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SECは違反行為をなぜ差し止めるのか。一つの目的は、利益を吐出させて(disgorgement)、被害者に分配することにあると思われます。裁判所は管財人(receiver)を選任し、財産の取り戻し、換価や分配計画の策定を委ねます。裁判所の認可を受けた分配計画に基づいて管財人が金銭を被害者に分配しますが、管財人や彼が雇った専門家は、もちろん、吐出しファンドからかなり高額の報酬の支払いを受けるようです。これらが裁判手続で行われる場合、明文のルールはありません。
利益吐出しの目的は、違法行為の抑止か投資者の保護か? SEC職員の説明では、違法行為によって得た利益を保持させるべきでないので、それを剥奪することが吐出しの目的であり、あえていうなら衡平(エクイティ)の実現であるとのことでした。違法行為の抑止は罰金や制裁金(penalty)の目的であり、利益の吐出しだけでは違法行為は抑止できない。他方、投資者が被害を受けたといえない場合であっても利益の吐出しを求めることがあるので、投資者保護が目的ともいえないというのです。
吐出し利益はどう計算するのか。費用は収益から差し引かれるのか。これは我々のもっとも関心のある質問項目でした。答えは、違反行為の類型によって異なるというものでした。インサイダー取引であれば利益を計算しやすいが、インサイダーが反対売買で利益を出さなくても、真実情報の公表後の株価変動を下に「得べかりし利益」を計算して請求する。不正会計の場合(財務諸表の虚偽記載など)、業績連動型報酬を採用していれば役員の報酬の増額分が不法利益となる。ちょっと面白かったのは、証券の販売において不実表示があった場合は、業者が預かった金を横領していない限り、手数料が不法利益となると考えていることです。違反者が得た利益をすでに費消している場合も、利益は現存するとして扱う。ただし、和解によって吐出しをさせるときには、被告の資力を考慮に入れるようです。
一般的には、SECは損益通算や費用の控除を嫌うものの、裁判例には手数料や取引費用を控除して利益を計算したものがあります。私が見た例では、公衆電話にサービス契約をつけて、配当を保証して売ったが、実際には初期の契約者に対するの配当の支払いのために新規の契約者の出資金を当てるPonzi-like schemeが用いられていたケースで、販売代理店に過大な手数料を支払っていた(手数料は不法利益から支払われた)として販売代理店の利益の吐出しが求められました。裁判所は、利益の計算方法について裁量を有しているとし、手数料が一定額に至るまではその15%を、一定額を超える部分はその10%を費用として控除しました。我々から見るとかなり大雑把ですね。
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法執行


