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これまでは上になって相手を圧倒したり、突出した機動力で相手を翻弄した戦いが多かった西部。下から突き上げる戦いは珍しい。慣れない事をした訳だが、それでも難なくこなしてしまうのが西部の凄い所だ。菅沢の曳山を強引に突き上げ、ついには3階に届く高さまで突き上げてしまった。前年に山根が横町を突き上げたが、もしかしたらそれを上回る高さや角度かもしれない。角度は約70度くらいで、非常に危険な角度である。菅沢の後担木は完全に地面に着き、後方の車(丸太のタイヤ)は大きく浮き上がっている状態で、菅沢は限界まで突き上げられた形だ。西部が下になって突き上げる・・・これは当事者や観衆にとって全く予想外の展開だろう。
この時点まで西部に主導権を握られ、思うように身動きが取れなくなった菅沢。もしこの状態で横に振られれば、(揺れ具合によっては)先導の若者が落下する危機も考えられたが、場所的に狭く西部は真横に向けて横ロープを繰り出せない。又、西部のハナ(曳山前方部)下部に、菅沢の左右の土台の先端が接触している事もあり、これ以上の突き上げは無理で、菅沢の曳山をひっくり返す事は不可能だ。やや手詰まり感が訪れた西部。後は菅沢を押し込み、その後ろにいる中央通りの曳山に激突させる事か。西部はその大人数を駆使し、このまま前進の構えである。かつて西部は後退する菅沢を大きく押し込んだ実績がある。
一方で限界まで突き上げられた菅沢は、後ろに中央通りが近付いているので、押し込まれる事だけは絶対に避けたい所だ。中央通りは18丁内で最も紳士的な丁内なので、自らぶつけて来る事は無いだろうが、押し込まれての接触だと話は別だろう。菅沢は後方の車に歯止め(砂袋)を掛け、若衆は後方から繰り出されたロープを引っ張る。西部から突き上げを受けた訳だが、これまで辛酸を舐めさせられた宿敵の上になった事も事実。逆にこの状況を利用して、叩き潰すチャンスでもある、若衆が前方部からのロープを引っ張り、西部に対し圧力を掛ける。西部の方が主導権を握っているように見えるが、けっして楽な状況ではない。西部の欄干や縦看板が軋む音が聞こえる。ギリギリの一線での最終盤の攻防。果たしてどのような結末を迎えるのか。
西部ミニ曳山(人形・伊達政宗) × 菅沢ミニ曳山(人形・平知盛)
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