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金正日が死んで、実権は三男の金正恩に移ったと見なされてるようだが、まだ28歳で何の実績もない男に、軍はおろか、金一族をまとめ切れるとは、とうてい思えない。
ドラマと実際は異なると言うかもしれないが、韓国の時代劇を見ると、陰謀が渦巻いている。実は、これらは、史実をもとに作られたフィクションということだ。つまり、日本とは到底異なる朝廷内の闘争が、たびたび持ちあがったということであり、また、それらを安易に誘発させる土壌が、北朝鮮・韓国にはあるということだ。
民主主義国家になった韓国はともかく、独裁制が続く北朝鮮は、金王朝と言っていい。その金王朝では、金正日の同母妹の金敬姫と夫の張成沢が健在だ。彼等は、金正日の長男、金正男の後ろ盾だったとも聞く。
確か、フィンランド大使を長くやって、現在ポーランド大使で、事実上追放みたいになっている異母弟の金平一(日)、平一と同母の弟・英一もいる。また、事実上の現在の妻・金玉女史にも、子供ができたのではないかとも言われている。
これらの関係は複雑で、それぞれが軍・官僚が結びついていると思われる。まさに、韓ドラ時代劇と同じ構図なのである。あの金日成ですら、正日を後継者と認めさせるまで、20年もかけたのだ。正日が後継者と目されるようになるのは、51歳の時である。独裁国家とはいえ、人心掌握は、生半可ではない。
おそらくは、軍の力を握ろうとして、正恩はますます軍のいいなりとなり、なお一層尖鋭化するかもしれない。ここで軍にもコネがありそうな張や英一がどう出てくるのか。また、世襲を嫌う中国が、その冒険主義をどこまで許すのか。あるいは、同じ世襲でも、穏やかで中国に住む正男のほうが、日米韓と軋轢を生まないから、まだましだと考えるかもしれない。
逆に、今から、正恩に恩を売っておこうとするかもしれないと考えるかもしれない。とはいえ、中国もまた一枚岩ではない。中国の複雑な権力構造と北朝鮮の複雑な権力構造が入り混じって、モザイクを描いているのだ。
こう考えると、北朝鮮は決して一枚岩ではなく、正恩は累卵の上に乗って、今はよろよろとかろうじて身を保っているだけのようである。一寸先は闇か光明か。彼の闇は他の者にとっての光明、光明は、他の者にとっての闇である。そして、国民は、誰が権力者になろうと、この体制が続く限り、闇の中にいるのだ。
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