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ちょっと辛気臭いというか線香臭い話ですが、しばしのお付き合いを。
お葬式には香典ちゅうモノがありますな。何の事無い中身は現金。
やれ前はあそこからは幾ら包んでもろたからこっちからは幾らやとか、
香典返しは香典の何割が妥当やとか。死んだ者から見たら浅ましい話でございます。
さて、前回オトンのふるさと話にチラと触れたのもありまして、
今日は島根県は出雲某所のお葬式のお話を。
90歳近い大往生をしましたうちの爺さん。十分生きたのと生前の人柄もあったのか
割と盛大なお葬式でしたな。当時の竹下総理大臣から弔電来てたり県知事が会葬に来てたり。
親族も身内も全然悲しい雰囲気は無く、むしろお祝いの様相を呈してましたなぁ。
お坊さんはドンチャン鳴りもの付き、小坊主の袈裟すらキンキラキン。
人間死んだらこんな風に送られてみたいモノです、その道中の陽〜気な事ォ〜。(笑)
まあ、それまでにも葬式の経験はあったんですが、なにぶん地方の葬式なんて初めてです。
めずらしゅうて色々見回してるうちにちょっと気になる物体が。
何の事無いずらーっと並んだ花輪なんですが、いや花輪の花のトコロはええんです。
気になったんは台座。台座の間に籐で編んだカゴがはめてあってそこにたくさんの
あんぱんが!
重し?倒れへんように?
いやいや、一つの花輪にそれぞれ50ヶほどのあんぱんが。
そないに積まんでも倒れるモノじゃ無いやろに。
余りに異様やったので親戚のおじさんに聞いてみましたがな。
「おっちゃん、これナニ?あんぱん?」
「あぁ?あんぱんはあんぱんじゃがなー」
「いやなんでこんなにあるのか気になって」
「あぁ〜?葬式にぁあんぱんが付きもンやがな!
おまはんとこの香典もこれになっとるで一部やが」
「えぇ!」
はぁ〜、島根の某所の村では香典があんぱんなんですな。尼崎から来てたおいらはそんな作法も
知らず現金包んで持参したんやけど、地元の風習にのっとって一部はあんぱんに換金されてた様。
いやいや葬式なんていう古来よりの風習ゆえ、由来も判らんですが呑気な感じです。
ドコソコの分家からはあんぱん150ヶやったわ、
隣村のヤツは20ヶしかあんぱんくれよらんかったわ、
なんてかわいいモノですな。
式場にあふれかえるあんぱん。もちろん会葬の御礼もあんぱん。
葬式まんじゅうなんてあらへん。ぜーっんぶあんぱん。
っていうか、通貨?あんぱんか?
出棺の際には花輪の花も入れましたが、一緒にあんぱんも入れたげましたなぁ。たっぷり。
生前は根っからのパン好きやった爺さん、本望です。焼かれてあんぱんと共に昇天ですな。
なんやら線香臭いよりええ香ばしいニオイの漂うお話でしたな。
おアトがよろしいようで。
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