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4月7日、アメリカのトランプ大統領は、シリアでアサド政権が化学兵器を使用した攻撃を行ったと断定して、それへの対抗処置としてシリアの空軍基地に対して巡航ミサイル「トマホーク」59発を発射した。
 
サリンなどの化学兵器の使用は、人道上も国際法上も許されない言語道断の残虐行為であることは明らかである。しかし、国連安保理の決議もなく、アメリカが巨大な軍事力によって、外部から一方的に武力攻撃をしかけることは、国連憲章と国際法に反する行為である。
 
アサド政権による市民に対する化学兵器使用が明白なら、国際社会が一致して、それに介入することが必要となるが、その場合も国連憲章7章の「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」にもとづく手続きに従って行われなければならず、今回の米国の一方的な軍事攻撃は、いかなる理由によっても正当化できるものではない。
 
とりわけ、シリアは、シリア政府軍(アサド政権)、シリア反政府軍(反体制派)、クルド人反政府勢力(ロジャヴァ)、IS(イスラム過激派)などによる複雑で激しい内戦状況にあり、外部からの軍事攻撃は、事態を一層悪化させることになりかねない。
 
この問題では、攻撃の4時間後には、安倍首相が米国政府の「決意を支持」し、行動を「理解」すると表明したことも重大である。ところが、攻撃から3日後の10日の菅官房長官の記者会見では、米軍のシリア攻撃に関する国際法上の根拠について「わが国は軍事作戦の当事者ではなく、米国から考えを聴取しているところ」と述べた。スピーディーな「支持」「理解」の表明が、いつものように、米国追随の姿勢でしかないことは明らかだ。
 
 
海外ビジネスメディアサイトの日本BUSINESS INSIDER JAPAN」の4月7日の「米国がシリアへの空爆を開始──金融市場で大きな値動き」と題した記事の中では、次のように書いている。
「世界の金融市場では、金や原油などの価格が急伸。ブルームバーグによると、金相場が一時1%上昇し、1オンス1263.56ドルをつけた。金は4週連続高となるペースで、年初来でほぼ10%値上がりしている。ニューヨーク市場では、原油価格が一時1.7%上昇した。日経平均は午前1112分に18517円まで値を下げ、取引時間中の年初来安値を更新した。株価はその後、ゆるやかに回復している」
今回の攻撃は、トランプ氏がいつも言う「アメリカの利益」にもつながったたのだろうか。
 
 
今回の軍事攻撃については、トランプ政権が誕生した直後から、「シリアへの軍事介入」が囁かれていた。シリアでのロシアによる影響力を排除して主導権を握ることが目的だといわれている。その流れがつくられた背景として、ナショナリストで右派メディアの元責任者としても知られるスティーブ・バノンをトランプ大統領の上級顧問・主席戦略官に据えたことがあるとされる。
 
トランプ大統領は、従来、軍事など安全保障に関して大統領に政策助言をする役割を担ってきた、国家情長官と統合参謀本部議長の権限を排除したため、トランプ政権の安全保障方針はバノン氏の意向次第となっているという。
 
この点について、「日刊ゲンダイ」15日付の、孫崎享氏の連載コラム「日本外交と政治の正体」で「金融界と軍産複合体に乗っ取られたトランプ政権」と題した記事は興味深い。引用したい。
 
イメージ 1
 
 
米国のトランプ大統領が選挙期間中に最も強調していたのは、産業の空洞化を防ぐための「国内工場の強化」と、海外で展開する米軍の活動規模の「縮小」だった。トランプ政権が誕生し、この推進役を担ったのが、バノン首席戦略官である。

バノンは大統領選を参謀とし大統領選を参謀として牛耳った。当初はクリントン圧勝とみられた選挙予想を覆し、トランプガダイトウリョウノ座に就いたのもバノンノのおかげである。トランプはバノンの功績に感謝し、大統領上級顧問・主席戦略官を任じた。トランプ政権の特徴は、権限を各省庁に与えるのではなく、重要政策は全てホワイトハウス主導で行う体制を取っていることである。当然、ホワイトハウスはバノンが取り仕切っていたといっていい。
 
だが、その流れに変化をもたらしたのが、トランプの長女イバンカと娘婿クシュナーである。クシュナーは政権発足当初から、全ての政策や人事に関与できる大統領上級顧問に就任し、イバンカはホワイトハウス西棟に執務室を構えた。イバンカ夫婦が、ホワイトハウスの中で絶大な権力を握り始めたのだ。
 
9日付の読売新聞はこう報じている。
〈米誌ニューヨーク・マガジンによると、バノン氏はシリアの化学兵器では米国民が犠牲になっておらず、米国が対抗措置を取るのはトランプ氏が推進する「米国第一」主義に反する、と進言したという。これに対し、クシュナー氏は、子供を含めた痛ましい被害が出ていることを踏まえ、「アサド政権を罰するべきだ」と訴えた。、トランプ氏は、クシュナー氏の意見に賛成した〉
〈米メディアでは、ホワイトハウス内で、トランプ氏の従来の過激路線を重視するクシュナー氏やコーン国家経済会議(NEC)委員長の対立が激化しており、最近はバノン氏が劣勢に立たされているとの分析が多い〉
 
クシュナーはゴールドマン・サックスなど金融出身の政権幹部と近しく、軍や軍事企業の関係者もクシュナーとの関係構築を急いでいる、と報じられている。
 
ホワイトハウス内部は今、激しい権力闘争が起きており、どうやらトランプ政権は軍産複合体と金融界に乗っ取られたようだ。米国のシリア空軍基地への巡航ミサイル攻撃もこの視点でとらえるべきだろう。
                      (以上 引用)
 
 
この記事の中で、「軍産複合体」について触れらているが、今回のシリア攻撃においては、巡航ミサイル「トマホーク」59発が発射された。
このトマホーク。一発、1億5000万円〜1億8000万円だといわれる。59発なら、合計で90億円〜1000億円。軍需産業と関連企業にとっては、またとない「在庫一掃」だったといえる。
 
昨日、米軍は、アフガニスタンのIS支配地域の地下施設への攻撃として、核兵器を除く通常兵器では最大級の爆弾「大規模爆風爆弾(MOAB)」を使用した。「すべての爆弾の母」ともよばれ、爆弾には、11トンの爆薬が装填されているという。
以前、イラク戦争で配備れたものの使用はされなかったこの爆弾。今回は、実戦ではじめてお披露目された。
この「爆弾の母」のお値段は、約15億円だといわれている。「北朝鮮への威嚇」だとも言われているが、これも、軍需産業にとって嬉しい「在庫一掃」なのだろうか。

結局、兵器や爆弾をつくったら、昔に比べて価格も超高額なだけに「使わなくては」となり、軍需産業の息のかかった政権になれば、「在庫一掃」に走ることになる。
国連で協議したり、「話し合い」などして、うかうかしていると武器を使用するチャンスを逃すので、国連憲章も国際法も無視した「一方的な攻撃」になるのではないだろうか。
 
いずれにしても、莫大な利益を手にするために最新鋭兵器や爆弾の増産が行われ、「在庫一掃」を待ち望んでいる連中がいる一方で、世界では、平和のためのさまざまな努力が行われ、国連機関やNGO、民間団体などが、戦争によって生まれたたくさんの難民に対する支援や救出、医療や食料の提供・援助などを行ってきているのである。
 
イラク攻撃やアフガン攻撃、そして今回のシリア攻撃など、「あいつは悪い。だからやっつける」式の一方的な武力攻撃は、そうした国際的な献身的な多くの努力を無にして、新たな難民をつくりだし、復習と憎悪の連鎖を生み出してきたのである。
 
 
戦後70年以上がたち、紛争の解決のための大国主導の「軍事的対応一辺倒」の繰り返しから、国連を中心にした「平和的解決」の時代へと、国際社会が舵を切るべきときではないだろうか。
 
「在庫一掃」のための攻撃による犠牲者は、いつも、無辜の民なのである。危険な「軍事一辺倒」の政策はもうやめるべきだ。

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在庫処分ネタは昔から言われているが、所詮は揶揄の域を出ない。
国際政治を矮小化し、武力行使を矮小化し、為政者や民主制を矮小化する、非常に詰まらないネタだと私は思う。 削除

2017/4/15(土) 午後 6:15 [ ななっしー ] 返信する

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ななっしーさま
ご意見ありがとうございます。

2017/4/16(日) 午前 1:00 [ TABIBITO ] 返信する

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