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「日本経済新聞」11月2日付に「法人税、来年度30.99%以下 政府、実効税率下げで調整」と題した記事。
 
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政府は企業の利益にかかる法人実効税率を昨年末に「16年度の法人実効税率を31.33%以下にする」と決めたが、2016年度に今の32.11%から30.99%以下に引き下げる方向で調整に入ったという。
引き下げで減る税収を埋めるため、企業の設備投資を促す目的で時限的に設けた「設備投資減税」などの減税額を減らし、「減価償却制度」の適用基準も見直すなどで財源を確保するという。
政府は「企業の国際競争力を高めるため」に法人実効税率を17年度に20%台に引き下げる方針で、そこに至るペースを早めるのだという。
与党内の議論を経て今年末に固める与党税制改正大綱に盛る。
 
 
 
これまでも、日本の法人税をはじめとした税制の「大企業優遇」のシステムについ当ブログで何回も書いてきた。
 
 
最近読んだ、経済アナリストで、日本金融財政研究所所長である菊池英博氏が書いた「新自由主義の自滅──日本、アメリカ、韓国」(文藝新書)という著作で、「法人税減税の引き下げ論者の見解」について6点に要約して、その妥当性のなさを指摘している。また、「もっとものぞましい法人税のあり方」について明らかにしている。
その部分を引用したい。
 
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①日本へ外資を呼ぶことが出来る。
 日本は世界一の対外債権国であって外資導入は必要ありません。法人税引き下げを実施している国々は、資本蓄積の少ない債務国が外資を導入するために断行せざるを得ないのです。事情の異なるこうした国と比較する必要はありません。さらに、法人税を下げれば日本の株式投資に外資が増えて株高につながるという意見もありますが、法人税引き下げと株高とは関係がなく、こうした減少が起きる可能性に期待することは合理的ではありません。
 
②法人税を下げれば、製造業の海外移転を止められるし、移転した企業も戻ってくる。
 輸出企業が生産拠点を海外に移しているのは人件費が安いこと、その地域での需要に応じやすいことが根本的な要因であって、法人税率には関係ありません。また、海外で順調に機能している現地生産を法人税によって日本に戻すことは期待できない話です。
 
③法人税を下げれば設備投資と雇用が増える。
 この見解が妥当かどうかを検証したデーターがありますが、答えはNOでした。1990年から2012年までの22年間で、法人税は当初の37.5%から34.5%(1998年)、30%(1999年)、25.5%(2012年)と減税されてきましたが、この間の配当金は約3.3倍に増加しているにもかかわらず、人件費は1.2倍、民間設備投資は0.7倍程度にすぎません。設備投資も雇用も増えておらず、トリクルダウン理論が機能していないことが、日本でも立証されています(関西大学教授・鶴田廣巳氏算出の資料)。
 
④日本の法人税は国際的に高すぎるから、国際競争力強化のために下げるべきである。
 これこそ事実に反する見解です。日本の大企業に対する実効法人税は世界でもっとも低いと言えるでしょう。日本の場合、法人税を支払っている企業は全体の3割にすぎないうえに、大企業は「租税特別措置による政策減税」や「受け取り配当金益金不算入制度」などの優遇税率の恩恵を受けているため、法人税の実効税率は極めて低いのです。例えば、実効税率(負担率)は三井住友FG0.001%、ソフトバンク0.003%、みずほFG0.097%、三菱UFJFG0.306%、ファーストリテイリング6.91%、マルベニ7.12%などです(「2012年3月期─2014年3月期の二期分通算」の数字、中央大学名誉教授・富岡幸雄氏の資料による)。
 トヨタノ豊田章男社長は2014年の決算発表の時に「2009年3月期分から収めていなかった法人税を、2014年3月期から支払えるようになった」と発言しましたが、改めて大企業の税優遇措置を知らされたのです。むしろ日本の法人税率は実効税率で見ると「逆累進化税」であって、大企業の方が低く、中小企業の方が高いのです
 
⑤大企業に減税すれば経済の好循環が生まれる。
 安倍首相は大企業に従業員給与を上げるよう依頼するために、法人税減税(2014年度は復興特別税のうち法人分8000億円を廃止)を実行しましたが、その分が従業員の給与にまわる保証はありません。大企業の剰余金が増えるだけで、「法人税を減税すれば地方にも資金が回り、好循環が期待できる」という考えには現実性がありません。
 
⑥法人税減税の原資を「外形標準課税拡大」に求めればよい。
 2015年度の法人税引き下げに関して、この代替財源は明示されていませんが、自民党の税制調査会には原案があるようです。それは、外形標準課税を空かば企業まで全般に広げようという目論見です。そうなると、犠牲になるのが中小企業であることは論を待ちません。「大企業減税、中小企業減税」は、まさに新自由主義の目標でしょう。しかしこれでは、企業格差が拡大するばかりでなく、結局、経済が停滞し、雇用機会も失われるので経済効果はマイナスで、デフレになります。
 
もっとも望ましい法人税のありかたとは何か
 以上を踏まえて、法人税の経済効果を引き上げるためには、どんな政策が効果的なのでしょうか。それは、「最高税率を引き上げるな」「同時に国内に設備投資を実行して正規雇用を増やした場合には法人税を軽減する」({条件付き投資減税)というのが、もっとも効果的な財政政策であると考えます。さらに踏み込むならば、法人税の累進度合いを高くする(米国では課税所得が増えると税率が高くなる)政策を導入すべきではないでしょうか。
 安倍首相は「最初に結論ありき」で法人税の引き下げを断行したようですが、英国でも米国でも日本でも「トリクルダウン理論」は機能せず、「富裕層への減税」「法人税の減税(とくに大企業減税)」で国家の財政収支から赤字に転落し、債務国へ転落した歴史をしっかりと認識すべきです。「法人税を引き下げる」ことは成長戦略ではなく、致命的な国家財政の破壊活動です。
 日本同様「法人税減税と消費税増税」を実践した国があります。ギリシャです。ギリシャは2000年から2010年までに法人税を40%から24%に引き下げましたが、法人税減税による経済効果(トリクルダウン効果)は全くなく、減税された資金は海外へ投資されました。税収激減で困った政府は、こんどは消費税を18%から23%まで引き下げましたが、法人税減税による減収分をカバーすることができず、国の財政に巨額の赤字が累積し、経済破綻の原因になったのです。
 日本が、ギリシャと同じように「法人税減税、消費税増税」を同時に行うとは、あまりにも歴史に疎い愚かな政策であると言わざるをえない──そう思うのは、私だけではないのでしょうか。
                     (以上 引用)
 
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経団連
 
 
 
財界の要求にいつも安倍政権は前のめり、おまけに大半の大手メディアも「日本の高い法人税を早く引き下げないと経済は立ち行かない」といわんばかりの報道だ。
今までも、「雇用の流動化が必要」「消費税を上げなければ高齢化社会はささえられない」「日本の消費税率は低い」だのと報道を信じ込まされているうちに、結局は「金のある者と大企業」にばかりに莫大な恩恵は回って、一方の国民の生活はますます厳しくなり、世界有数の経済大国であるにもかかわらずいつの間にか先進国で最も貧困率が高い国となり、子どもの貧困は最高レベルにまでに至ってしまったではないか。
 
もう騙されてはいけない。
 
 
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財務相
 

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国会で、このような議論が無視されているのは、理解できません。共産党以外の政党は、口先では言いますが、安倍総理の答弁で引きさがります。昔は、社会党の木村喜八郎氏が政府の経済政策金融政策を厳しく追及していましたが、自民党の総理・蔵相は真剣に聞き入っていたそうです。とにかく野党は勉強不足としか言いようがありません。

2015/11/4(水) 午前 4:31 [ 悪人正機 ] 返信する

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悪人正機さま
財界や大企業から献金を受けている政党や政治家たちは、この問題はまともにとりあげられないでしょうね。そこが、日本の税制を歪にしてしまっている要因だと思います。

2015/11/6(金) 午前 2:50 [ TABIBITO ] 返信する

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