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ようやく読み終えた。といってもたいした量ではないが。
フィリピンのレイテ島での日本軍の戦いの中で、食料に飢えながら生死をさまよう。 日本軍の敗戦が濃厚になる中で上陸した兵士を引き揚げるべく輸送船が到着する。 同じ目的地にそれぞれ兵士が向かいだすが、その間も襲撃や疲労、食料難で倒れていく。 主人公もそれに向かって進むがその道中で様々な出来事に出会う。 同じ日本兵との駆け引き、現地人との遭遇など常に死と隣り合わせである。 まさにさまよい歩いている。困窮を極めた日々が凄まじさを物語る。畑に植えてある芋を掘り出し生で食べたり、民家にあった塩を略奪して一つまみずつ気をつけて舐めたりなど、飢えの辛さが伝わってくる。 究極の飢えに際し、人肉を食べようかと悩むところは怖さを感じる。 究極状態では誰もが敵であり、同じ日本兵でも殺し合いをしてしまう。なんとか生き延びて米軍の精神病院に保護されるが、この文章はそこでの回想記録という形をとり、最期に自分が同僚を殺したという記憶が失われた部分を取り戻す。 個人的には最期まで主人公の目線で小説を書いて欲しかった。病院の中での回想シーンに切り替わるとどうもぼやけてしまう気がする。しかしこのリアルさはぞくぞくするものである。 本当にさまようと言うのがこういうことを言うのだと思った。自分もツーリングで当てもなくさまようことがあるが、それとは次元が違うほど孤独で恐怖であるのだろう。 |
読書
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遠藤周作「沈黙」 この本は遠藤周作も信仰していたキリスト教についての話である。日本の鎖国禁教政策の時代に宣教師としてポルトガルからやってくる2人の司祭ロドリゴと修道士。日本に密入航し、運良くキリシタンの村人に囲われながら過ごす。しかしそれも長くは続かず、2人分かれて布教に挑もうとする。だが自らキリシタンを名乗り、一番に世話をしてくれていた吉次郎に裏切られてつかまってしまう。長い間とらわれている間にキリシタンの村人たちがどんどんつかまり処刑されていく。棄教すれば他のキリシタンも許してやると言われ、拷問の中で新たな宗教的価値観を見出し、最終的には棄教をしてしまう。
以前日本に布教活動のために上陸していたが棄教した司祭と出会う。その司祭は逆にロドリゴを説得し、棄教するように迫る。あきらめと絶望とともに自らを納得させつつ踏絵を踏んでしまうロドリゴの心境が描かれていて心苦しい。 井上の残虐な拷問、それとは裏腹な優しい面持ちがなんとも憎たらしい。徐々に確実に棄教させるその追い込み方が恐ろしい。 神という存在が日本には根付かない、日本は沼地であるというセリフがあるが、日本人の宗教観の無さ、現代にも通じるような気がした。本当の信教ではない支配のために利用されてきた宗教から脱した日本は、いまだ抜け殻状態ではないか。 |
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堀辰雄「風立ちぬ」 |
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田山花袋「蒲団」 文学部の教授であり、小説家である男のところに女学生が弟子になるために田舎から上京してくる。妻子がいながらもその女学生に恋をしてしまいながらそのことが言えず、もだえ苦しむ男。恋人を作り親しくする弟子に嫉妬する男。結局その関係が元で田舎に帰ることになる女学生の弟子。
自分のもとを去ってしまった自宅に住まわせていた女学生の蒲団にもぐりこみ、寂しさに泣きじゃくる男という結末。 弱い男、女々しいと言うか、はっきりと言えないのはこの頃の男性なのだと思う。今のように開放的では無い時代だから仕方が無いと思う。しかしもし今だったら弟子と師匠の関係などかまわず恋愛をしてしまいそうで、それも嫌である。 |
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開高健「裸の王様」 |





