|
前回の続きです。 協和発酵キリン事件では、A社がB社の完全子会社であるC社との間で、Bを株式交換完全親会社とする株式交換を実施し、その効力発生後に、Bを存続会社、Cを消滅会社とする吸収合併を行ったところ、株式交換に反対したAの株主がAに対して株式買取請求権を行使しました。 東京地決平成21・4・17(金判1320号31頁)、特段の事情のない限り、株式交換の効力発生日前1か月間の株価の終値による出来高加重平均値をもって「公正な価格」とするのが相当であるとしました。本件では、株式交換に先立ってAがB株式について上限・下限を定めた公開買付けを行っていたのですが、裁判所の定めたB株式の公正な価格は公開買付価格よりも低い価格でした。この点で、日興コーディアル事件判決と異なっています。 株式交換に先立って公開買付けが行われた場合、公開買付価格は、シナジーを考慮したものとして合理性が担保されているから、「公正な価格」は公開買付価格と同額であると推認されるとの申立人(株主)の主張に対し、裁判所は次のように答えています。 株式交換に先立って行われた公開買付価格を「公正な価格」と解するのが相当な場合もあるが、それは、強圧的な公開買付けを防止するという政策的理由による。公開買付けが行われた後のBの残存株主は、そのままBの株主としての地位を維持し得るのであるから、強圧的な公開買付けを防止するために政策的に本件公開買付価格を「公正な価格」と解する理由はない。 つまり、この判決は、日興コーディアル事件判決を、強圧的な公開買付けを防止するために政策的に公開買付価格をもって公正な価格としたものと、正しく理解しているのです。 もっとも本件で強圧性が生じていないのかというと疑問もあるでしょう。AとBとの間の企業再編(公開買付け、株式交換、合併)により、AがBの50.1%を取得することは、AB間の合意で予定されていました。組織再編行為が順調に進めば、AがBの支配株主として登場するので、たとえ2段階買収が行われなくても、強圧性が生じることがあり得るのです。http://blogs.yahoo.co.jp/mousikos1960/30789487.html
|
公開買付け


