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書庫公開買付け

公開買付けの取引規制のうち、投資者の平等取扱いを確保するための規制には以下のものがあります。

(1)買付価格の均一
公開買付けによる買付け等の価格は均一の条件によらなければならなりません(27条の2第3項、令8条3項)。現金で買い付けるときはその価格を同一とし、有価証券など現金以外のものを対価とするときは、対価の内容を同一にします。応募者に対価の種類(現金・有価証券等)を選択させることもできますが、そのときは選択できる対価の種類を応募者の間で同一にし、かつ応募者が選択した対価の内容を同一にする必要があります。

複数の種類株を発行している会社の支配権を取得しようとする場合や、株券等所有割合が3分の2以上となるため全部勧誘義務が適用される場合のように、複数の種類株を買付けの対象とする公開買付けを行う場合には、買付け価格を同一にするとかえって投資者の平等取扱いにならないときがあります。その場合には、買付け価格に差が生じてもよいと解されています。当然の解釈のように思いますが、何でも細かく規定している公開買付けの規制にあって、明文がないのは奇異な感じがしますね。

公開買付期間中に買付価格を引き下げることは原則として認められず、引き上げた場合は、全部の応募株券等について引き上げ後の価格で買い付けなければなりません(27条の6第3項)。引下げを認めないのは、引下げの可能性があると株主等が早まって応募してしまうおそれがあるからであるとも説明できるでしょう。

(2)按分比例原則
部分的公開買付けが認められる場合であって、提供株数が買付予定を超えるときは、按分比例の方式により株券の買付け等を行わなければなりません(27条の13第5項、他社株府令32条)。投資家の平等取扱いを確保する規定ですが、提供順に買い付けると情報を熟慮せずに応募する株主等が出てくるため、配分方法を法定したのだと考えると、情報に基づいた投資判断の確保を目的とする規定と理解することもできるでしょう。

なぜこんなことを書くかというと、投資者の平等取扱いを確保するための規制の大部分は、情報に基づいた投資判断の確保という目的で説明でき、説明できない規定は要らないという立法論的構想を抱いているからです。

(3)別途買付けの禁止
公開買付者等は、公開買付期間中は公開買付けによらないで対象会社の株券等を買い付けることが禁止されます(27条の5)。市場で買い付けることも、市場外の相対取引で買い付けることも禁止の対象に含まれます。このうち市場取引を禁止するのは、公開買付けを成功させるために市場取引を用いて価格を操作するといった不公正取引を防止するためといえるでしょう。市場外の相対取引の禁止は、支配権の移動に伴うプレミアムの分配という3分の1ルールの目的からは一貫しています。もっとも、公開買付開始前に締結した契約に基づく場合であって、届出書に契約内容を記載していれば大株主から相対で株券等を買い付けることができ、このときは公開買付価格よりも高値を付すことも許されます。

別途買付けの禁止に違反した者には罰則が科せられ(200条3号)、特別の民事責任も用意されていることから、法は別途買付けの禁止を公開買付けに不可欠のルールとみていることが分かります。しかし、少数の株主から大量の株式を取得する場合には、多数の株主からそれぞれ少量の株式を取得する場合よりもコストがかからないのであるから、市場外で相対で行われる株式の大量所得を禁止することは不合理ですし、別途買付けを解禁したとしても公開買付制度に対する投資者の信頼が害されるとは思われません。したがって、別途買付けの禁止も見直されるべきでしょう。もっとも、その前に、3分の1ルールの見直しが必要でしょうけれど。
くろぬま
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