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書庫公開買付け

今回は、公開買付けの取引規制のうち、情報に基づいた投資判断を確保するための規制を扱います。

(1)公開買付期間
公開買付けの期間は、20営業日〜60営業日の範囲内で公開買付者が定めます(27条の2第2項、令8条1項)。公開買付期間の下限を法定したのは投資者の熟慮期間を確保するためであり、上限を法定したのは応募者を長期間不安定な地位に置かないためです。公開買付期間が20営業日台に設定された場合には、対象会社は意見報告書において買付期間を30営業日まで伸長させることができます(27条の10第2項、令9条の3第6項)。対象会社による公開買付けに対する対抗提案等の提示に一定の時間を要するので、それを含めた投資者の熟慮期間を確保するためであると説明されています。結果として、友好的な買収と敵対的な買収とでは、公開買付期間が異なることを法は認めていることになりますね。この場合には、対象会社が延長後の買付期間を公告します(27条の10第4項)。

また、公開買付期間中に他の者が競合する公開買付けを開始した場合には、買付者の側で、他の者の公開買付期間の末日まで公開買付期間を延長することができます(令13条2項2号ロ)。これも、投資者に応募の機会を保障するためです。

(2)公開買付説明書の交付
公開買付者は公開買付説明書を作成し、公開買付けの勧誘の対象者に対して交付しなければなりません(27条の9第2項)。有価証券の募集・売出しに際しての目論見書の交付に相当する制度です。

公開買付説明書には、公開買付届出書とほぼ同じ事項が記載されます(他社株府令24条)。公開買付説明書は、応募するか否かの投資判断に役立てるものですから、あらかじめ又は買付けと同時に応募者に交付しなければなりません(27条の9第2項、他社株府令24条4項)。応募者には解除権が留保されていますが(→(3))、応募するとその段階でいったん株券等の取得契約が締結されるので、買付けと同時にとは取得契約締結時という意味でしょう。なお、公開買付説明書は、相手方の承諾を得て電子的方法で交付することもできます(27条の30の9第2項)。

(3)応募株主等の解除権
公開買付期間中は、応募株主等はいつでも取得契約を解除することができます(27条の12)。公開買付けについては、有価証券届出書のように効力が発生するまで取得契約の締結を禁止する仕組みはとられていません。その代わり、情報を熟慮せずに応募した株主に、再考の機会を与えるために解除権が与えられるのです。他の者による公開買付けが開始された場合に、そちらへ乗り換えることを可能にする意味もあるでしょう。このような規制のため、公開買付けの成否は公開買付期間が終了するまで明らかにならないことになります。

実務では、公開買付けを成功させるために、買付者が対象会社の大株主から、公開買付けに応募する旨の確約(表明保証)を取り付けることがあります。そのような確約があっても、応募者は取得契約を解除することを妨げられず、買付者は応募者に違約金の支払を請求できない(27条の12第3項)と解されます。
くろぬま
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