|
(つづき)吐出しファンドは、事件に一つずつ、すなわち同一の違法行為から生じた利益ごとに一つずつ作られます。エンロン事件でも、吐出しファンドはただ一つ創設されました。管財人には弁護士が指名されることが多いようですが、会計士、不動産の専門家のほか、専門の会社が指名されることも多い。SECが管財人の候補者を推薦することもあります。この管財人は破産管財人ではありませんが、管財人の権限は、裁判所の命令によって決まり、対象者の事業に介入することもあります。
行政手続きによって設定される吐出しファンドの場合、金銭の分配のためにファンド管理者(fund adminsitrator)が選任されます。これには管財人となり得る者が選ばれることもありますが、違反者自身が管理者となることもあります。上場会社等が違反者であり、財産管理の必要がないため、分配のみが問題となるような場合がそれです。規模が小さく、分配の対象となる投資者が特定されているような事案では、SEC職員がファンド管理者になるのが一般的だそうです。
ファンドの分配計画は公表され、利害関係者は異議を申し出ることができます。SECが裁判手続による分配計画に異議を申し立て、独自の分配計画を提案することもあります。行政手続きによるファンドの分配計画は、SEC規則に従って作成され、パブリック・コメントに付されます。一般に、裁判手続による吐き出しファンドの方が柔軟な分配方法を採用できるとのことです。
裁判手続または行政手続によりSECが吐出し命令を取得し、かつ、SECが同一の被告に対する民事制裁金を得たときは、民事制裁金を吐出しファンドに組み入れることができます。民事制裁金のうちどれだけを組み入れるかについてルールはなく、全部を組み入れて分配した後、剰余を国庫に返還しても良い。反対に、吐出しファンドがない限り、取得した民事制裁金を被害者に分配することはできません。そこでSECは、違反者が利益を得ていないと認められる場合に、1ドルの吐出しをもとめ(あるいは、命じ)、これに民事制裁金を加えて被害者に分配するというone dollar disgorgementの慣行が生じました。
同一の手続において、利益の吐出しを請求するとともに民事制裁金を貸すよう求めることは、一般的です。最近、SECはゴールドマン・サックスを証券化商品販売時の不実表示を理由に提訴しましたがhttp://www.sec.gov/litigation/litreleases/2010/lr21489.htm、そこでは、まさに、差止め、利益の吐出し、および民事制裁金が求められています。
|
法執行


