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金融商品取引法は委任状勧誘の規制もしています。

それは何故でしょうか。

簡単に言えば、アメリカの連邦証券規制を引き継いだという沿革上の理由によるものです。

アメリカでは、SEC登録会社で委任状勧誘を行う場合には、会社側であれ(反乱)株主側であれ、SECへ届出をしなければならないとされています。届出書類をSECが審査し、違反があればアクションを起こします。アメリカの会社法は州法なので、委任状規制を連邦法で行うことは、これを梃子にコーポレート・ガバナンスについて一種の連邦会社法を形成することになるのです。

それでは委任状規制を連邦証券諸法でやってよいという実質的な理由はどこにあるのでしょうか。それは、投票判断は一種の投資判断であることに求められています。組織再編行為に開示を求める考え方と同じですね。たしかに会社の重要事項の決定や取締役の選解任は、それによって株式の価値が左右される投資判断であるといえるでしょう。

委任状勧誘規制をどこに分類するべきかは、悩ましい問題です。アメリカにおける機能からすると上述のようにコーポレート・ガバナンスなのですね(ちなみに、日本でコーポレート・ガバナンスというと取締役の義務と責任の話になりがちですが、アメリカでは株主総会とか委任状勧誘が中心であるように感じています)。しかし、連邦法で会社内部の問題に口を出せないため、規制の形式はディスクロージャーな訳です。ここでは、独立の書庫を立てることにしました(ディスクロージャーから移動)。

委任状勧誘の機能は、アメリカでは1990年代以降、高まっています。それは、1980年代の企業買収ブームを経て、企業が買収防衛策を導入したため、これを潜り抜けて買収を成功させるために委任状勧誘が欠かせなくなったからです。また、機関投資家は、企業買収が盛んであった1980年代には、買収に応じることが有効な出口戦略(exit)だった訳ですが、敵対的買収が困難になった1990年代以降は、企業業績を改善させて投資パフォーマンスを挙げるしかなくなったため、声を上げる(voice)必要が生じたからです。

日本ではどうだったでしょうか。委任状勧誘規制は、なんで証券取引法にあるのか説明が難しい存在であったため、たいした注目も払われずにきました。昭和56年の商法改正で書面投票制度が導入されたため、その後は、もっと影が薄くなりました。ところが、最近は、買収防衛策の発動に株主総会決議が必要と信じられているため、また、買収防衛策がかかっている会社を買収するために株主総会決議で取締役を交替させるか、防衛策を消却する必要があるため、委任状勧誘制度は初めて脚光を浴びるようになりました。このため、すでにいろいろな不備が発見されており、早晩、法令の改正が必要になると思われます。
くろぬま
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