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自然に 素朴に 明日をみつめて

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いま書店に行くと、同じ赤い縁取りの表紙の『WiLL』とそこから編集者が分裂したという『月刊Hanada』が並んで平積みになっているが、いずれも毎回のように、「朝日」批判の見出しが躍っている。それに『正論』や『文藝春秋』も加わると、「朝日はなんて悪い新聞なんだ」と思う人も多いだろう。
 
私はジャーナリズムの役割としての社会的役割は、権力を監視しチェック機能を果たすことだと思っている。権力を持つもの(特に今日ではカネにモノを言わせ絶大な権力が集中する)が隠そうとする本当の事実を取材・調査して国民に明らかにしていくこと、つまりは巨悪を許さないことだと思う。そのことは、日本以外の国では当然の常識であり、欧米のメディアの多くが「権力を批判できなければメディアとしての価値がない」と言う立場で、「権力批判をしないメディアは国民から見放される」とまで言われている。
 
しかし、日本の場合は、様子が違っていて、権力批判をすると、官邸や与党から監視される対象となり、圧力受ける。どこかで聞いたような名前の人たちが代表をしている「放送法の順守を求める視聴者の会」なんていう"市民団体"も出てきて、首相や政権を批判するテレビ番組が監視され、全面新聞広告で名指しで批判されてしまう。
おまけに同業のメディアからも批判されるというおかしな国だ。

特に「朝日新聞」に対する、いくつもの「政権寄り」メディアのヘイト並みの批判・吊るし上げともいえる執拗な攻撃は目に余るものがある。

私は、「朝日」も信用していないが、その「朝日」を“ジャーナリストの顔”をして批判し、吊るし上げている他の新聞やら月刊誌やら週刊誌なども、時の権力に迎合する論者やグループのいわば「同人誌(紙)」のようなもので、とてもジャーナリズムとは言えないと思っている。

新聞でいえば、5大紙は、"同じ穴のムジナ"のようなものだと思っている。権力の手の中で自分の地位("発行部数"と言った方が正確か)をなんとか保とうとしているといえよう。
 
 

「週刊現代」3月3日号の岩瀬達哉氏の連載コラム「ジャーナリストの目」(第374回)に「安倍首相の『朝日』批判で『記者クラブ』記者たちが『愛玩犬』にならにならぬことを願う!」は、日本の権力とマスコミがこんな関係にあるのかとあらためて驚かされた記事である。

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安倍首相が、2月5日と13日の衆院予算委員会で、2度にわたって、昨年5月9日の朝日記事を批判した。「森友学園」が開設を予定していた小学校の設立趣意書に「安倍晋三記念小学校」と書かれていたと報じたが、実際には「開成小学校」の誤りだったというもので、「裏どりをしていない記事は記事とは言えない」と批判した。
 
この件については、ここでは論じないが、以下の記事や動画も紹介しておきたい。
また、今日になってこんな報道もあることも注目すべきだろう。
(今朝の「朝日」で「森友文書 書き換えの疑い」と題して、財務省の契約当時の文書と、問題発覚後の昨年2月の文書違いが発覚し、書き換えられた可能性があるとの記事があり、今日の参院予算委員会でも取り上げられた。これで、さらに「朝日」批判が大きくなるだろう。)
 
安倍首相の執拗な国会での「朝日批判」について、岩瀬氏は「国会という『国権の最高機関』での首相の『反撃』に慌てたのは、朝日だけではないだろう。他の新聞、テレビもまた、政権への批判はほどほどのところでお茶を濁さなければならないと自戒したに違いない」と書く。
 
そして、その大きな理由として「日本新聞協会加盟の大新聞や全国ネットのテレビ局は、批判すべき公権力から税金を財源とする経済的便宜供与を日常的に受けている」として、その「彼らの『出先取材拠点』である『記者クラブ』の運営経費のほとんどを賄っている。一部でもカットされ、全額自分たちで負担しなければならなくなれば、経営に打撃をこうむる社は少なくない」ことを明らかにしている。
 
岩瀬氏は、かつて、中央省庁だけでなく、全国の都道府県庁、市役所、地方議会、警察署など全国800ヵ所の公的機関の「記者クラブ」への税金の投入額を調査、実態調査に着手するや、「ある大手新聞の著名な大記者から調査を止めるよう圧力がかかった」ことも述べている。
 
その調査の結果と言うのが、「年間110億円の税金が、『記者クラブ』の運営経費として使われている」というもので、これを「朝日」、「毎日」、「読売」の三大紙別に集計すると、「1社当たり年間約5億円」にもなるという、驚きの事実だ。
 
 
岩瀬氏は、メディアを比喩する言葉として「ウォッチ・ドック(番犬)」と「ラップ・ドック(愛玩犬)」と2つを挙げている。
 
表向きには権力を監視する「ウォッチ・ドック(番犬)」を公言しながら、大手新聞が、裏では批判すべき公権力から、多額の経済的便宜を受けている。政府機関が、こうした手厚い援助を惜しまないのは、「自分たちの伝えたい情報をスピーディーに全国に行きわたらせ、『世論を操作する協働者』として『記者クラブ』を使っているからだ」とする。
 
実際に、新聞、テレビが報じている情報の大半が政府機関などが「記者クラブ」で発表したものであり、発表するにあたり、報道してよい日時まで指定されていることが多く、メディアの側はそり“縛り”を忠実に守っているという。まれに、政治家等を攻撃する報道があるが、その場合も検察庁のリークなど捜査機関のお墨付きを得ているものがほとんどだという。
 
そうした関係で成り立っているため、供与する政府側にとっての「裏取り」という言葉は、独自取材で得た情報であっても事前に通告し、了解をえなければ拙速に報じるな、という意味が込められているというのだ。
 
「ラップ・ドック(愛玩犬)」とは、飼い主のひざの上に乗る小型犬のように、公権力の言いなりになるという意味だが、筆者は「ただでさえ『ラップ・ドック』化している新聞、テレビの報道が、今回のことで拍車がかからないことを願いたい」と記事を結んでいる。
 
最初から「ラップ・ドック」のようになっている新聞、テレビ、月刊・週刊誌があふれているが、
ウォッチ・ドックのような顔をして、実は「ラップ・ドック」だったというのもたちが悪い。
 
なにせ、今の政権は、メディア幹部との“会食”に相当力を入れていて、某大新聞の幹部と首相との会食は5年間で38回、昨年の総選挙の開票日にも会食しているというから、ツーカーの仲になっているといえる。

おまけに消費税を10%にする際に、新聞だけは「軽減税率」を適用して8%のままにするというのだから、さらに手厚い援助をして政権の意のままにしようというのだろう。これについて、自民党・小泉進次郎氏までが、「消費税の増税を訴えている新聞に軽減税率を適用するのは、筋が通ってない」「新聞はこのことを一切報道しないし、テレビも言わない。」と述べているが、新聞社の中で、「わが社は、消費税10%になったとき軽減税率が摘要されたとしても国庫に返納する。政府の言いなりにならない」と言う声は残念ながら聞かない。
 
 
この数か月間だけを見ても、角界のゴタゴタ、芸能界の不倫騒動、平昌五輪では北朝鮮の「美女軍団」などが大きく報道されているが、森友・加計疑惑や、スパコン疑惑、リニア談合、原発輸出の「保障」問題、さらには、閣僚や自民幹部の失言・暴言など後を絶たないが、マスコミの取り上げ方が小さく、多くの国民が知らないまま過ぎていく問題も多い。
 
政治評論家の竹村健一氏が「マスコミが、芸能ネタなりスキャンダル事件を連日連夜、執拗に報道している時は注意しなさい。国民に知られたくない事が必ず裏で起きている。そういう時こそ、新聞の隅から隅まで目を凝らし小さな小さな記事の中から真実を探り出しなさい」と語ったことがあるが、今の日本はまさに、そういう状況にあるといえるかもしれない。
 
 
 
そのうえ、最近の報道のいくつかを見ても、公権力=政府のひざの上か手の上に乗せられているのではないかと疑いたくなるような報道が目につく。
 
例えば、最近の憲法改正問題の報道では、どの新聞、テレビも、世論調査の設問がガラッと変わってしまった。従来からの「憲法改正」「9条改正」に賛成か反対かではなく、「9条2項に自衛隊を書き込むこと」に賛成か反対か、という、すでに憲法改正は前提となったかのような、政権や改憲派にとっては、都合の良い結果が出るような設問になっている。
 
また、内閣府副大臣だった松本文明衆院議員が、国会で議員席から「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばし辞任した問題も、国会にはたくさんの記者がいただろうに、最初に「しんぶん赤旗」と沖縄の「琉球新報」が取り上げて問題が大きくなったものの、5大紙が取り上げたのはずっと後だったし、記事の扱いも小さかった。
 
さらに、ジャーナリストの伊藤詩織氏が、元TBS政治部記者でワシントン支局長だった山口敬之氏からレイプ被害を受けたと訴えている問題では、伊藤氏が記者会見まで開いて被害を訴え、体験をまとめた本も出版した。ところが、米ニューヨークタイムズが昨年12月30日付の1面トップで報道したのをはじめ、英BBC、仏フィガロ、スウェーデン最大紙「ダーゲンス・ニュヘテル」など欧米の大メディアが積極的にこの問題を特集し、取り上げているにもかかわらず、日本の大手メディアは、ほとんど取り上げず黙殺している。この問題では、容疑者であった山口氏を空港で張り込んだ刑事が逮捕する直前で、逮捕状の執行が、事件とは何ら関係のなかった中村格刑事部長(当時)によって止められるなど不可解な経過も問題となっている。山口氏が、安倍首相の表紙の『総理』本を書くなど、安倍首相と懇意にしていたこと、4億円詐欺疑惑で逮捕されたスパコン「ペジー」社長が山口氏に月額200万円のホテル代などの巨額支援をしていたことなど、突っ込みどころがいくつもありにもかかわらず大手メディアは、取材や調査をするふうでもない。
 
原発問題でも、東日本大震災において「トモダチ作戦」で被災者救援活動のため、福島県沖で空母「ロナルドレーガン」に乗船して任務に当たっていた米兵が、帰国後次々と体調不良を訴え、400人近くが被ばくし、白血病によって9名が亡くなったとして、「原発事故について正確な情報を知らされていなかったため」だと東京電力などに損害賠償を求めてアメリカ連邦地裁に訴訟している。
この問題は、大手メディアでは、ほとんど黙殺か扱っても極小さな報道でしかなかったが、「東京新聞」や一部週刊誌などが大きく取り上げた。昨年10月9日深夜の「NNNドキュメント」で「『放射能とトモダチ作戦』 米空母ロナルドレーガンで何が?」と題して放映されたが、この番組では、元兵士や家族にも直接会って話を聞き、被ばく米兵救済に動かない安倍政権の姿勢に呆れて支援基金を設立するなどに奔走し、「原発ゼロ」を訴える小泉純一郎元首相のインタビューなども登場する予定だったが、10日前の番組改編で小泉氏の登場する場面はすべてカットされ再編されたという。
 
あれもこれも、政府に都合のいいことは報道し、都合の悪いことは報道されないか、あるいは手直しされて伝えられる。
やはり、日本の大手メディアは「ラップ・ドック」でしかないのであろうか。
 
今の政権が長続きしているのも、メディアがジャーナリズムとしての役割を果たせないどころか、劣化しているためといえるかもしれない。

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