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6月1日、トランプ米大統領は、いったん中止を決めた米朝首脳会談を12日に予定通り、シンガポールで開催すると表明した。金正恩氏の側近である金英哲党副委員長とホワイトハウスで会談後した後に、記者団に述べた。

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「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の「短期間での完了」を主張していたトランプ氏は、「6月12日はプロセスの始まりだ。一度の会談で(非核化が)実現できると思わない」「時間をかけても構わない」と述べ、北朝鮮側による「段階的な非核化」という主張に一定の理解を示し、さらに「最大限の圧力」という言葉も「もう使いたくない」と、追加制裁を控える考えも含ませた。
 
4月27日に行われた韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の劇的な南北会談以降、世界は固唾をのんで米朝会談の行方に注目してきた。
しかし、その後、2転、3転した。
◇5月16日に、北朝鮮ボルトン発言を機に、米国の発言など批判。会談中止の可能性を警告
◇5月17日……トランプ氏、「リビア方式にはしない」と発言
◇5月21日……ペンス米副大統領が、「リビア方式」について言及、金委員長が非核化に同意しなければ北朝鮮は「リビアモデルのように終わるだけだ」と発言。
◇5月24日……北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が、ペンス副大統領の発言を「愚か」と非難。トランプ大統領が会談中止を通告。北朝鮮の「強烈な怒りやあからさまな敵対心」を理由にした。
米朝会談が中止されたことについて、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が「非常に遺憾」と述べた。
◇5月26日……南北首脳会談の「電撃的」開催。金委員長は米朝首脳会談実現に「確固たる意思」を表明
◇6月1日……金委員長の腹心とされる金英哲副委員長が、委員長の親書をトランプ氏に手渡す。トランプ氏、会談実施を発表。
 
思い返してみると、今年の3月に、トランプ大統領は、外交トップのティラーソン国務長官を解任し、中央情報局(CIA)長官だった保守強硬派のポンペオ氏を後任に起用。4月には外交・安全保障を取り仕切るマクマスター大統領補佐官を解任し、北朝鮮問題で武力行使も辞さない強硬派とされたボルトン元国連大使が後任に就任した。
 
そのとき、北朝鮮問題は「対話による平和的解決」などできるのだろうかと懐疑的になったのは私だけではないと思う。
 
 
なぜなら、新任のポンペオ氏とボルトン氏は、北朝鮮とイランに対し、「軍事攻撃での政権転覆も辞さない」との姿勢を示すなど強硬派の筆頭格として知られていたからだ。
 
とりわけ、ボルトン氏については、イラク戦争に向けて米国の世論工作を行ったネオコン(新保守主義派)の代表格で、イランや北朝鮮攻撃も排除しない強硬派だ。
 
 
今回の「2転、3転劇」に関して、北朝鮮側に問題があるとする見方もあるものの、それらの要因がアメリカの政権内部の問題だとしている論評の方が目に付く。
2つの記事を紹介したい。
 
 

一つは、夕刊紙「日刊ゲンダイ」の6月2日付(1日発売)で、元外交官で評論家の孫崎享氏が連載コラム「日本外交と政治の正体」で「米朝会談の不安定さの要因は北朝鮮ではなくトランプ政権の内部分裂」と題した一文を書いている。

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米朝首脳会談をめぐって「トランプ大統領の発言が揺れ動いている」として、5月24日に会談中止を発表、その翌々日に「(従来の予定通り)開催を目指す方針に変わりはない」として、現在は、また6月12日にシンガポールで開催される予定となっている。
それに付き従う安倍外交も支離滅裂となり、「会談中止」となると「トランプ大統領は会談を断った。会談を開くことが重要なのではない。核・ミサイル、拉致問題を前に進めていくことが重要だ。だから安倍首相が、トランプ氏の決断を支持すると言った。たった1か国です」と管官房長官が自慢したかと思えば、トランプ大統領が「開催再検討」に変わると、安倍首相は「米朝首脳会談は『必要不可欠』とロシアで演説。
米国の姿勢がどう変わろうが、「ただ追随する安倍外交は世界に醜態をさらしただけ」とする。
 
しかし「米国首脳会談に臨む米国基本姿勢は定まっている」とし、「北朝鮮の『完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄』であり、かつ長期交渉はしない」というものだという。一方で、北朝鮮の側は、「米国は、政権破壊のためにいつ攻めてくるかわからない」と思っており、「完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄」は容易ではない。「米国が真に合意を達成したいなら、米国が北朝鮮を軍事攻撃しない」という保障を与える必要があり、「今の朝鮮戦争の「停戦状況」を「完全終了」にして平和条約を結び、そこに相互不可侵条項を盛り込むことを提案している。
 
そして問題は、「米国には、北朝鮮との合意を望まない強力な勢力がある。それを代弁するのがボルトン国家安全保障短刀大統領補佐官であり、ペンス副大統領だ。ペンスはイラク戦争支持、イスラエルにイラン攻撃の権利があると主張するなど、強硬右派」だとし、「トランプを辞任させ、ペンスの昇格をはかるグループも存在している」というから驚きだ。
 
最後に「米朝会談の不安定さの要因は北朝鮮にあるのではなく、トランプ政権の内部分裂にある」と記事を結んでいる。
 
 
 

もうひとつは、「日本経済新聞」の6月2日付電子版では「米朝会談揺さぶる『タカ派』の暗闘」というワシントン支局の永沢毅氏の記事だ。
 
6月12日の開催をめざす米朝首脳会談に向けて、米国務長官マイク・ポンペオ氏と北朝鮮の朝鮮労働党副委員長の金英哲氏が5月30日、31日の2日間で約4時間に及ぶ話し合いを通じ、非核化の具体的な進め方を巡って突っ込んだやり取りがされた模様だとしながら、トランプ政権の外交に担う2人のキーパーソンについて書いている。 
 
まず、史上初の米朝首脳会談に向けて正恩やその側近である金英哲といった政権最高幹部との協議を一手に担っているポンペオ。ポンペオは、陸軍士官学校(ウエスト・ポイント)をトップの成績で卒業、陸軍に5年在籍した後にハーバード大ロースクール、法律事務所などを経て政界入りした。4期務めた下院議員時代は保守強硬派の若手として名をはせ、それがトランプの目に留まり、米中央情報局(CIA)長官に抜てきされたという。同長官として機密情報に関する日々のブリーフィングを通じ、さらに信頼を得るようになる。
 
そして「その強みは風見鶏的ともいえる柔軟性にある」として、下院議員だった2012年9月には、リビア東部のベンガジで駐リビア米大使らが武装集団に殺害された事件がおきると国務長官のヒラリー・クリントンを鋭く追及したが、その後、自身が国務長官に指名されると、ヒラリーに面会を求めて国務長官の心得について教えを請うたこともあるという。CIA長官時代には北朝鮮の政権転覆に含みを持たせたが、国務長官としてはそうした主張を封印している。
 
そして、ポンペオは現在、トランプの命を受けて首脳会談実現にまい進する。
 
もう一人は、国家安全保障問題担当の大統領補佐官ジョン・ボルトンだ。対北朝鮮で同じ「タカ派」でも、ポンペオとは少し立ち位置を異にする。
 
ボルトンは「首脳会談がうまくいくとは思えない」と、周辺にたびたび漏らしていたという。
なぜなら、ボルトンは、6カ国協議を推進したブッシュ(子)政権時代に国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)、国連大使として北朝鮮の核問題に対処した経験から、北朝鮮が本気で完全な非核化に応じるとは全く信じていないためだ。
 
そして、「北朝鮮の核兵器を除去するには軍事行動が必要」というのが持論で、見返りよりも核放棄を先行させる「リビア方式」にテレビ番組でたびたび言及するのも、「破談」になるのを見越して北朝鮮をあえて挑発したフシがあるという。
 
「5月23日夜、ボルトンは北朝鮮による副大統領ペンスや自身への激しい批判などを受けて米朝首脳会談の中止をトランプに進言した」として、「トランプが中止を決めてからポンペオに伝えたため、ポンペオとボルトンとの関係が緊張しているともささやかれる」とする。
最後に、ポンペオにとって「米朝首脳会談はリスクとチャンスが同居する」として、「54歳のポンペオはワシントンで将来の大統領候補としても名が挙がり、首脳会談と北朝鮮の非核化の成否は彼自身の『野心』の行方をも左右する」
 
一方の、69歳のボルトンは「本音では首脳会談の実現を望まず、むしろ『決裂すれば軍事行動への道が開けると考えている』(米政府関係者)との見方すらつきまとう」との声もある。
 
記事の最後は「2人の暗闘は6月12日を過ぎた後も続くことになる」と、前出の「日刊ゲンダイ」の孫崎氏のコラムの「米朝会談の不安定さの要因は北朝鮮にあるのではなく、トランプ政権の内部分裂にある」とリンクするような言葉で締めくくっている。


 
 
以上の、2つの記事に登場する、ポンペオ氏と、ボルトン氏とはどんな人物か。
 
ポンペオ氏は、保守派の草の根運動「ティーパーティー」(茶会)系議員として、中西部カンザス州で下院議員に初当選。14年には「2000回の空爆でイラン核施設をすべて破壊できる」と主張するなど対イラン強硬派として知られる。また、オバマ前政権下で15年、米国を含む主要6カ国がイランと結んだ「核合意」にも強硬に反対。環境規制や温暖化防止の「パリ協定」に強く反対し、とりわけリビア・ベンガジの米領事館襲撃事件の対応についてヒラリー・クリントン氏(当時の国務長官)を痛烈に批判した。
キリスト教右派の福音派を信仰し、同性愛や中絶、銃規制に反対。イスラム過激派に対する水責めなど拷問の容認主義者として、またイスラム嫌いとしても知られる。
米第一主義など「トランプ主義の熱烈な信奉者」とされ、こうした姿勢がトランプ氏の好感を呼び、16年選挙で4期連続で下院議員に当選した直後、CIA長官に抜擢された。
 
 
一方、ボルトン氏については、米国によるイラク戦争を推進した「戦争屋」とも呼ばれ、ブリンケン前国務副長官が「ニューヨーク・タイムズ」紙への寄稿で、ボルトン氏がかつて専門家の分析に反してキューバの化学兵器計画の存在を主張したことを挙げ、「自身の好戦的な方針を補強するために情報をねじ曲げる習性があり、反対する者を追い出そうとする」と非難、政権の「調整役」にはふさわしくないとしていた。
 
北朝鮮に対しては当初から強硬姿勢で知られ、ホワイトハウス入りする前には、北朝鮮の「体制転換」を呼び掛け、「先制攻撃」を正当化する発言をし、金正恩指導部との直接対話に反対していた人物である。しかも、北朝鮮の非核化をめぐっては、「『リビア方式』を採用すべきだ」と発言したことが北朝鮮の反発を招き、それも一因となって同国は来月の米朝首脳会談を中止する可能性を示唆した。
 
ボルトン氏は、補佐官就任が決まる直前の323日に、「自由アジアラジオ」(RFA)のインタビューの中で、北朝鮮との非核化交渉について語り、2003年にリビアのカダフィ政権(当時)が大量破壊兵器計画を放棄した際に関連機材などを米国に引き渡した“方式”を取るべきだと主張。それ以外の方法を議論しても「時間の無駄になる」と強調した。
 
リビアの場合は、非核化を段階的ではなく一気に進める方式を受け入れたカダフィ大佐の独裁政権はその後崩壊し、大佐は米国が支援する反カダフィ勢力によって殺害されるという結末だった。
北朝鮮側は、こうしたボルトン氏の発言に、「嫌悪」を感じていると反発。金桂冠第1外務次官は「世界は北朝鮮が、悲惨な運命をたどったリビアでもイラクでもないことを十分過ぎるほど分かっている」と述べた。
 
 
 
ボルトン氏が、その後もこの「リビア方式」が米国の基本方針であるかのように語り、そのうえ、一度はトランプ大統領が{「リビア方式にはしない」と否定した直後に、今度はペンス副大統領が北朝鮮は)リビアモデルのように終わるだけだ」と発言し、とどめを刺した方たちだ。
 
“カダフィの二の舞”を恐れる金正恩は態度を硬化させ、トランプとの「会談中止」についてもほのめかした。中国の王毅(ワン・イ)外相はトランプ大統領に対して自重を促し、米朝首脳会談の実現に向けて努力するよう求めた。
一旦「会談中止」を発表したトランプ大統領は「北朝鮮側がすさまじい怒りと敵意を示した」ことが中止の理由だとした。
 
その後、トランプ大統領は、「北朝鮮に『リビア方式』を適用することは全く考えていない」「リビアでは国家が破壊された。カダフィ大佐の権力を維持するという保証もなかった。『リビア方式』は(北朝鮮とは)全く異なった取引だ。北朝鮮の場合は、体制は変わらないし、北朝鮮はとても豊かになるだろう」と語った。
 
そして、今回の「非核化は1回の会談では困難。時間をかけても構わない」「最大限の圧力はもう言わない」などの発言となり、6月12日の首脳会談開催の表明となった。
 
もちろん、北朝鮮と米国の様々な思惑が働き、駆け引きがあったものと思われるが、「首脳会談」開催へと、振り子がもどったことは喜ばしいことだ。
 
2003年3月に米軍はイラク攻撃で、11億円5千万円以上する、トマホークミサイルをたった2日間で350発発射した(イラクに発射した合計は1618発)。シリアには、昨年4月6日59発、今年4月に105発(米85発、英仏20発)を打ち込んだ。そして、一時は、米国は北朝鮮に1000発のトマホークを発射するシナリオも用意していたという。
 
米国をはじめとした巨大な軍需産業にとっては、その利益のための、「在庫一掃」と「新兵器売り込み」のチャンスを北朝鮮に見ているのかもしれない。彼らと彼らをスポンサーにする政治家たちにとっては、「米朝会談」の進展は気分のいいものではないかもしれない。
 
共和党の議員や支持者、さらに韓国の国の文在寅大統領までが、トランプ大統領を「2019年のノーベル平和賞候補に」との声をあげている。米朝会談の実現と、朝鮮戦争を終結に導き、朝鮮半島の非核化や地域の平和に尽力していることから、トランプ大統領を推薦したという。
 
トランプ大統領には、ここまでこぎつけた、国際的な紛争の平和的解決の流れを止めずに、最後まで対話を前進させ、文字通り世界平和に貢献して、ぜひとも、ノーベル平和賞を受賞してもらいたい。

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トランプ大統領の発言が2転3転するのは、別に今始まったことじゃない。単なる彼の交渉術に過ぎない。
発言が何故変わるのか、裏で何があるのか憶測するよりも、発言を変えた結果、周囲の状況がどう変わったかを見ればよい。
「ゴタゴタ言うなら会談はしない」
の発言の結果、北朝鮮は歩み寄りを見せ、中国は黙った。
結局それが目的だったのか、と思えばよい。

2018/6/4(月) 午前 7:40 [ 田吾作 ]

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転載させてくださいね。

2018/6/4(月) 午前 9:22 [ あさり ]

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田吾作さま
ご意見ありがとうございます。

2018/6/7(木) 午前 1:49 [ TABIBITO ]

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あさりさま
ありがとうごさいます!

2018/6/7(木) 午前 1:50 [ TABIBITO ]


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