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またも、「官」のデタラメが発覚した。
厚労省が賃金や労働時間などの変動を調べる「毎月勤労統計」で全数調査すべきところを、東京都の分についておよそ3分の1だけを「抽出調査」していたことが明らかとなった。

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不適切な手法による調査が2004年から行なわれ、それをもとに給付水準が決まる雇用保険や労災保険などで、過少給付のケースが続いてきた。
 
「毎月勤労統計調査」は、雇用、給与、労働時間の変動を明らかにするもので、失業給付や労災に遭った時に支給される休業補償の算定基準などにも使われ、国民総生産(GDP)の算出にも使われるなど国民生活と経済に及ぶ影響は計り知れない。特に重要な統計として統計法で「基幹統計」に指定され、政府が経済政策を策定する際の土台となるものである。
 
従って、調査を受ける企業などには正確な報告が義務付けられ、違反には罰金もあるというのに、調査をする厚労省の側が不正をすることはきわめて重大である。
 
振り返れば、この間、公的文書に関わっては、「森友学園」を巡る財務省の文書改ざんや防衛相の自衛隊「日報」隠蔽などの不祥事は、いまだに出口が見えず、くすぶったまま。
 
その上、昨年の通常国会で、厚労省による、働き方改革関連法案の裁量労働制に関する調査データで残業時間の集計にずさんな誤りが発覚し、安倍晋三首相の国会答弁撤回と裁量労働制の法案からの削除という異例の事態へ発展した。厚労省だけではない。「障害者の雇用割合」でも、国税庁や国交省など多くの中央省庁28機関で計約3700人の障害者雇用を水増しして、法令基準を守っていたかのように見せかけていた問題。「失踪した技能実習生」への聞き取り調査では、最低賃金以下で働いていた外国人が7〜8割もいたにもかかわらず、法務省は「0.8%」と集計した。
 
どれも、これも「優秀な官僚によって支えられている」と言われた日本で次々と起きている、深刻で重大な事態なのである。「官の不正」は、もはや構造的な問題として捉えることが必要となっている。
 
 
1月16日付「日刊スポーツ」の政治コラム「政界地獄耳」では「官僚の堕落か劣化か」と題して次のように指摘している。引用したい。

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★共同通信が12、13両日に実施した全国電話世論調査では厚労省の「毎月勤労統計」のずさんな調査で政府統計を「信用できない」が788%に、厚労相・根本匠の対応や説明に「納得できない」が691%に上ったとした。国民からは「またか」とか「相変わらず」といったため息が漏れたことだろう。同時に発表された統計をもとに試算されていたさまざまな経済的予測は根底から崩れていくことになる。
★経産省出身で前衆院議員・福島伸享はフェイスブックで統計の意義を説いている。「素人は調査票を配って記入された数値を単純に集計すれば統計はできると考えるが、実際には集められる数値には季節や地域などによってクセがあるのでそれを補正したり、担当者の勘で異常値を発見してヒアリングをして修正したりと職人技が必要な業務である。GDP統計や産業連関表のような一次統計を加工して作られる二次統計にも、さらに職人的な作業が施されている」。
★「こうした職人技は『ベテラン』の中で蓄積されてきたが、最近はそれが伝承されがたくなるほど組織が弱体化している。今般の毎月勤労統計の不適切な調査は、こうしたことを背景として起こっていて、厚生労働省だけの問題ではない。私が調査統計部にいたころの中国は、政府自体が自らの統計が信頼できないとして、日本の技術協力を仰いで、担当閣僚まで置いて統計の整備を進めてきたが、とうとう日本自身が統計の信頼性に疑問が投げかけられる国にまで堕落してしまったのだ」。官僚の堕落なのか、劣化なのか。(K)
                   (以上 引用)
 
 
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今回の法律違反の「官の不正」が、なぜ起こったのか。
 
私は、一昨日、厚生労働省を10年近く前に定年退職した方に、お話を聞く機会があった。その方は、「統計」の部署にいたことのある人だ。納得のいかないことについては、いつも「おかしいことはおかしい」と上司に率直にモノを言っていたために、“出世”することはなかったそうだが、次のように語っていた。
 
「私もそうだが、職員はみんなまじめに仕事をしていた。ところが、上流から水が濁ってくるように『歪み』が出てきたのは、『行政改革』や『公務員改革』などが声高に叫ばれるようになったころからだ。個々の官僚の問題もあるだろうが、2001年(平成13年)に、厚生省と労働省が統合され厚生労働省となったあたりから、おかしくなってきたように思う」
 
そして、今回のような統計についての不正が起こった原因として、1つは、「統計の部署の予算が削減され、人員も減らされていったということだ」という。統計は、継続性がなければ成り立たないが、それを保持していく予算と人員が伴わないという問題が根底にあるというのだ。
 
そして、2つ目には、「政界地獄耳」に書いてあることと同じことだが、「統計には専門性、いわば『職人技』が必要だが、ベテランの『統計マン』がいなくなり、それらが引き継がれずにきた。人手不足や人事配置の問題もあるが、さらに、課長や課長補佐、係長などに統計にまったく携わったことのない人がついて、現場の指揮をとるようになった。それらの人にとっては、正しい統計結果を出すとか専門性を継承していくとかよりも、『上』に行く通過点でしかなかった」というのだ。
 
そして、3つ目に「表面には出ないが、統計を『歪める』ことになった要因として『政治』の責任は大きいと思う。『政治主導』と言って主導する『政治』の側が正しく機能しているのであれば、こんなことにはならなかったはずだ。与党政治家たちが目先の自分たちの利益と人気取りばかりに打ち込んで、統計を軽く扱って、自分たちの政権維持の道具のように考える。そうした『政治』による官僚支配が強まれば、当然のように、政府・官邸の打ち出す政策に沿ったような統計結果を出さざるをえなくなる。たとえば、高齢者の医療や介護、年金など社会保障予算を削るためには『高齢者は金持ちだ』と映るような統計の出し方をすることにもなる」
 
なるほど、各省庁の幹部たちが口をそろえて「犯罪であり絶対やらない」「常識ではありえない」と言うような、公文書を改ざんしたり隠ぺいしたりするという、前代未聞の不祥事の連続も、「忖度」が2017年流行語大賞を獲ったのも、「政治主導」「官邸支配」によるところが大きいという意味がよくわかる気がする。
 
「政治主導」をすすめるため、2001年に国会における政府委員制度と「政務次官」が廃止され、副大臣と大臣政務官が新たに新設された。
 
各省庁で、官僚のトップである事務次官の上には、大臣、副大臣、大臣政務官、大臣補佐官と国会議員たちがいる。しかも、大臣を補佐し助けるという副大臣や大臣政務官などは、省庁によって2人とか3人とかいるため、一つの省庁に、国会議員が6人も7人もいて幅を利かせるわけであるから、それらの議員の顔色をうかがうのも大変なことだ。
 
こうした大臣の下にポストを増やすことが、事務次官の権限を薄め「政治家が官僚をコントロールする」という目的のように言われたが、実際には、省庁再編で省庁の数が減り、与党議員が就任できる大臣や政務次官のポストが減ったために、その“穴埋め”ではないかと見る向きもある。つまり政治家に“肩書”を与えるためにポストを増やしたということだ。
 
そして、さらに、安倍政権になって決定され、2014年から5月に設置された「内閣人事局」による官僚人事制度も、ある。これまで官僚主導で行われてきた幹部の人事権を内閣人事局に一元化し、官邸主導で審議官級以上、約600名の人事を決定することになった。
 
名簿をもとに各大臣が任用候補者を選抜する。任免を行うにあたっては予め内閣総理大臣及び内閣官房長官と協議した上で、協議に基づいて行う。この制度が、官邸の意のままになる霞ヶ関をつくりだしている。
 
当然のごとく、官僚人事は、政権がすすめる政策に賛成か反対か、官邸の言いなりになる人物かどうかで決まる。政権の意に沿わない官僚は、要職からパージできるフリーハンドを官邸が握った。そのため、官僚は、官邸の意向ばかりを気にして、その結果「忖度」がされる。どれだけ官邸や政治家に気をまわせるか、忖度できるかで“栄転”や“出世”につながるのである。
 
このように霞が関に、官邸や与党政治家の言うことを大人しく聞くシステムができあがったのである。
 
 
そのことについても、今日19日の「政界地獄耳」で「霞が関を壊したのは誰だ」と題してわかりやすく解明している。これも、引用したい。

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★厚労省のずさんな毎月勤労統計調査問題で、政府は17日、同省事務次官・鈴木俊彦ら幹部を処分する方向を示した。長年続けてきた不正の根源を調べずに現職のトカゲのしっぽ切り。更迭されてもどこかでまた戻ってくる今だけの処置だろう。自民党は自分たちの問題ではなく役人失策として扱い、28日予定の通常国会召集前に野党の閉会中審査の要求をすんなりのんだ。自民党も国民や野党とともに厚労省を叱る役だと思っているのだろう。確かに一義的には厚労省の責任だ。だが、その裏には政権与党の表や裏にある「意向」や「忖度(そんたく)」が見え隠れする。
★どの世の中も役人の人事権や政策にはその上に君臨する政治家の意向が働く。ところがこの20年余り役人は国家を語らず、寄るとさわると人事のうわさしかしなくなった。誰に近づき誰に気に入られるかで人生が決まるとばかり、自分のため、国や国の将来を売る政治家にすり寄った。その政治家に与えてしまった人事権が怖くて、心と志を売ることが当然となった。
★ある官僚OBは「少なくとも35年前は、『上が言いましたから』『トップのご命令です』などと言ってはいけない、きちんと理由がないことはしてはいけないと研修で教わった。ところが今日、『官邸のご意向です』は当たり前の会話。大臣にべたべたすり寄り、また大臣のほうもそういう輩を大喜び。自分だけ良ければ今だけ良ければは米大統領トランプ流だが、日米の根本的違いはトランプとはやってられないといって去っていく気骨ある人がいるだけ米国には見どころがある。霞が関を去るのは、20代から30代。あるいは、そもそも嫌気が差して公務員試験を受けない」。全体の質が低下するのは当然だ。だがこの体質に霞が関を変えていったのは自民党政権そのもの。短期の成績で判断する新自由主義の評価方式が生んだ産物ではないか。霞が関を壊しておいて政治家が「けしからん」とは片腹痛い。(K)
                     (以上 引用)
 
 
「政治主導」「官邸支配」でおまけに、厚労省だけだって政務三役に国会議員が、雁首をそろえている。
 
しかも、厚労省は、昨年1月以降の調査から、全数調査に近づけるため東京都のデータの補正処理を行ったため、全年4月比で平均賃金額の伸び率が高く出るようになり、さらに、昨年10月、11月のデーターについては、3倍化する修正を行っていたことも明らかになっている。そのため安倍首相は国会の答弁やテレビのインタビューで「今世紀に入って最も高い水準の賃上げが実現した」と偽装・かさ上げされた統計結果を根拠に、アベノミクスの成果を謳歌していたのである。
 
また、厚労省が、神奈川県、愛知県、大阪府などに対して500人以上の大企業に対する全数調査を、抽出調査に切り替えるよう連絡をしていたことも判明しており、不正をごまかすために、組織的に隠ぺい工作を行っていた疑いも濃厚になっている。これらを職員だけの責任に押し付けることはもはや無理がある。
 
今日の朝刊では、「事務次官を処分」との見出しが躍っている。

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いつもそうだが、いざ問題が起きれば、事務次官や局の幹部が処分され、トカゲのシッポ切りをする。政治家は責任を官僚に押しつけるだけ。しかし、おそらく、政治家連中は何も責任を取らないので後ろめたいためか(処分した官僚から告発でもされたらかなわないからか……)、厳しい処分はせず、一時的な「見せしめ」にはするものの、その後は他の部署や天下り団体の幹部に転身し、事実上「復活」したり「栄転」のような扱いをする。
 
こうした仕組みが、度重なる「官の不正」を一掃することにならない理由だ。
「政治主導」なのに、何かあれば政治に責任はなく、官僚にだけ押し付ける。こんなことを繰り返していれば、「政」も「官」も、劣化がなお一層すすみ、国民から―何一つ信頼されなくなるだろう。
 
先の元厚労省の方は、最後にこう言っていた。
「統計や公文書を軽く扱うような国に、まともな政治ができるわけがない」
たしかにそうだ。
 
今日の「東京」夕刊によれば、「毎月勤労統計」の不正を受けて政府は18日、雇用保険の失業給付などを延べ2015万人に追加給付するため、今後数年間で必要となる費用が、総額795億円となり、追加給付の作業に必要な人件費など事務費が4分の1に相当する195億円に達することを明らかにした。

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結局、この事務費の195億円は国民の負担となるという。 
国民の税金で給料をもらっている国会議員や官僚たちが、もうこれ以上、国民に余計な負担を負わせるような仕事をするな!──と声を大にして言いたい。

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「SAPIO」1・2月号に「日本が売られる──欧米や中国などの外資が次々に日本の介護事業者を買収 『日本人の老後』がハゲタカに叩き売られる」と題して、国際ジャーナリストの堤未果氏のインタビュー記事が掲載されている。

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「SAPIO」は、表紙の見出しを一目見れば瞭然だが、保守・右派系の雑誌である。理由はわからないが、今号から月刊から隔月刊となった。中には注目すべき記事もあるものの、率直に言って、何人かの筆者の記事については、とても理解しかねるものであるが、今回はそれらに対して意見するものではない。
 
さて、話を戻す。すでに12月15日の当ブログで堤氏の「日本が売られる」の著書を紹介したが、「民営化」「グローバル化」の名の下で、「水道=インフラ」「農作物=食」「農地=国土」「森林=自然」「薬=医療」「労働時間=健康」「仕事=雇用」「公立学校=教育」「土壌=環境」など、日本人の命や国土保全に関わるものまで次々に、値札が付けられ売られようとしている。
 
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今回の堤氏のインタビュー記事は、その中にもあるが、「日本人の老後」までが、ハゲタカ(外資系ファンド)の餌食になろうとしているということについてリアルに書かれている。
 
「高齢化大国」日本は、ウォール街の投資ファンドや外資系介護ビジネス業者から熱い視線が注がれ、ここ数年でも欧米や中国の企業が日本の介護業界に参入するケースが相次いでいるという。
 
なぜなら、介護ビジネスが、投資家が安定した高配当が得られる「優良投資商品」として急成長し、例えばアメリカではフランチャイズの民間老人ホームや介護施設の不動産投資信託の人気が高くなっているのだ。
 
堤氏がウォール街で証券会社に勤めていた頃、民間老人ホームの投資セミナーに付き合いで行ったときに、主催者が「いかに有望な投資商品か」を説明、「人件費削減」「サービス縮小」「利用率アップ」によって確実に利益を出してゆくこととともに、「回転率アップ」を堂々と公言するのを聞いて背筋が寒くなったという。
「回転率アップ」──すなわち利用者の死を意味するからだ。
 
そして、その後堤氏がジャーナリストとしてアメリカの介護現場を取材すると、全国チェーンの中流向け民間老人ホーム(月額利用料20万円程度)でさえ、人件費を極限まで減らし、50人の入居者をたった一人の介護士が担当、オムツ交換は3に1回、体も拭いてもらえず放置された挙句に意識不明の状態で発見されなくなったという事例もあったという。
 
投資家からすれば、公的制度だからこそ確実な収入が見込める上に、世界でも高齢化のトップランナーである日本では介護の需要は右肩上がり。まさに日本人の老後は、投資家や外国企業から見ると「宝の山」なのだ。
 
さらに、これまで現場は慢性的な人手不足に悩まされていたが、政府が、外国人技能実習生参入に門戸を開き、「量より質」と言わんばかりに、当初実習生に課していた日本語能力のレベルまで大幅に緩和。さらには「改正入管法」成立で、4月からは外国人でも新たな在留資格で介護職に就けるようになり、今後5年間で5万人〜6万人の受け入れを目論んでいるという。
 
「ただでさえ他の職種に比べ平均10万円安い介護士の月給が、安価な外国人介護士との価格競争で引き下げられれば、投資家が喜ぶ『人件費削減』に好都合だからだ」と堤氏は指摘する。
 
また、今後は、保険適用のサービスと適用外のサービスと組み合わせる「混合介護」も進み、事業所はサービスの内容、価格を自由に決められるため「利用料アップ」につながり、富裕層向けの保険外サービスばかりが増え、それ以外の利用者は蚊帳の外に置かれることにもなりかねないとする。
 
堤氏は警告する。
「介護が必要になったとき、ふと地域を見渡すと、富裕層向けの介護施設ばかりになっている光景を想像してほしい。それは日本人の老後が、介護が贅沢品のアメリカ同様、ビジネスに呑まれていく兆候なのだ」
 

詳しくは、「SAPIO」の堤氏のインタビュー記事そのものと、堤氏の著書「日本が売られる」を読まれることをお勧めしたい。
 
 

実は、堤氏は、前にも「保守・右派系雑誌」と言われている「月刊 WiLL」(2014年2月号)に「ハゲタカが狙う日本の医療 TPP」と題して、アメリカの医療、日本の医療について語る、8ページにも渡る大型インタビューが掲載されたことがあった。
 
そのインタビューの最後で、堤氏は、読者に次のようによびかけている。
「保守もリベラルも分断されていることにまずは気づき、『本当に戦うべき相手は誰なのか』『日本を守るために何すべきなのか』を軸に小異を捨てて連携すべき時でしょう。奪われてしまってからでは遅い。ともにこの国を守るチャンスはいましかないのです」
 
私もあらためてそう思う。奪われてからでは遅いのだ。
水道民営化だって、海外で再公営化が大きな流れとなっているが、どこの国でも、再公営に戻すにあたって、企業と結んだ契約を解除する際に、自治体が提訴され、多額の違約金や損害賠償金を支払う羽目に遭っている。民営化の失敗の尻拭いまで、納税者が支払わされるわけだ。不当に奪われたものは必ず取り返すのは当然であるが、奪われる前に歯止めをかけるのが一番だ。
 
まさに、「この国を守るチャンスはいましかない」。

保守やリベラルなど関係なく、日本国民の命と安全、国土と財産をハゲタカ(外資系ファンド)や巨大企業によって奪われ、食い散らかされてしまう前に、声をあげ、意思を示すべきときだ。


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政府は5日、今月中旬にも策定する新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)に関する、自民、公明両党の与党ワーキングチーム(WT)に対し、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの導入を提示し、了承された。

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航空自衛隊が保有する主力戦闘機F15戦闘機約200機のうち、旧型でレーダーなどの近代化改修をしていない99機の後継機として、米国製ステルス戦闘機F35Aの追加購入に加えて、F35Bを新規購入とする方針を示し、了承された。
 
F35には、長い滑走路が必要なA型と、短距離離陸・垂直着陸能力を持つB型とがあるが、今回は99機のうち、A型、B型の割合がどれだけになるのかについては示されなかった。
F35Bは米海兵隊が運用しており、強襲揚陸艦の甲板で短距離離陸・垂直着陸が可能な戦闘機だ。自衛隊への導入は、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦の改修による事実上の「空母化」が念頭にあり、防衛大綱に導入が明記される見込みだが、今回のWTでは政府の過去の国会答弁との整合性を問われ、与党側から「もう少し丁寧な議論が必要だ」との指摘もあり、結論を先送りとし協議を継続することになった。
 
政府は、「いずも」の「空母化」と言わず「多用途運用母艦」と銘打っている。
 
日本は島しょ部が多く、自衛隊の使用する長距離の滑走路が少ないとして、短距離で離陸でき垂直着陸が可能なF35Bの運用が有効だと説明。南西諸島や小笠原諸島などの島しょ防衛での活用が見込まれるという。
 
F35Bは精密誘導爆弾などを搭載した対地攻撃機。F35Bの運用を可能とする「いずも」型護衛艦の改修とあわせて「攻撃型空母」の保有に道を開くことになる。「攻撃型空母」については、歴代政府が憲法違反の敵基地攻撃能力に該当するものであるとして、保有には踏み込めないできた。
 
また、敵基地攻撃能力への転用につながる可能性のある「島嶼(とうしょ)防衛用高速滑空弾」の技術研究を進め、2026年度に装備化をめざすことも示された。
 
政府は与党との調整を経て、新大綱と中期防衛力整備計画(2019〜23年度)を今月18日にも閣議決定する方向だという。
 
F35Aについては、2011年(平成23年)に42機の取得を決定しており、防衛省が来年度の概算要求で6機の取得を要求している。
 
ただ、問題は、この間、日米首脳会談の度に、米・トランプ大統領が「大量の装備品を買うだろう」などの要求とも、命令とも、脅しともとれるような発言をし、安倍首相もそれに同意するかのような発言をしてきた。
 
昨年11月に日米会談を終えたトランプ大統領は、6日の記者会見で「日本が大量の防衛装備を買うことが好ましい。そうすべきだ」と訴え、自身のツイッターでも「軍事とエネルギーで莫大(ばくだい)な発注があるだろう」と発信。
 
今年4月18日の首脳会談後の共同記者会見でもトランプ大統領は、「米国は日本が防衛能力を高めようとしているのを助ける。米国はこの分野では優秀だ」と語り、「これまでは注文から引き渡しまで、何年もかかることがあった。日本が米国の武器をもっと早く買えるようにする」とって語り、安倍首相に兵器購入を露骨に迫った。
 
さらに6月7日の会談では、安倍首相と並んだ記者会見で「防衛関係で製品を日本にさらに購入していただくことになる」と言い切った。
 
そして、9月26日の日米首脳会談後に、トランプ大統領は、国連総会を締めくくる記者会見の中で、「日本は長年、貿易の議論をしたがらなかったが、今はやる気になった」「私が『日本は我々の思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」と、“すごい”という言葉まで加わって成果を誇った。
 
安倍首相は、いずれも、それに対して反論するどころか、「米国の装備品を含め高性能な装備品を導入することが防衛力強化に必要だ」と述べるなど、同意している。
 
そして、11月30日に、G20の会場での日米首脳会談でトランプ大統領は、「日本との貿易赤字は縮小している。日本から約束があったが、米国の戦闘機F35などを数多く購入することは非常に感謝している」と安倍首相に謝意を述べた。

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一連のトランプ大統領の強い私は、前に、いろいなメディアの報道などから、「F35戦闘機20機の追加購」入となると書いたが、実際は、そんなにあまくはなかった。
 
10月13日付「読売」夕刊でも、「F35A20機追加導入へ」とあった。このときはすでに決まっていた42機と追加の20機を合わせて「60機態勢めざす」60とあった。

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ところが、その1か月後くらいから、どうも流れが変わってきて、11月27日あたりの報道では「F35を100機購入」というニュースが流れるようになった。
私も、まさか、まさか、と思っていたらそれは本当だった。

正確には99機のようだが、「100機」が99「99機」と、まるで、八百屋で、100円の卵が99円で売られているようなものだ。
 
 
問題は、その費用だ。
今朝の「東京」社会面には、昨日(5日)の衆議院外務委員会での共産党の宮本徹議員の質疑について書かれている。衆議院のホームページで質疑を見ることができる。

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宮本議員が、F35Aの1機当たりの価格と1機当たりの維持費について質問をしているが、それに対して原田副大臣は、42機で約5965億円、単純に42機で割れば「1機当たり142億円」。さらに42機の30年の維持経費は約1兆2877億円、単純に42機で割って「1機当たり307億円」となると答えている。
 
宮本議員が、「これまで32機購入しているので、さらに100機購入して132機になる。1機307億円を単純計算すれば、掛け算していくらになるか」と再三質問したが、原田副大臣は、何度聞いても「現時点で決定しているわけではない」と答えようとしなかった。
 
実際には、単純計算で掛け算をすれば、100機で3兆700億円で、132機で4兆円を超える計算となる。維持費だけでも、毎年1350億円もかかる。
 
仮にF35戦闘機141機として、機体価格と維持費の両方を計算すれば、約6兆3千億円。今、問題となっている消費税8%から10%への2%増税分は5兆6千億円だといわれるが、それをはるかに上回る。
 
アメリカでは、F35の維持費がF15の維持費より60%も高いことから、会計監査院が度々問題にしているそうで、さらに、今年3月には、維持費が捻出できなくて、世界に配備されているF35の半分が飛べない事態になるというショッキングなニュースもあった。
 
しかも、F35Bは、F35Aよりも複雑な構造をしているため、価格も維持費も高いく、アメリカでは1・3倍かかるという。
 
宮本議員の質問に、原田副大臣は、F35Bの「維持費については承知していない」と答えたが、与党が、防衛大綱に盛り込むことを決定し、今月半ばには閣議決定しようというのに、維持費がどれだけかかるかもわからず、米国から購入することだけをただ決めるというのは常識ではとても考えられない。

 
結局は、「日本防衛のため」というよりも「アメリカ(トランプ大統領)からの要求に応えるため」なのかと思えてくる。
 
 

今朝の「東京新聞」社会面では、さらに「<税を追う>取材班から 戦闘機で買えるもの」と題して、読者から、毎回登場する「兵器ローン残高5兆円突破」「米製兵器維持費2兆7000億円」「地上イージス6000億円超も」などの数字が「あまりに大き過ぎて実感を持てない」との声がよせられたことから次のように説明している。

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「たとえば米国製の戦闘機F35は一機100億円以上する。都市部で定員90人の認可保育所を建てる場合、厚生労働省は建物費用を約2億円と想定しており、土地があれば1機分で少なくとも50カ所、4500分を建てることができる。
 防衛省は2024年度までに42機購入する予定だが、さらに約100機を追加購入する方針が5日、明らかになった。昨年度の保育所の待機児童は全国に2万7000人。6機で全員分の保育所を建てられる計算だ。
『日本から約束があったが、F35などを数多く購入することは非常に感謝している』。先月末、アルゼンチンでの日米首脳会談の冒頭で、トランプ大統領は安倍首相にお礼を伝えた。百機でざっと1兆円。ディール(取引)好きのトランプ氏のことだから大喜びするに違いない。
1機でも2機でも減らしてくれれば、大勢の子どもたちが保育所で元気に遊べるのに。母親たちの願いが聞こえてきそうだ。」
 
もうひとつ、例えをあげれば、今年の10月1日から、政府は、生活保護の受給額を見直し、7割の世帯で減額となった。特に、子どものいる世帯や都市部の単身高齢者への影響が大きく、最大5%、平均1・8%の減額となった。政府は、18年度以降の3年間でも210億円(国費160億円)を減らす。
 
本当に141機も買うことが必要なのかどうかもわからない、F35戦闘機たった2機の購入を控えれば、生活保護費を減らすことはないのである。
 
 
おまけに、すでに米国からの高額兵器を大量に購入するシステムでもある、FMS(対外有償軍事援助)=すなわち後年度支払いの兵器ローンが5兆円以上で、年間防衛予算に匹敵する規模となり、さらに今後大きく膨らむ恐れがある。このままでは、後世に多額の借金を押し付けることになりかねない。まさに、「米国政府と軍需大企業栄えて日本の国滅ぶ」となりかねない。
 
 
政府がなりふりかまわず成立を急ぎ、今日の衆議院本会議で可決成立した「水道民営化法」や、明日にも参院本会議で採決がされる見通しの「入管法改正案」などを見てもそうだが、今の首相や閣僚、国会議員の多くが向ける視線の先には、遠く海の向こうのアメリカや外資のこと、天高くそびえる本社ビルを持つ大企業のことしかないのであろうかとつくづく思う。

もっと近く、もっと低いところで生活している多くの庶民の方を向いて政治を行い、税金の使い方をしっかりと考え直してもらいたいものだ。


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本日5日、自治体が水道事業の運営を民間企業に委託しやすくすることを盛り込んだ「水道法改正案」が参院本会議で、与党と日本維新の会、希望の党などの賛成多数で可決させ、午後の衆院厚生労働委員会でも採決し可決した。与党は、明日6日の衆院本会議で成立させる構えだ。

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世界的に水道事業の民営化が始まったのは1980年代後半からで、1990年代には、世界銀行が発展途上国の水道事業に融資する際に民営化を義務付けたこともあり、旧共産圏やラテンアメリカなど世界中で水道の民営化がr広がっていった。
 
しかし、2000年代に入ると、民営化によって、サービス低下や水道料金の高騰などの弊害が大問題となり、各国で再公営化がすすんだ。英国に本部を置く調査機関の調査によれば、水道再公営化は2000〜2015年の間に、世界37カ国の235カ所にのぼるという。
 
たとえば、1984年に民営化されたフランス・パリでは、翌年から約25年間のインフレ率が約70%なのに水道料金は265%もアップ。2010年に再公営化された。
 
ドイツのべルリンでは、民営会社から買い戻し、再公営化するために12億ユーロ(1500億円)以上を要した。一度、民営化してしまうと、再公営化するためには、多大な時間や費用がかかる.
 
南米ボリビアでは、世界銀行が同国への融資条件として、第3の都市コチャバンバの水道民営化を要求。1999年に米国企業に事業が売却されると、水道料金は倍以上に跳ね上がった。市民が激しく抗議し、軍隊が出動、200人近い死傷者を出した。結局、米企業は撤退し、公営に戻った。
 
アジアでは90年代以降、マニラ、ジャカルタなどで水道が民営化されたが、料金引き上げや水質の問題が発生。住民が再公営化を求める運動を起こし、裁判などを通じた闘いは今も続いている。
 
 
民営化から再公営化した国の分析もしっかりと行わないで、ろくな審議もせずに採決を強行するなど、とんでもないことだ。
 
ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王は、今年9月1日の正教会とカトリック教会がともに祝う「創造の配慮のための世界祈りの日」のメッセージで、「あらゆる水の民営化は、人権を犠牲にするもので容認できない」「水は人間の生存にとって不可欠であり、基本的で普遍的な人権の行使の条件であるがゆえに、安全な飲料水の入手は基本的で普遍的な人権だ」と述べ、水の入手が困難であるか不可能な人々が多数いるとして、「水資源や地下水の保全が緊急に必要だ」と訴えた。
 
水道は、空気と同じように、人が生きていくために欠かせないものであり、だからこそ、営利企業が独占した場合には、価格高騰が起こる。また、利益最優先となるため、老朽化した施設の改修などが軽視される。
 

専門家からは「売上にならない水道管の補修がないがしろにされる可能性もある」との指摘がある。
 
菅義偉官房長官が5日の記者会見で「水道は施設の老朽化や人口減少に伴う料金収入減少などの深刻な課題に直面している。今回の法案は安全な水の安定供給を維持していくため、水道の基盤強化を図るものだ」と述べているが、そもそも、ウォーター水メジャーやウォーターバロンにとって魅力なのは、人口密集した都市部の水道事業である。はたして、人口減少の顕著な地方の水道事業に手をあげるのだろうか。
 
「民間活力導入」で、最近、地方自治体の役所の窓口業務や、公立病院の仕事を民間委託して、結局は逆に委託費などが高くついてしまうケースがある。保育園の民営化だって、株式会社は、駅に近い人口の多い地域でしか手をあげない。儲けにならなければ撤退だってする。
結局、儲けになる、うまみのある仕事はやるが、そうでないことにはやらないというのが民間だ。それをやってもらうために自治体・公的機関が金を出すとなれば、結局は、公営でやるより高くつくようになる。
 
今日の午後の、改正案が送り返された衆議院の委員会では新たな事実が発覚した。先月、辞任した官房長官の補佐官が、情報収集のためにヨーロッパを視察した際、フランスの大手水道会社『スエズ』の車で移動していたという。

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野党は「今後、利益を受けるかもしれない企業に、移動を委ねるのはいかがなものか」と追及したが、内閣府民間資金等活用事業推進室・石川卓弥室長は「判断に役立つ情報を収集するためには現場を細かく見る必要がある。そこはやむを得なかったのではないか」と主張したが、まったくの言い逃れであり、開き直りである。
 
29日の参院厚生委員会では、水道などの公共部門で民営化を推進している内閣府民間資金等活用事業推進室で、水道サービス大手仏ヴェオリア社日本法人からの出向職員が勤務していることも明らかとなっている。
 
そういう問題も含めた、突っ込んだ議論がまだまだされていないのである。

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もうひとつは、外国人労働者の受け入れを拡大する、いわゆる“移民受け入れ法案”ともいえる「入管法改正案」だ。
「入管法改正案」は11月27日に、衆院法務委員会で強行、衆院本会議で、自民や公明などの賛成多数で可決された。参院法務委員会は5日の理事懇談会で、安倍晋三首相が出席する質疑を6日に行うことを決め、野党が求めていた首相が出席する質疑に応じることで、与党としては7日の参院本会議での成立を目指す構えだ。

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この問題も、日本の国の在り方にもかかわる重大な法案である。しかし、審議時間は、わずか17時間(野党が委員会を欠席した時間を何もせず時間を経過させる「空回し」分なども除けば実質審議時間は13時間程度)。
 
この間、ニュースでも報じられているように、日本に来た外国人技能実習生に対する待遇が大きな問題となっている。
 
1日16時間、18時間と休みもなく働かせられ、時給300円という例。作業中に機会に指を挟まれて切断すると治療費も自分持ちで「国に帰れ」と言われた例。さらにベトナムに原発はないにもかかわらず原発の除染作業に従事させられた例もある。
 
国内では外国人技能実習生の「失踪」が相次いでおり、昨年は7089人と過去最高となり、今年も6月までで4279人と昨年を上回るハイペースで推移している。
 
テレビや新聞の報道では「失踪」と言っているが、これは「失踪」ではなく、奴隷のような過酷な労働環境やセクハラ・パワハラ・いじめなど、危険な状態からの「脱出」である。


今日の夜のNHKニュースでもやっていたが、ベトナム人の技能実習生や留学生の自殺も後を絶たない。

 
これらの背景には、どんなに待遇や体調が悪くても、ものを言いにくい技能実習制度の構造的な問題がある。来日前に100万円以上の保証金などで借金を背負わされたうえ、送り出し機関から労働基準監督署や弁護士への相談を禁じられるケースもあるという。
 
こうした外国人技能実習生の問題は、日本が「カローシ」と「サービス残業」の国であるとともに、外国人を奴隷扱いする国として、国際問題に発展しかねないものであり、まさに「21世紀の奴隷」ともいえる
 
そんな状況にメスをいれることなく、今度の法案によって、外国人労働者をあらたに34万人も受け入れるという。
 
この法案は、そもそも財界からの強い要望があったもので、日本の完全失業者数も2018年9月で162万人いるというのに、外国人がどんなきつい仕事でも、文句も言わず働く、安上がりな雇用の調整弁にうってつけだと思っているのではないだろうか。
 
 

水道民営化法案も入管法改正案も、日本名の将来を危うくする亡国法案であるとともに、世界の中で日本が極めて遅れた国であることをさらけ出す法案でもある。
 
いずれの法案も、将来に禍根を残さないよう廃案にすべきである。

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日産自動車のカルロス・ゴーン前会長(64)が11月19日に東京地検特捜部に金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたことは、日本と世界に大きな衝撃を与えた。

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前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)とともに、逮捕されたゴーン氏だが、逮捕・拘留されて11月29日で10日が経過、2人の勾留期限は30日までだったが、特捜部が勾留の延長を求めた結果、東京地方裁判所は1日から10日までの10日間、勾留を延長することを認める決定をした。
 
日産自動車の西川廣人社長は、11月19日の記者会見で、会社の調査でゴーン会長が主導した重大な不正行為として、次の3つをあげている。
①ゴーン会長の報酬を有価証券報告書に実際よりも少ない金額で記載していたこと
②私的な目的で「投資資金」を支出したこと
③私的な目的で「会社の経費」を支出したこと

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これまでの報道によれば、ゴーン氏の直接の逮捕容疑は、2011年3月期〜2015年3月期の5年分の役員報酬について、半分の計50億円と偽って有価証券報告書に記載をしていたという金融商品取引法違反の疑いである。
 
ゴーン氏は東京地検特捜部の取り調べに対し、「高額な報酬に対する批判を避けるため、報酬の半分を役員の退任後に受け取ることにしていた」という趣旨の供述をしており、「後払い」で報酬を受ける予定なので記載する必要はなく、違法性はないと主張しているという。
しかし金融商品取引法は、役員報酬を退任後に受け取る場合でも、確定した受領額を各年度の有価証券報告書に記載しなければならないと定めている。
 
そのこととともに、報道されていることが事実であれば、ゴーン氏による日産の「私物化」は目に余るものがある。
 
オランダにある日産の子会社である「ジーア社」に、ブラジルのリオデジャネイロと、レバノンのベイルートで高級住宅を購入させ、その住宅を家族に使わせるなどしていたという。
ゴーン氏が、ブラジル生まれで、幼少期から高校まではレバノンで生活したということとも関係がありそうだ。
 
これまでの報道では、「ジーア社」は、日産が50億円超で設立した会社で、実体のないペーパーカンパニーの2つの法人を通じて、2011年から翌年にかけてリオやベイルートの高級住宅を購入させていた。問題の2法人はいずれも「パナマ文書」などで問題にされたタックスヘイブン(租税回避地)に設立されていた。
 
住宅の購入費はリオが6億円で、ベイルートが15億円だった。この計21億円は、日産が投資名目で用意した。高級住宅はいずれもゴーン氏が私的に利用していたが、有価証券報告書にはゴーン氏の報酬としては記載されていなかった。
 
そのうえ、フランス・パリやアメリカ・ニューヨークでも同様に日産の資産を私物化していたとの疑惑が浮上している。
 
さらにデリバティブ取引など私的な投資で生じた損金17億円を日産に付け替えをさせた疑いのほか、ヨットクラブの会員費や家族旅行の代金を出させたり、自分の姉にアドバイザー契約を結ばせたりして多額の資金を提供させていたという疑惑も報じられている。
 
これらの私物化資産については、ゴーン氏は公にはしていなかった。日産側もごく一部の幹部しか知らなかったという。
 
これらの事態がなぜ起こってしまったのかについて、「過度な権限の集中が原因だ」「同じ人間が執行と監督の双方を兼ねる体制が問題で、ガバナンスの不備がトップの暴走を許す土壌となった」などいくつかの要因があげられている。

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今回の1件は、日産とルノー=フランス政府の3社間での、経営統合などをめぐる問題にも影響を及ぼすといわれている。11月22日に日産、26日には三菱自動車が取締役会でゴーン氏の解任を決定したが、ルノーは、ゴーン氏の会長兼最高経営責任者(CEO)を留任させている。それにはフランス政府の後押しがあったといわれている。
 
一部の報道によれば、フランス政府は、ゴーン氏逮捕への対抗措置として、日本とフランスで共同ですすめている次世代原子炉開発について、2020年以降、計画を凍結する方針を日本側に伝えてきたという。フランスだけでなくアメリカでも、今回の逮捕に対し批判的な見方が出ている。
 
国内でも「日本のCEOに比べて日本のCEOは額が少ない」「ゴーン前会長と特捜部の全面対決」「日産の責任よりもルノーの責任だ」など、なかばゴーン氏を擁護するような論調もみられる。
 
私は、会社を食い物にしたゴーン氏が起こした数々の「私物化」がなぜ起こったのか、権限の集中を防げなかったのか、そこが今回の事件の重要な核心だと思う。
今後、二度とこうした問題を起こさないよう、徹底した捜査をすべきである。
 
 
しかも、会社の最高責任者として、多額の報酬を手にしていた人物だからこそである。
 
有価証券報告書に記載されたゴーン氏の報酬で、現在、虚位記載として問題となっているのは、2010年(平成22年)度から5年間の計49億8700万円で、実際は99億9800万円で、約50億円の過少申告があったとされている。
 
それ以降の報酬は、日産だけで、
2015年度 10億7100万円
2016年度 10億9800万円
2017年度  7億3500万円
 
しかし、ゴーン氏は、三菱自動車工業やルノーの会長やCEOを務めていたため、2017年度だけで三菱自動車工業から2億2700万円、ルノーから9億5000万円の報酬を受け取っていたため、2017年度だけを見ると、あわせて、19億1200万円となり、かなりの高額だ。
 
こうした自身の報酬額について、ゴーン氏は「ほかのグローバル企業と比べて決して高くはない」などの発言を繰り返してきた。 

昨年(平成29年)6月の株主総会(2017年6月27日)では、前年度のみずからの役員報酬が過去最高となる10億9800万円だったことを明らかにし、「業績や事業への貢献と、日産と同じ規模のグローバル企業におけるCEOの報酬水準も分析した上で決めている。役員や幹部クラスのほぼ半数は外国人だ。競争力を維持するためには、多国籍の優秀な人材をつなぎとめないといけない」と述べていた。
 
「読売」12月1日付の報道では、日産のゴーン氏の不記載分の報酬が、2016年度が約13億円、2017年度が屋16億円を超えると見られ、それらを含めると、直近の2年間の報酬が、それぞれ24億円にのぼる疑いがあることが関係者の話でわかったという。

ということは、2017年度のゴーン氏の三菱自動車工業とルノーを合わせた報酬は、なんと35億円ということになる。

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35億円といえば、年収500万円の労働者なら700人分の年間給与だ。若者の平均年収である300万円なら1200人分の給与を出せる額である。
 
ゴーン氏も、働く労働者も派遣やパートの労働者も同じ人間であるはずだ。
1人の人間の価値が、700倍も1200倍もの巨大な差が出てしまうものなのだろうか。
「グローバル化」だからとか、「他国のCEOに比べて低い」とかいう議論は、さらに人と人の格差を広げてしまうことを正当化する理由となってしまうのではないだろうか。
 
おそらく、「35億円の報酬」などというのは、低賃金で働く若者たちには「雲をつかむような話」だろう。特に非正規労働で、少ない給与のため、国保料や年金保険料も払えず、1日の食事の数も減らしているような若者たちにとっては「別世界の話」と思えるかもしれない。

しかし、ゴーン氏については、「コストカッター」の異名を持つように、1999年に1999日産の最高責任者に着任して以来、「日産リバイバルプラン」を打ち出し、2万1千人の人員削減を行うとともに、5つの工場の閉鎖によって、関連する中小の部品工場や関連会社の倒産・廃業にもつながった。

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日産で派遣切りに遭った女性がインタビューで「従業員の人生を踏み台にして私腹を肥やした。許せない」と怒りを露わにしていたが、たくさんの日産労働者と中小企業経営者と従業員、そしてその家族の多大な犠牲の上に、今日の日産という会社があったはずだが、それを私物化した「コストカッター」の罪は二重に重大であることを忘れてはならない。

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アメリカでは「1%の富裕層の資産が、残り99%の貧困層の資産すべてよりも多い」という“超格差社会が問題となった。
世界でも、オックスファムが、今年1月に発表した報告書によれば、「昨年、世界で生み出された富の82%を世界の最も豊かな1%が手にした」「一方で世界の貧しい半分の37億円が手にした富の割合は1%未満だった」ことを明らかにした。
 
日本も、「株主資本主義」ともいわれる、株価を上げることが経営者の仕事であるかのようになり、大株主の配当やCEOの役員報酬をいかに大きくするのが企業の目的のようになるにつれて、格差も大きくなってきた。
 
そんな“格差社会”がどの国でも深刻となる中で、新しい波が生まれている。
資本主義の権化ともいえるアメリカでも、イギリスでも、若者たちが社会主義を支持する現象が起こっているのである。 
 
グローバル資本主義の中心地である、アメリカ・イギリスでは、大企業や富裕層はますます富む一方で、若者が多額の学生ローンに追われたり、高い家賃、不安定な仕事、低収入などで、当たり前の生活ができないという「格差社会の拡大」に疑問と批判を抱き、今までの政治に変わる「変化」を求めて、若者たちの政治参加がすすんでいる。
 
米国では、昨年の大統領選での「サンダース旋風」に続き、今年11月の中間選挙では、DSA(民主主義的社会主義者)が下院2人、州議会7人当選し、DSAの会員数が、16年の秋が8500人だったものが、今年9月には5万人を突破し、さらに急増しているという。
アメリカのギャラップ社の世論調査では、資本主義への肯定的見方は12%も減り、45%にまで低下したが、一方で社会主義を肯定的に見る人が増え、特に18歳〜29歳の青年だと51%にのぼる。日本の新聞でも「米国で社会主義旋風」と見出しに書いている新聞もある。
 
一方のイギリスでも、一昨年の労働党党首選で、社会主義的政策を掲げるコービン氏が再選され、昨年の総選挙では、労働党が若者の支持を得て30議席増の262議席を獲得し、政権奪還には至らなかったが保守党を単独過半数割れに追い込んだ。英労働党の党員も09年15万、16年19万人、昨年末で56万4千(保守党は12万4千人)と大きく増やしている。
 
アメリカで起きたことは5年後には日本でも起こると言われている。
はたして日本でも、「格差の拡大」を「是正」するために多くの若者たちが立ち上がる日が来るのであろうか。





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