|
先日、とある楽器屋さんに、チェロの弦を張替えるために訪れました。
もう、1年以上弦を張り替えずにほったらかしにしていたんです。
私は、A,D線はLasenのものを、G、C線はスピロコアのものを使用していたんですが、
最近、Lasenのソリスト用の弦が出たと言うので試してみようと。
腕はソリストには程遠いのですが(汗;)、好奇心が強くて。
案の定、店頭にはなくて、数日後の取り寄せ。
お店の方が電話に問い合わせにいかれた間、店内に飾られているいろんなチェロを
眺めていました。
カール・ヘフナー、ストラディバリ、イタリアのオールドもの。。。
手にするのも憚られるお値段がついているので、眺めるに留めておこう。
でもどんな音がするのか弾いてみたいな…。なんて思いながら。
そのうち、なにやら慌しく殿方が駆け込んでこられました。
『あの〜、なんでもいいんです!この中で一番安いチェロ、ください!!』
目が点です^^;。
でも、きっとお教室を開かれている何かで、チェロが緊急にいるのかな?
それともオーケストラの団員さんで、近々に迫った演奏会用の楽器の補充に
こられたのか?
すると、
『どれでもいいや〜。試弾きさせて!チューニングしてね。』とおっしゃるや、
ドカッと椅子に座って、引き出されたのです。
…カエルゲコゲコ(バッハ無伴奏組曲第1番プレリュードを下手に弾くと
こんな音に聞こえます)を。
誠に失礼ながら、私に負けず劣らずのカエルゲコゲコでした…。
『こんなんでいいわ〜。置いておいて。今度取りに来るわ〜。』といって、
その方は帰っていかれました。
人のことなどほっておいて、まずわが身を振り返れと思うものの、
なにかしら、割り切れない気持ちがしました。
数日後、取り寄せた弦を取りにそのお店に行きましたら、
そのチェロに『売約済み。ご試奏はご遠慮ください。』と札がかかって
店頭のショーケースに飾られていました。
なんだかその楽器が哀れで空しい気持ちがしました。
安かろうが(といっても最低30万位します)高かろうが、楽器へのリスペクトが
ないことに、なんとなく腹立ってたんです、私。
どんな楽器でも、量産性で作られたものでない限り、その作り手の思いや作業の
重みがあると思うのですね。
人と同じ。
どんなんでもいいって言われて、その楽器が喜んでいい音出すはずないよね。。。
そんなこと考えてたら、お店の人が
「この間眺めていらっしゃったゴフリラータイプのヘフナー、弾いてみませんか。」
声かけてくださいました。私のチェロより、少し値のはるものです。
よほど私、弾きたそうな顔してたんでしょうか^^;。
試奏室で浮き浮きして弾いてみました。
楽器が軽く、Myチェロとは全く違った発音と音色。
驚きました。だって、いままでそんなにたくさん他のチェロ弾いたことが
なかったのですから。
表板が薄いらしく(それが良いのかどうかわかりません)、独得のシャリシャリと
いう音がして、面白い。
…でも、私はやっぱり自分のチェロの音のほうが好きだな。。。
楽器ってものによって、こんなに音が違うのか!って、感動してしまいました。
試し弾きしてみるって、本当に大切なことですね。
比べてみることで、自分のチェロの良さも悪さも分るような気がします。
さっき、「楽器へのリスペクトがない」って非難しちゃったおじさんのおかげで、
面白い体験ができました(笑)。
帰って新しい弦に張り替えたマイチェロが、とても愛おしく思いました。
|