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マリナーズのイチロー外野手(45)が21日、現役引退を表明した。

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 (「スポーツ報知」22日付)


今朝のスポーツ紙各紙が大々的に報道しているのは当然かと思うが、「読売」「朝日」「毎日」「産経」などの全国紙も1面と社会面で大きく取り上げ、夕刊にも、翌日の新聞にも特集記事が載るなど、イチローがどれだけの功績をあげたのかを物語っていると思う。

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  (22日付の朝刊各紙)
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(22日付夕刊各紙)



私が、まだ野球少年だった子どもの頃に、「ミスタージャイアンツ」こと巨人の長嶋茂雄が引退を表明したときにも、引退セレモニーで「わが巨人軍は永久に不滅です」という名言を残し、日本中の多くの野球ファンに惜しまれた。たしか、あのとき、長嶋が、マウンド上で直立不動で話し、それを見るファンたちの多くも直立不動で見届け、テレビで正座して観ていたという話しも聞いた。
 
それに対して、今回のイチローの引退は、最後にプレイをした球場でも、記者会見の場でも、そんなに力を込めたものではなく、イチロ―らしく、軽快で、しなやかだったような気がする。しかも、「ミスターベースボール」として、日本だけでなく、世界の野球ファンに惜しまれたのだ。
 
野球は、何といってもホームランなど長打が出るのが醍醐味のように見られている。特に大リーグでは、筋骨隆々な大きな打者達が、ホームランを量産し、競っていると誰もが思う。
 
そんな中で、「スポーツ報知」の記事の中にあったが、イチローが3089本の安打を打ったうちの23%、約4分の1近くが「内野安打」というのにはびっくりした。509盗塁と合わせて、この脚力が史上初の10年連続シーズン200安打の礎になっているのは間違いない。
 
ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニストで、ピュリツァー賞を受賞したこともある野球記者のレッド・スミス氏は、「野球の塁間90フィート(約27・432メートル)は、人類の作品で最も完璧に近いものだ」と言ったという。「この距離が短ければ内野安打が増え、長ければ簡単にアウトになってしまう。つまり、野球のスリリングなプレーを演出しているのが、この塁間の距離なのだ」そうだ。

「イチローは90フィートの塁間の距離でメジャーの常識を覆していった。内野安打はメジャー1年目の01年に56本を放つと、10年には最多の64本を放つなど、3089本の23%に当たる713本(ベースボール・リファレンスによる)。デビュー当時の相手チームの内野手は、イチローが打席に立つと、浮足立った。簡単なゴロでも、プレッシャーで慌てるという光景が見られた。メジャーにスピードという概念を植え付け、恐れられた」と「スポーツ報知」の記事は書いている。
 
しなやかさとスピードでメジャーリーグの常識を覆したといっていい。
 
記者会見で「決断に後悔や思い残すことは」の質問に対して、「今日のあの球場でのできごと…。あんなものを見せられたら、後悔などあろうはずがありません。」として、「もちろん、もっとできたことはあると思いますけど、結果を残すために、自分なりに重ねてきたこと」「自分なりに頑張ってきたということは、はっきり言える」「これを、重ねることでしか、後悔を生まないということはできないのではないかなというふうに思います」と答えた。
 
また、「一軍デビュー後で、いま思い返して印象に残っているシーンは」と聞かれて「この後、時間がたったら今日が一番真っ先に浮かぶことは間違いないと思います。ただ、それを除くとすれば、いろいろな記録に立ち向かってきたんですけど、そういうものは大したことではない」としつつ「自分にとって、それは目指してやってきたんですけれど、いずれそれは、僕ら後輩が先輩たちの記録を抜いていくというのは、しなくてはいけないことでもあるとは思う」「そのことにそれほど大きな意味はないと言うか。そんなふうに、今日の瞬間なんかを体験すると、すごい小さく見えてしまうんでうよね。その点で、例えばわかりやすいのは10年200本(安打)を続けてきたこととか、MVPをとったとか、オールスターでどうたらとか、ほんと小さなことに過ぎないと思います。今日のあの舞台に立てたことというのは、去年の5月以降、ゲームに出られない状況になって、その後チームと一緒になって練習を続けてきたんですけど、それを最後まで成し遂げられなければ、今日のこの日はなかったと思うんですよね。」
 
そして、「今まで残してきた記録は、いずれ誰かが抜いていくと思うんですけど。去年の5月からシーズン最後の日まで、あの日々はひょっとしたら誰にもできないことかもしれないと、ささやかな誇りを生んだ日々であったんですね。そのことが、去年の話ですから近いということもあるんですけど。どの記録よりも自分の中では、ほんの少しだけ誇りを持てたことかなと思います。」と述べた。
 
人にとって、人生にとって「誇り」とは、を考えさせられる気がする。

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 (22日付「日刊スポーツ」 )
 
 
「生き様で伝えたいこと、伝わっていたら嬉しいと思うことがあれば」という質問に、イチローは「生き様というのは、僕にはよくわからないけど、『生き方』というふうに考えれば…」と前置きして、次のように応えている。
 
「先程もお話しましたけれど、人より頑張ることなんてとてもできないんですよね。あくまでも、秤(はかり)は自分のなかにある。それで自分なりに秤を使いながら、自分の限界を見ながら、ちょっと超えていくということを繰り返していく。
そうすると、いつの日か『こんな自分になっているんだ』という状態になって。だから、少しずつの積み重ねが、それでしか自分を超えていけないというふうに思うんですよね。
一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それが続けられないと僕は考えているので。地道に進むしかない。進むだけではないですね。後退もしながら、ある時は後退しかしない時期もあると思うので。
でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく。でもそれは正解とは限らないですよね。間違ったことを続けてしまっていることもあるんですけど。でもそうやって遠回りすることでしか、本当の自分に出会えないというか。そんな気がしているので。
そうやって自分なりに重ねてきたことを、今日のあのゲーム後のファンの方の気持ちですよね。それを見たときに、ひょっとしたらそんなところを見て頂いていたのかなと。それは嬉しかったです。そうだとすればすごく嬉しいし、そうじゃなくても嬉しいです、あれは。」
 
なにかうなずけるものかある。もう60年、70年と生きてる人生経験を積んてきた人の言葉のようだ。
 
イチローの野球人としての人間像とともに、記者会見では家族についても語られた。
 
「弓子夫人への言葉は」という質問に、「いやぁー、一番頑張ってくれたと思います」と力を込めて、「僕はアメリカで3089本のヒットを打ったんですけど、妻は、およそ、ゲーム前ホームの時は妻が握ってくれたおにぎりを食べるんですね。の数が2800くらいなんですよ。3000行きたかったですね。そこは3000個握らせたかったなと思います。妻もそうですけど、頑張ってくれました。妻にはゆっくりしてほしいですね。」と語った。
 
そして、さらに、愛犬の一弓についても話が及び、「今年で18歳になろうかという柴犬なんですけど。さすがにおじいちゃんになってきて、毎日フラフラですけど、懸命に生きているんですよね。それを見ていたら俺も頑張らないとと思いますよね。ジョークでもなく。あの懸命な姿。まさか最後まで、現役を終える時まで一緒に過ごせると思っていなかったので。一弓の姿は感慨深いですよね。妻と一弓には感謝の思いしかないですよね」と述べた。
 
奥さんが握ってくれたおにぎり、懸命に生きる老犬……ここにもイタローのモチベーションの原動力、精神的支えがあったであろう。
 
最後に、以前に、イチローが「自分は孤独を感じながらプレーをしている」と語ったことについて記者から問われ、「アメリカに来て、外国人になったことで、人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分があらわれたんですよね。この体験というのは、本を読んだり情報をとることはできたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので…」「孤独を感じて、苦しんだこと多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって、大きな支えになるんだろうと、今は思います。だから、辛いこと、しんどいことから、逃げたいと思うのは当然のことなんですけど、でもエネルギーのある元気なときに、それに立ち向かっていく。そのことは、すごく、人として重要なことなんではないかなと感じています。」
 
まさにイチローの人生訓とでもいったところだろうか。
 
「こんなにいるの?びっくりするは」にはじまり、話がやや哲学領域に入ると、「僕、おかしなこと言ってます?」などと記者に確認をしたり。最後は、自分の発言に「締まったね、最後」と言いながら、「いやぁ、長い時間ありがとうございました。眠いでしょ、みなさんも。ねえ、じゃあ、そろそろ帰りますか、ね?」と会見を締めた。
 
終始、軽快な言葉の中に、45年間の人生と、28年間の野球人生の積み重ねが垣間見える会見だった。
 
イチローありがとう!

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イチロー選手の言葉良いですね。これだけの実績を作った人物だけに、深い言葉だと思いました。
自分がやると決めたことを信じてやっていく。
人が基準ではなく、あくまで基準は自分。自分の限界を見ながらちょっとずつ超えていく、少しずつの積み重ねを大事にしていく…
野球だけでなく、他のことでも当てはまりそうです。
良い記事をありがとうございました。

2019/3/25(月) 午後 7:30 mimi 返信する

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mimiさま
仰る通りで、自分の中に「秤」があって、それを使いながら、自分の限界を見ながら、それをちょっと超えていくということを繰り返していくと、いつの日か「こんな自分になっているんだ」という状態になっている──まさに、一歩一歩の積み重ねで、時には後退もあって、人は成長できるということを教えてくれています。イチローの言葉は、どんなことにも通じることがあるように思います。

2019/3/28(木) 午前 0:41 [ TABIBITO ] 返信する

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