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出張で中国に来ています。出張前に原稿が立て込んでいて、更新が遅れました。 さて、前回の疑問に対する回答ですが、一つの手がかりは各種の制裁規定です。 四半期報告書に虚偽記載がある場合の提出者の刑事責任および課徴金は、有価証券報告書に虚偽記載がある場合に比べ軽減されています(197条の2第6項、174条の2第2項)。しかし、これは半期報告書と同じ扱いであるため、有価証券報告書の場合よりも軽減されているのであり、そもそも四半期報告の内容が正確なものでなくても良いという意味ではありません。これに対し、民事責任の扱いは有価証券報告書・半期報告書と全く同じです(24条の4の7第4項)。会計基準は、それに従って財務書類を作成していれば、虚偽記載がないというものではありません。もし、そうしたければ、会計基準を法令上のルールとして、その違反に対し制裁を加えればよいはずです。会計基準に従っていても、作成された財務諸表が発行者の財政状態および経営成績を適正に表示していないと認められるときは、記載が虚偽または誤解を生じるものと判定される可能性があります。このような事情は、簡便的な会計処理が認められる四半期開示についても、当てはまると考えられます。簡便的な会計処理をすると、財務諸表が発行者の状況を適正に表示しない場合には、簡便的な会計処理をすることが許されないのです。このように、会計処理にしたがっているだけでは足りないという点では、有価証券報告書も四半期報告書も同じであるといえるのではないでしょうか。 監査証明において、財務書類の記載が虚偽でありまたは欠けているものを虚偽でなくまたは欠けていないものとして証明をした監査人(公認会計士または監査法人)は、有価証券の取得者に対して民事責任を負うこととされています(24条の4の7第4項)。このことは、有価証券報告書・半期報告書の監査証明の場合と変わりがありません。したがって、四半期レビューにおける「無限定の結論」、「除外事項を付した限定付結論」等が、「記載が虚偽でなくまたは欠けていないものと証明した」と評価される場合があり、四半期レビューの保証の水準が低いことは、不実の証明をしたという評価には影響を与えないと考えられます。もしそう解さないと、四半期レビューからは一切責任が生じないこととなり、不当だからです。ただし、監査人は過失がなかったことを証明すれば責任を免れることができ(21条2項2号)、過失の有無の判定に際しては四半期レビュー基準に準拠して監査を行ったかどうかが考慮されるため、監査人の責任が成立する範囲は事実上狭いものとなるでしょう。 以上の話は、ジュリストの12月1日号にも書きました。
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