CASE_BLUE

永遠の白 悠久の蒼 そして心の翠

小説

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万物の霊長が人ではなかった遥かな昔
キムハケヌという名の大陸の北にソアダウ
と呼ばれた平原に生きた、後に人の言葉で「神の炎(シバプー)」と呼ばれた1匹の狼の話をしよう。

今、我々が「月」と呼んでいる星が、100万回昇り、「太陽」と呼ばれる星が100万回昇った日に、その狼は生まれた。

狼には、父は無かった。
兄弟も無く、ただ、母のみがその狼の傍らにいるだけだった。母の名はチオサ、人の言葉で「憐れむ者」と言った。

チオサは1匹の力で、狼を育てた。
あまり狩が巧くは無く、もとより、体が丈夫ではなかった。それでも、狼のために、僅かな獲物を与え、チオサは自信は獲物を自ら食らうことはなかった。狼に与える獲物を捕まえるために、一匹のものとしても十分ではなかったが、狼は、チオサが自分のために獲物をとってきてくれていることに感謝していた。そして、早く自分がチオサのために狩が出来るようになりたいと願った。

チオサの体は日に日に弱り、狩もままならなくなった。あるときチオサは狼に言った「お前のためにがんばってきたんだ」さらい言った「お前さえ幸せならば、お前さえ、おなかいっぱい食べられれば私はかまわない」チオサはさらにこう付け加えた「お前のために全てを犠牲にしてきたんだ」そういうとチオサは眠りについた。

狼は思った。
「感謝はしている」
「誰が自分を犠牲にしてくれなどとたのんだ」
狼も眠りについた

それから「月」が5回昇り
そして「太陽」が5回昇った日
狼は狼の長から「シバプー」の名を授けられ
狼は部族の戦士となった。

戦士となった狼は不死身になる。
2つの例外を除いて、、、
1つは、守るべきものを失ったとき
2つは、牙を失ったとき
二つが共に失われたとき、戦士となった狼は、永遠に命を失う

シバプーの名を授けられた狼は
はじめは母のために、母を無くしてからは部族のために戦った。シバプーは常に戦いに勝ち続けた。

あるときシバプーには守るべき者が出来た
キニと言う名だった。
シバプーはキニのために戦った
キニを守るために、、、

あるときシバプーはキニに言った
「キニのために戦う」と
「どんなことがあっても、どんな目にあっても、自分はどうなってもいい。全てはキニのために」
キニは言った
「シバプーはキニにやさしかった」
「シバプーはキニのためにがんばってくれる」
「シバプーはいつもキニの困ったとき助けてくれた」
「でもね」
「キニはキニのこと自分で決めたいんだ」
「たとえ間違ったり、遠回りだったりしても」
「それとねシバプー」
「シバプーはみんなにやさしいけど、それはね
誰にもやさしくないのと一緒なんだよ」
そしてシバプーはキニを失った

キニを失った後もシバプーは戦った
シバプーの体は傷つき、たくさんの血を流した
自ら流した血の量よりも、流させた血を遥かに多かった。生きるため獲物を狩、守るため、敵と戦った。

狼の戦士にも最後のときがやってきた。
その敵は群れで襲ってきた。
シバプーは戦った。だが、あまりにも敵は多すぎた。そして強かった。シバプーが今までの戦いで受けた傷も戦いを不利にした。
何よりキニを失い、守る者失った狼の戦士は、もう無敵の戦士ではなくなっていた。

そして、ついに、シバプーの牙わ折れ
シバプーは死んだ。が、シバプーの最後に守りたかった者達はなんとか守ることが出来た。
皮肉なことに、シバプーが守りたかった者達を傷つけていたのは、シバプー自身だった。その守りたいという気持ちが、守られるものを傷つけていたのだ。敵と思っていたものが、救い主となった
せめてもの慰めは、真実を知らずにシバプーが死んでいったことだ

狼の長が言った
「狼の戦士の魂は天に昇りまた大地に降りてくる」
「だが、牙を無くした狼の魂は大地に降りてももう二度と狼として生まれ変わることは無い」
「牙を無くした狼は、狼として生きることは出来ないのだから」

シバプーの魂は人の姿に生まれ変わった
遥か遠い昔から、牙を無くした狼の心は人の中に何代も受け継がれている。神の炎を宿した魂として


おわり

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ここはある街にあるとてもとても古い図書館
いくつもの時代をまたいだ、その建物は
その図書館を訪れるものも
働くものにとっても
生まれる前よりそこにあった
とてもとても古い建物


この図書館には
古い伝え言葉があって
図書館の中で一番の古株の司書が彼の前任から聞き伝えの話ではこうだ
「この建物のどこかで、何かをすると、願い事1つと、宝物が2つ手に入るそうだ」

この
判っているのは『この図書館の中で』という以外、得体の知れない話は、『願いが1つと宝物が2つ』このくだりのおかげで、多くのうわさや伝え言葉と違って、長い歴史の中にあっても消えなかったものと思われるのだけど、この図書館、建物の持つ面影や、中の空気が又、その他愛も無い話に、ほんの少しのリアリティを与えているようでもあった。



彼はこの町に着たばかりで、街の事は未だ良くわからずにいた。
この街で、彼の部屋と、彼の通う大学、三番目に訪れた場所がこの図書館だった。
最初は図書館と気がつかなかったようだ。
何か建物に惹かれるものがあったのか、彼は中に入って、ここが何に使われている場所なのかを知る。
歩くたびに、ゆかが「キィキィ」鳴いた。
磨り減った手すりを頼りに、二階に上がってみる。

書架の他に、木製の長いテーブルが3つ、いすが並んで、アーチ型の窓から指す日の光は、長テーブルに十字と半円型の窓の影を描いていた。

一番奥のテーブルの一番の窓がわに、一人、座って本を読んでいる。

他には誰もいないようだった。

音に気がついたのか、他人の気配を感じたのか
本を読むのを止めて、頭を上げてこちらを見た。

相手が頭を上げるもすぐに、とっさに彼は頭を下げた。自分の足音が読書の妨げになったのではないかと思ったからだ。

彼が顔をあげると、こちらを向いたままの相手と目が合った。

黒くて長い髪
透き通るような白
やせていて
綺麗な、そして優しい瞳を
こちらに向けた彼女は
軽くお辞儀をした。

それ以来
この場所は、彼にとって、この街で部屋と大学の次に時間を過ごす場所になった。

彼は、いつも彼女が何の本を読んでいるのかがとても気になった。

近くを通り過ぎて調べる作戦を、何度となく試そうとしたが、近づくことさえ出来ずに失敗

仕方がなく、内容ではなく、一番厚さのある本を二階の書架から探し、それを手元において読んだ。いや、読むふりをしていた。
彼女が本を書架に返したあと、そっと書架に近づいて調べるのが、彼の作戦だ。

彼女はいつも決まって、日が沈むころに読書を切り上げる。

彼女の読んでいた本は「Angel_hart」とタイトルが書かれた赤い革表紙の本

彼はその本を手にとろうとした、が、途中で止めてしまった。
帰ったあとに、こっそり人の読んでいた本に触れる後ろめたさと、この本「Angel_hart」と書かれた本が、図書館の蔵書であるはずなのに、なぜか、彼女だけの本のような、彼はその時そう思えてならなかったからだ。

その後も、彼は図書館で
中身ではなく、厚みで読書をする日が続いた。
席は彼女のちょうど対角線にあった。
日の差さないくらい席だ。

そんないつもと変わらない今日が
この日、小さな変化があった。
日が未だ沈まないのに、彼女が立ち上がった。

彼女はいつも先にきていつもの席に座って、いつもの本を読んでいた。彼がどんなに早くきてもどうしても彼は、この場所で二番だった。

彼の座っている席まで歩いてきて云った
「せっかく本を読むのなら、日の光のさすところで読んだほうがいいですよ」

歌っているようなリズム

囁くような大きさの

優しい声


次の日から、彼の指定席は、間に長テーブルをはさんだ正面向かいになった。


彼は思った
話さなくては
ずっと、ずっとそう思い続けてきた。
話さなくては
そればかり考えてきた。
何を話す
それは思い当たらなかった。
今日、この時までは

彼は想った
心を言葉にしよう
答えを見つけた
気持ちをありのまま話そう
そして知った
恋をしていることを


彼は彼女に向かって歩いた
そして彼女の側にたった
彼女は気がつかないのか
顔をあげない。
彼は彼女を視線を落とした。
その時
今まで見ることがなかた
「Angel_hart」のページが見えた

そのページにはこう書かれていた
『彼は彼女に向かって歩いた
そして彼女の側にたった
彼女は気がつかないのか
顔をあげない。
彼は彼女を視線を落とした。
その時
今まで見ることがなかた
「Angel_hart」のページが見えた』
そう書いてあった

彼は驚き
「あの、、、この本、、この本は、、、」
言葉にならない。声を絞り出すのが精一杯
それでも、この静かな場所であっても、人に聞こえる声ではなかったかもしれない。

もう一度
「あの、、、あの、、、」
彼は彼女の名前も知らなかった。

ただ
同じ言葉を繰り返していた


その間も彼女は、ひと時も本から目を離さないでいた。彼が話す言葉にならない言葉を、その優しい瞳で見つめていた。ただ、今日の彼女の瞳は、いつもよりも悲しげに見えたかもしれない。

彼が彼女の瞳を覗くことが叶っていたら。

その間もページは進んだ。
この本に残されたページも
最後の数ページになっていた。

彼は、彼女に未だうまく話せないでいた
彼はどうしても声を出せないでいた。
彼はせめて彼女に振り向いてもらおうと
自分を見てもらおうと、彼女の肩に触れようと手を伸ばした。

彼の手が彼女の肩に触れた
本当は
触れる少し前
後ほんの少しのところで
彼女は全身を白い光に包まれて立ち上がり
悲しそうな目で彼を見た。
彼女の背中には白い翼が広げられていた。
彼女の姿の後ろに、書架が透けて見えるような気がした途端、彼女は翼を1度だけ羽ばたかせ
上へ昇っていった。

もう彼女の姿は
天井を通り抜けてしまい
彼には見ることが出来なかった

彼女の姿が消えて少しの間、呆然としていた彼は、彼女の消えた後に、彼女の本だけが残されていることに気づく。
彼は彼女の指定席に座り
本に触れた。


本は、もう、最後のページ
彼は本を読もうとした。
その時彼と本に変化がおきた。
本にかかれた言葉が、後ろから消えてなくなっていく、それも、ものすごいスピードで、、、
ページの文字が消えていくのにあわせるかのように、彼の記憶から彼女が消えていった。
光に包まれて消えていったこと。
心を言葉にして話そうとしたこと。
初めて彼女が声をかけてくれた日のこと。
中身ではなくて厚みで本を読んでいたこと
この図書館のこと

全てが消えていく、ものすごい速さで
消えていくことを悲しむことも出来ないほどの、恐ろしいほどの速さ。
彼は想った
「このままでは全部が無くなる」
彼は想った
「全てをなくしたくない」
それでももう大部分の思い出が失われていた
「何か1つでも」
もう残されているものは
「たったの1つだけでも」






彼の願いは叶えられた
彼は最後に望んだ
『言葉に出来なかったこころ』
これだけは、彼の中に残った

全てを失ってしまったけれども

図書館も
読書も
幸せな記憶も
彼女のことも
誰を愛したかも

彼に残った
「言葉に出来なかったこころ」
それは
「私はあなたが、大好きです」

この言葉

このこころは彼に残った

でも

もう

彼は

誰を好きだったのか思い出すことは無い

「言葉に出来なかったこころ」

以外全てなくしてしまったのだから

彼に残ったもの
全てを失う瞬間に
失いたくないと願ったもの
それが
かれの
「宝物」
そして残されだ1冊の本
「Angel_hart」とタイトルのつけられた、赤い革表紙の本
これが
彼女の残した彼への
[宝物]

そして願いも叶えられた
彼の願い
「たったの1つだけでも」


彼は今も
この図書館のこの場所で
本を読んでいます
無くしてしまった誰かの為に
彼が叶えた願い
彼の2つの宝物と共に



この話は架空です
「果てしない物語」より
アイディアを使っているところがあります

そして
司書も彼も彼女も
更に
語り部すらも
みんな実在しません
たとえ実在しても
この物語とは
無関係です
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ここに男が二人
一人の男はいすに座り
一人の男は立っている
立っている男の手には
誰もが知っているゲームの駒が1枚
その駒は片方が黒色
片方が白色に塗り分けられている
男は
テーブルの彼の近い側に
その駒を置いた

男は云った
「君の前においているゲームの駒、表は何色かね?」

いすに座った男は
置かれた駒を見て答えた
「白だ」

男はそれを聞き云った
「これはキミが、正直者か嘘つきか、われわれの敵か、或いは味方かを調べるテストだ」

そして男はもう1度云った
「駒の表の色は何色かね」

男は目をこすってもう一度見ていった云った
「白だ」

「もう一度見たまえ」
と男
「よく見るんだ」
その声は静かではあったが男に恐怖を植え付けるものとして効果があるようだった

男の顔色が変わった
だが
男は
男が何を男に求めているのか未だ判らないでいた
「白だ、白だ、ほかに無い、しろだ」
男は叫んだ

男はそれを聞き終わると
何の前触れも感じさせずに
男を殴った

男は床に転がって
苦しそうに咳き込んだ

その姿を見下ろしながら
男はテーブルの上からゲームの駒を取り
転がっている男の前においた

そして男は云った
「駒の表の色は何色かね」

男は云った
「しろだ!ほかに何があるというんだ」

その問いに男は答えた
「黒だよ、キミ」

それを聞き男は訳がわからないといった表情をした

更にの男は続けた
「もう1度良く見たまえ」
1呼吸おいて
「駒の表の色は黒色じゃないかね?」

男は見た
そして答える
「黒じゃない!しろだ!しろだ!」

それを聞き男は
転がっている男の腹や背中を蹴った
男は咳き込み
小さくうずくまって体をちぢめる

その姿を見ながら男は
少しの間
何もしないで彼を見ていた
やがて咳が収まると
男をいすに座らせた
そして云った
「キミは私たちを誤解しているよ。私たちは君を裁きたいのではない、助けたいのだ。それには君の協力が必要なんだよ。」
間をおいて
「わかるね?」
それから少しの間
立った男は座った男を見ていた
まるで考える時間を与えるかのように
そして静かに言った
「今、床に転がっている、あの小さな、ゲームの駒、あの駒の表に色は何色かね?」

男は思った
今度ももし白と答えたら
きっと殺される
でも駒の色は白だ
彼は私を助けるといっている
黒といいさえすれば
黒とさえ云えば、、、


彼が考に要した時間は
彼にとって
永遠であって
無限のように思え
それでいて
期限がさし迫っているものにも思えていた。
しかし
回りのものの時間としては
ほんの僅かのものでしかなかった

突如
扉の向こうで爆発
内側に倒れた扉に乗って
煙と
激しい音が
音を消されたこの部屋にあふれていた

1連の銃声
立った男は
自分の意志でなく
床におちた

外から入ってきた男が
いすに座った男に言った
「ご無事でしたか」
矢継ぎ早に
「助けに参りました。もう心配ありません」

座った男は立ち上がり
床に転がった男を見た

その視線は
今は
男を離れ
床に転がったゲームの駒に注がれていた

男はそれを手にとり
救助にきた男の近いところに置いた

男は云った
「キミ、机の上においてあるゲームの駒、この駒の表の色は、何色に見えるかね」

救助にきた男は云った
「白です!しろですが、、、それがなにか?」

男は云った
それは
少しだけ笑ったようにも見えた
「そうか、白か!白に見えるか」

そして力なくいすに倒れかけ更に言葉を続けた
「そうだ、駒の表の色は白だ」

男は顔をあげて更に
「だがねキミ、キミが来る、ほんの少し前、ほんの数十秒前まではね、私には、確かに、この駒の表の色が黒く見えたんだよ、、、黒く見えた、、、黒色に、、、」

そう云うと
事情を飲み込めぬ男の横を抜け
床に転がった男の前まで歩いていった
そしてしゃがみこみ
転がった男の耳元で男は云った
いや
叫んだ
この場合
そのほうが正確だ
むしろ絶叫ともとれるものだった
「駒の表の色は白だ!しろなんだ!何度聞こうと白だ!殴ろうと蹴られようと!白だ!わかったか!白だ!こまのいろはしろだ!!」


終わり


ここに出てくる
座った男と立った男
それと
救助にきた男は
実在はしないと思われます
 

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「すみません。こっちのピンクの1つください」
と彼

「ガーベラですね。」
と、女性が答える

「贈り物ですか?」
と、女性

「そう、いや普通でいいです。」
と、彼

そう
この花は
贈り物には違いないけど
今は
送り主に手渡すことも
見せることも出来ない

いや

この花を持って
あの部屋に行けば
今日の彼女はもう
目覚めているかもしれない
そうだ
それだってありえるんだ
それを信じてるからこそこうやって、、、

「あの〜」
と、覗き込むように女性

「えっ」
驚いたように彼は女性に向きなをって

「210円です」
の声に

慌てて財布の小銭を捜した



「ありがとうございます。」
の声に、見送られて、少し顔を赤らめた彼が、彼女のいる部屋に着くころには、顔の赤みも消えていた。

『306』とつけられた部屋には
白ばかりで、他の色が殆ど無い。
彼が毎日1輪買ってくる花を除いて。


彼女はこの部屋で過ごすのが
今日で25日、もっとも、彼女に時間の経過を知るすべがあるとは思えない。あったとしても
せいぜい、あの日の次の日の朝を普通に目覚めたぐらいのものであるに違いない。
彼にとっては、きっと、その何百倍もに感じられたに違いない。

あの日

あの場所で

彼女は、彼の目の前で、すーっと、消えるように、崩れ、倒れた。その姿を、彼は今も思い出せる。

救急車を呼んで
たどり着いた場所
同じ建物で
最初の部屋とはちがっているが
ここにきて25日時間が過ぎていったことと、その間に、症状も何も知れなかった。

はじめの何日か
多分、休みをはさんで5日ぐらいは
ずっと彼女のそばに彼はいた。

そうしているうちに
今度は彼自身が疲労で倒れ
お医者のお世話になる事態になったり
自分の抱えている仕事をこれ以上
ほっておくことも出来ず
何よりも
身寄りのまったく無い彼女の
入院の費用も考えなければならなかった彼は、仕事の終わった後や、出先から戻る途中の道なりや、少しの時間を見つけて、彼女の部屋に顔をだした。

そんな日が10日も続いた
いつものように、彼女の部屋に向かって歩いている途中、『フラワーショップ』の看板が目に入った。

不思議なことに
今日まで、気にも留めなかった。

「たまには花くらい贈ってくれるといいのにな」
そう言っていた、彼女の言葉を思い出した

それでも入るかどうか迷っていると
女性の声
「いらっしゃいませ」
の声に背中を押され
お店に入ってケースを覗き込む。

花の匂いに満たされたこの場所は
だいぶ昔の、彼と彼女の思い出をよみがえらせる。
彼女 微笑みながら彼に「かわいい花でしょ?ガーベラって云うのよ。この花」

彼 あまり気持ちの無い返事「へー」

彼女 伝えるように「黄色もかわいいけど、私はピンクが好き。長持ちだし、それに値段も高くない」

彼 これでご機嫌が取れるなら、、、「良し!じゃあ買うよ」

彼女 あわてて「ちがうって!」

彼 このくらいなら平気なのに「なにが」

彼女 単純なのだから「買って欲しいのじゃない」

彼 もっと高いのなのかな、ホントは「だって、さっき!」

彼女 最初に云ったじゃない「贈って欲しいのよ。私は」

この花が選ばれた理由は、こんな理由からだった。

毎日1本

最初の日は
花瓶と、なにやら、花が長持ちするという、薬も買った。

毎日1本

そのうち
ピンクにもいろんなピンクがあることに気がついた。

そして今日が10本目

結局今日も彼女に花を見せれなかった

彼は決めていたことが会った
「彼女が目覚めたら」

伝える言葉があった
そのためにも
「早く目覚めないかな」

彼には
彼と彼女にとって
特別な日があった

日付も変わってしまったので
後14日

その日は、彼女の誕生日だった

そして
彼にとって
人生最大の試練を課す日と決めていた。
もちろん
そんな彼の決意は
彼女は知らない。


花を買い続けて
2週間がたった。
最初のころ買った花がだんだん元気がなくなってきたのを見るのが、彼にはとてもつらかった。

「想ったよりも長く綺麗でいられるものなのだな。花って」
ぼんやりそんなことを想いながら

「出来たら後と10日くらいもってくれてもいいのに、、、そうしたら」
その思いが理不尽とは、知っていても

花を買い始めて今日で14本

あと、11日で誕生日

後11本で25本

その数こそ

その日迎える彼女の数に他ならなかったから

彼は
「花を取り替えたら、意味が薄れてしまうな」
などと想いながらも

「目覚めたときに萎れててはしゃれにならない、、、」
そうこころに言い聞かせて
思い切って元気のなくなってきた花を取り替えることにした。


今日は彼にとって
そして彼女にとって
記念日だ。

そして
もしかしたら
この日が
このあと
二人にとって
もう一つの意味を与えられる日になるかもしれなかった。

彼は
今日は仕事を休み
ポケットに小さな箱を忍ばせて
部屋を出た。

いつもの花屋によって
いつものように花を買った。

いつもの道を通って彼女の部屋に向かった。


彼が彼女の部屋に着くと
やはり彼女は、眠っていた。
少し残念な気持ち
花がそろう前に彼女が目覚めていなかったことを少しうれしくも考えたり
それでいて、今日も目覚めなかったらとの不安
いろいろな気持ちで彼は少し混乱していたかもしれない。
しかも目覚めたら、今度は彼に、人生最大の試練がのしかかるのだから、尚のこと、、、

彼はこのとき
不思議と
今日彼女が目覚めることを
疑っていなかった
『目覚めるなら今日に違いない』
そう彼は思っていて
「もし、今日目覚めないのなら、、、多分もう二度と目覚めない」
そう思わずにいられなかった彼は、どうしたって、彼女が今日目覚めると思うというよりも、信じる、或いは、願わずにいられなかったのは無理も無いことだ。


彼が花瓶の水を換え
花をいけて戻っても
彼女は目覚めなかった

彼は眠っている彼女を見ながら
「こんなに、一緒にいられるのは、倒れてすぐのころ以来だ」

彼自身も忙しくしていたので、久しぶりにゆっくりして
「こんなことなら、ケーキを買ってくるんだった」

そうは想っても
彼はもう、この場所から動きたくなかった。
「何時、彼女が目を覚ますか判らない。」
彼は、ひと時も、ここを離れるわけには行かなかった。


彼はいつのまにか眠っていたことに気がついたのは、何かが自分の体に触れた感触があったからだ。

何時から眠って、その間この場所や自分がどうしていたかはわからない。

ただ



確かに

自分の体に何かが触れた。

「看護婦さんか?」

怖くて目があけられない

自分に触れているのが
誰かの手であることが
目をあけなくてもわかった。

そして声が聞こえた

覚えのある声

忘れるわけの無い声

ずっとずっと聞きたかった声

弱々しいけど
ちゃんと聞こえた
「ねぇ」

少し途切れ気味で
「ねぇ、、、おきて、、、かぜをひいてしまうわ、、、ねぇ、、、おきて、、、おきてよ、、、」

彼は顔を上げ
彼女を見た
彼は見に涙を浮かべて云った
「まさか、、まさか、、キミに、、僕が起こしてもらうとは、、、夢にだって想わなかったよ、、、」
彼は泣いて泣いて、もう、殆ど言葉にならない。

そんな彼の髪を優しい指先でなでながら、彼女は
「何時だって、あなたを起こすのは、私の役だったじゃない、、、ね」
そう、やさしく彼に云った。



彼は未だ涙が止まらないでいた
そして少し落ち着いて、やっと
「これを見て」
彼はうれしそうに幸せな笑顔で云った。
「花だよ!キミの好きな花だよ!ガーベラだよ!」彼は得意そうに云った。
彼女はうれしそうにうなずいた
彼は更に言葉を続けた。
今まで話せなかった、それを、一気に取り返したいかのように
「ねえ、数えてみてよ!」
彼は幸せそうに云った
彼女は少し時間をかけて数えた
そして静かに優しい微笑を浮かべながら
「24本ね?」
彼は笑った
「もぅ!25本だよ!」
彼女は小さく舌を出し
「意地悪ね、ありがとう25本ある」
彼女は言葉を続けた
「これを私に贈ってくれるの?」
彼は云った
「そうだよ、僕が君に贈るよ」
そして、一呼吸おいて
「そしてね、、、」
といいかけた言葉を
彼女は
彼女自身の言葉でさえぎった
「ありがとう、あなたが贈ってくれた花を見ることが出来た。それなら、私、今、生きているのね。これなら、、、もしかしたら、、、私、、、私、、助かるかもしれないはね、、、ありがとう、、、花をありがとう、、、贈ってくれて、、、私に、、、ありがとう」


彼女はもう何もはなすことはなかった。
彼女はもう少しも動かなかった。
彼の髪に優しい指先で触れることもなかった。
ただ彼女のその優しい指には、光環が静かに輝いていた。


彼女は、そのときにさえ
彼の、ほんとうに伝えたかったことを
聞いてあげることが出来なかった。

たとえ

彼が彼女の

彼女が彼の

心を

判っていたとしても





この話は一応
ファンタジィです

全ての場所は存在せず
全ての人物が存在する誰でもないことは
明らかであるように私自身は思っております



星の銀貨

イメージ 1

星の銀貨が

降る場所に

全てを分け与えて

何もなくした少女が一人

少女は幸せか

与える物全て与えて

ここに来た

少女は幸せか

これからは欲しいと思う物が手に入る


でもこのはなし

少女は孤独だ

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