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金融庁は、パブリックコメントに付していた公開買付けに関するQ&Aを、3月31日に確定させました。今回は、このうち問15とその答えについて考えてみます。
問15は、開示会社の株式の3分の1超を保有する資産管理会社の株式を取得するには、金商法27条の2第1項2号(3分の1ルール)により公開買付けの方法によらなければならないかというものです。答えは、①資産管理会社の株式の取得が、実質的には対象者の「株券等の買付け等」の一形態に過ぎないと認められる場合には、公開買付規制に抵触する。②資産管理会社の株式の取得とともに買付者又は資産管理会社により対象者に対する公開買付け(買付予定数の上限を定めていない)が行われ、公開買付届出書等において取引の全容が開示されるとともに、資産管理会社の株式の取得における価格に相当性があると認められる場合など、取引の実態に照らし、実質的に投資者を害するおそれが少ないと認められる場合には、公開買付けを行わなくて良い(要約)、というものです。
Q&Aは3分の1ルールに関する金融庁の解釈を示すもので、裁判所を拘束するものではありません。実際上は、課徴金の運用にとって重要な意味を持つことになるでしょう。私は解釈論として①も②も相当に無理があり、脱法として3分の1ルールを適用すべき場合を上のように定式化するのは無理だろうと考えています。定式化が無理なのは、「全部買付義務を伴わない公開買付けの強制」という立法の態度に自ずと限界があるからではないかと考えています。
まず法律論としたみた場合の金融庁の解釈は、①については、実質的には対象者の「株券等の買付け等」の一形態に過ぎないと認められる場合とはどのような場合なのか、具体的に示されていない点が問題です。これでは解釈を示したことにはならないのではないでしょうか。この部分は、支配権の間接取得に公開買付けを強制する根拠が「株券等の買付け等」の解釈にあることを示したいのかも知れません。しかし、「株券等」も「買付け等」も法に定義が置かれており、定義を無視して支配権の間接取得が「株券等の買付け等」に当たると解することは、許されないのではないでしょうか。形式論はさておき、その実質的理由は何かを示した部分では、対象者の株主に株式売却の機会が与えられないので公開買付規制の趣旨に反するとのみ述べられています。しかし、これも結論(強制公開買付けの対象にすれば売却機会が与えられる)をもって理由に代えているだけであり、理由付けとしては弱いと言わざるを得ません。
②については、なぜ対象者の株式について買付予定数の上限を定めない公開買付けをする場合に限って、資産管理会社の株式を取得できるのか、その理由が示されていません。およそ理由の示されていない解釈論に説得力はありません。いや、株主に株式売却の機会が与えられるから公開買付規制の趣旨に反しなくなるといのがその理由だと反論されるかも知れません。しかし、最初から対象会社の株式を対象に公開買付けをかけるときには買付予定数の上限を設定できるのに、資産管理会社の株式を取得するときには、なぜ上限設定のない(=全部買付義務が課せられる)公開買付けをしなければならないのかという点の説明がないのです(つづく)。
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