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経済協力開発機構(OECD)は、13日、加盟34カ国の子どもの貧困率ランキングを公表した。
 
日本は2009年時点の15・7%が用いられたが、OECD平均の13・7%を上回り11番目に高かった。
自殺率についても10番目に高く、OECD平均を上回った。
 
ちょうど、この調査か発表された前後に、「朝日新聞」が10月10日から15日にかけて5回に渡って「子どもの貧困」と題した連載を行っている。
 
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見出しだけならべてみる。
■10月10日付
 「『毎日同じ服って言われた』──保護されて1ヶ月ぶり入浴」
 「連鎖する低所得親含めて支援を」
■10月11日付
 「1枚の毛布取り合った冬──『福祉の空白』死も意識した兄妹」
 「18歳からの2年間 行き届かぬ支援」
■10月12日付
 「友達ほしさ重ねて万引き──母子家庭の19歳 保護観察に」
 「格差のストレス非行の一因に」
■10月13日付
「むし歯 乳歯10本が根だけに──母子家庭の9歳、通院できず」
「子の貧困率 日本11番目 OECD34カ国中」
■「風俗は嫌だけどお金なくて──短大生 就活費・学費に終われ」
 「学費値下げ給付奨学金を」
 
 
 
OECDが用いた貧困率15.7%は、2009年のものであるが、厚生労働省では昨年、2012年時点の「子供の(相対的)貧困率」の数値を公表しているが、それによれば16・3%とさらに0.6ポイント高くなり過去最悪となっている。
 
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6人に1人の約325万人が「貧困」に該当していることになり、豊かな先進20カ国のうち、4番目の高さにある。
 
だが、この「6人に1人の子どもが貧困」と驚くべき値を示されても、学校の校庭にならんでいる生徒たちや、にぎやかに登下校する子どもたちの姿を見ると、「どこに貧困の子がいるのか」と疑問を持つ人もいるかもしれない。
しかし、それが現代の貧困なのだ。一見、よく見えない、わからない。だから深刻なのである。
100円ショップや、リサイクルショップへ行けば、一通りの必要なものが安価で手に入り、身奇麗にはできる時代。
しかし、実際の生活では、上記の『朝日』の記事のような、深刻な実態が、すぐ隣にあるのである。
 
 
「貧困率」というのは、まず「等価可処分所得」というものを算出する。
「等価可処分所得」とは、世帯の可処分所得(収入から税金や社会保険料を引いた実質手取り分の収入)を世帯人数の平方根で割って調整した額のことである。そして、国民一人ひとりを算出された等価可処分所得の順番に並べたて、そのちょうど「真ん中の人」の値の「半分以下の人の割合」がどのくらいか、という指標である。
今回の調査によれば、「真ん中の人」の値が244万円で、その半分以下ということで、122万円が「貧困ライン」となる。それ以下の人が16.3%、すなわち約325万人いるということになる。その人たちがが「貧困」に該当するということだ。
とりわけシングルマザーの場合は、半数以上が「貧困」状態にある。
 
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日本の子育て家庭、特にシングルマザーなどの親の収入がなぜ低いのか。
それは、こうした親たちが働いていないからではない。日本のシングルマザーは、世界で最もよく働いている。子どもと一緒にすごしたくても、その時間も削って働いている。場合によってはダブルワークで厳しい家計を支える。
 
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問題は、子供を持つ若い親たちの労働状況が悪化していることがある。多くが非正規雇用であり、ワーキングプアであるからだ。そのうえ、男女の賃金格差も日本は大きい。
 
 
                     非正規雇用労働者の割合の推移  
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もうひとつは、経済的に困窮している子育て世帯に対する、児童手当などの金銭的な支援(現金給付)が十分に行われず、公的支援が限られているということがある。
他のヨーロッパなどの先進国が子供の貧困率を低く抑えているのには、現金給付が日本に比べて手厚いということがある。
 
社会保障への公費支出の対GDP比でも、日本は先進国で最低クラスである。
 
       社会保障への公費支出(対GDP比)各国比較
 
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さらに、教育や保育など公的なサービスの制度の違いも大きい。ヨーロッパ諸国では、教育は、義務教育までほとんどが無料であり、保育も無料か、保育料をとっても負担になるほどではない。
特に、日本は、対GDP比での公的教育費の支出は、OECD加盟国中、最低である。大学や高等学校の入学金や授業料もきわめて高額となっている。
 
 
 
そして、金銭的理由で教育を受けられないことが、貧困の連鎖を生む要因ともなっている。
 
 
 
 
今朝の「東京新聞」(18日付)「社説」は「ピケティのその後」と題して、格差問題で「21世紀の資本」という大著でブームを起したトマ・ビケティ氏のことを取り上げている。
 
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日本では今年3月以降はパタっと取り上げられることもなくなり静かになったが、欧州では、日本と対照的に今、ピケティ氏の存在感がますます増しているという。
 
ピケティ氏は、「資本主義下では、お金持ちの資産の増大の方が勤労者の所得の伸びより大きいので、ほっておけば格差は拡大する。また、お金持ちの富は世襲される。だから所得再分配や教育機会の平等のための投資が重要になる。緊縮路線はそれらを妨げてしまい、結局は成長も阻害することになる」と異を唱えるているのである。
 
社説は最後で次のように述べてる。
「……日本は、一部の富裕層を除き国民の多くが貧しい方向に滑り落ち、格差よりも貧困が深刻化している。ピケティ氏は富裕層を対象に格差問題の「解」を求めたのに対し、日本は貧困や下層の人をどうするかが問われている。そのズレがピケティ・ブームの急落を生んだのかもしれません。
 安倍政権の目指す政策は成長一辺倒で、所得再分配など格差を縮める努力や貧困対策には見るべきものがありません。この国は『富める者がますます富む』というピケティ氏が懸念する資本主義の短所をそのまま体現しています。
 ピケティ氏の主張する国際協調による累進的な資本課税はすぐには実現しそうにありませんが、社会保障の充実など所得再分配政策や教育への投資拡大はやる気があればただちにできるはずです。
 大切なのは、格差を放置したり固定化する社会でいいのか、不平等を黙認するのかを私たち自身が判断することです。ピケティ氏なら『もちろん、それは正しくない』と言うでしょう。」
 
格差と貧困がますます進む日本では一過性で忘れ去られたようになって、一方では、一定のセーフティーネットも充実したヨーロッパでは「今も引く手あまた」のピケティ。やはり、国民が声をあげなければ風化してしまうということか。
何しろピケテイがたびたび指摘する所得再配分にしても世界で最も日本は低い水準にあるのである。
 
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そして、「朝日」12日付の「天声人語」。
 
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昭和の名人、落語の古今亭志ん生の著作『びんぼう自慢』を紹介して“貧乏の極意”をあれこれ語ったうえで、「朝日」で掲載中の上記の「子どもと貧困」についついて触れ「殺伐とした貧しさに胸が痛む。人と人のつながりがやせ細り、周囲からも制度からも孤立しがちな世の中で、親の貧困から子が抜け出せぬ連鎖がはびこっている」「いま6人に1人の子が貧困レベルで暮らしている。一人親などの家庭に限れば、先進国で最悪水準の5割超が貧困層」「あしたのご飯に困る一家もある。とりわけ母子家庭の事情は厳しい」としたあと次のように結んでいる。
「これほどの実態に政治の責任は小さくない。家計と雇用を温める策や、きめの細かい支援は待ったなしだ。そして、市井の人情の出番でもあろう。手をさしのべる試みが各地で始まっている。可能性への切符を、貧富によらずどの子の手にも握らせたい。」
 
 
先月9月にトルコの海岸に打ち上げられたシリア難民の3歳の子どもの写真が世界に衝撃を与えた。その問題について、ある高校のクラスの授業で「自分がもしシリアに生まれていたら」と感想を出し合い話し合った。すると最後はシリア難民のために、あるいは難民を生まない世界にするために、「私たち一人ひとりにが何ができるのか」を出し合ったという。
 
国や地方の政治の力・行政の力、学校の力、地域の力、そして私たち一人ひとり、それぞれにそうした想像性が求められているのではないか。
 
子どもたちは生まれる場所を選べない。
どの子もたとえどんな星の下に生まれても普通の生活ができ、そして「可能性への切符」を手にできるように、この国のすべての智恵と力を合わせるべきである。
 
 
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