったと思います。一生の大切な想いでにして、また精進したいです。
2006/10/19(木) 午後 3:36
tiffanyさん>私も参加は無理かと最初思いましたが、ダメもとでチャレンジしてよかったと思います。1000チェロは地方の公式練習もあるし、参加するには家族の協力も、重要なポイントです。参加できたことに感謝して、しばらく充電、精進しようと思います^^。
2006/10/19(木) 午後 3:38
じゅりさま>いえいえ、情熱というほどの意志の強さがあればいいのですが、まだまだ…。でも、こういう凄い方と間近になると、ほんのちょっとした事でも、勉強になります。音楽以外の人生に対する姿勢というか…。
2006/10/19(木) 午後 3:43
過去を後悔のない人生なんて、ありえませんよね。だから前に進める。私も巨匠の言葉、そんなふうに感じます^^。
2006/10/19(木) 午後 3:48
このDVDと同じ、LD(←ふる〜?)が親の家にありました。何か説明のあとに6番のプレリュードを弾いてたような・・・。でも、もちろんLDプレーヤーなど私は所持しておりませんので、こちらでは観ること叶わず、残念!1000人のチェロ、いらしたんですね〜地元ですよね。うちの桶の面子も数人行ってたようですが、チェロは、世界の大巨匠がアマもプロもなしで教えてくださるプロジェクトに恵まれてると思います。チェロでよかった〜♪チェリストに悪人なし!(ほんまかいな〜)
2006/10/22(日) 午前 0:47
チェロリストさま>おお、やはりこのDVDお持ちでしたか。LDといえば、私も持っていますよ他ので。あれ開発した人、恨めしいですよね…。ほんとにロストロポーヴィッチさん、チャーミングでカッコよかったんですよ〜〜。
2006/10/23(月) 午後 4:26
1000人のチェロにホントは参加資格なかったのです(当時経験1年…。)なのに大騒ぎして、まわりを振り回してしまい、ご迷惑かけてしまいました(反省)。でも、上手い下手関係なしに、どうしても●十歳の記念に参加したかったのです。結果、参加してよかったと思います^^。
2006/10/23(月) 午後 4:29
1000人以上ものチェリストが一斉に弾くという事は、当然自分の音などなかなか聞き取れません。でもオーケストラ経験皆無の私にはとてもいい経験になりました。指揮台から離れれば離れるほど、音のテンポがずれ易くなるとか、速いテンポに人は引きずられるものだとか、チェロは大きい音より小さい音を出す方が難しいなどもろもろ…。でも最後の最後で1000人が一斉にピアニッシモを弾いた時、なんだか鳥肌が立ちました^^♪
2006/10/23(月) 午後 4:33
素晴らしい!「求めよ、さらば与えられん」で、その熱意が報われて、とても素敵な経験をされたようですね。確か、あれってオーディションがあるんですよね。それ受けるだけでも勇気ありますよ。時差が出るしなかなか音も聞き取れないというのは、そうらしいですね。「白鳥」でも10番チェロとかあったで〜と人から聞きました。しかし1000人も集まって曲になるというのは、やはりチェロという楽器ならでは。私も一回、行ってみようかな?
2006/10/26(木) 午前 10:31
celloristeさま>1000人のチェロは特にオーディションなく、自己申告制です(で、私ハッタリうったんです^^;)。だからぜんぜん偉くないんですよ。でも国際チェロコングレスというイベントが、見ごたえありました。堤剛さんはじめ、世界の早々たるチェリストが集まっておられたんですもの。1000人のチェロに参加していない方、チェロ以外の方も沢山お見えでした。マスタークラスも聴講できて、とても勉強になりました。あのイベントを企画された方、すごい!また同様のイベントがあれば、ぜひ一緒にいきましょう^^♪
2006/10/26(木) 午後 9:49