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2項有価証券については、相当程度多数の者が有価証券を所有することとなる場合として政令で定める場合が売出しに該当し、その数は施行令1条の8の5で500名と定められています。
売出しの適用除外取引は、2条4項柱書とそれを受けた施行令1条の7の3に定められています。適用除外取引は従前からありましたが、今回の改正で格段に増えました。売出しは既に発行された有価証券についての勧誘行為であるため、誰でもできるからです。
以下では、金融庁の谷口さんが商事法務(1902・1903号)に書かれたところに従って整理してみます。適用除外取引は、(a)取引の対象有価証券が既開示有価証券である場合、(b)業者間の取引のように、取引において情報の非対称性が存在しない場合、(c)大量の有価証券の譲渡でない場合や多数の者への譲渡でない場合のように、取引において販売圧力が生じない場合、(d)その取引が売買の委託の取次ぎ等に該当する場合のいずれかに該当する取引は、基本的に、開示規制を課す必要性が低いという考え方で列挙されています。
具体的に、それらを列挙するとともに、上のどの理由が当てはまるかを考えてみると、以下のようになるでしょうか。、
① 取引所金融商品市場における有価証券の売買(1号)←(a)
② 店頭売買有価証券市場における有価証券の売買(2号)←(a)
③ 金融商品取引所に上場されている有価証券のPTS取引(3号)←(a)
④ 店頭売買有価証券のPTS取引(3号)←(a)
⑤ 市場外のブロックトレード(4号)←(b)(c)
⑥ 法58条の2但書により外国証券業者が金商業者または適格機関投資家に対してする、譲渡制限のない海外発行証券の売付け(5号)←(b)(c)
⑦ 譲渡制限のない海外発行証券を取得した金商業者または適格機関投資家が、これを他の金商業者または適格機関投資家に売付ける行為(6号)。ただし、日本証券業協会への報告を要する。←(b)(c)
⑧ 発行者、その役員、その主要株主、主要株主である法人の役員、発行者の子会社、子会社役員、金融商品取引業者等(以上を「発行者等」という)以外の者による、譲渡制限のない有価証券の売買(7号)←(b)(c)
⑨ ⑧の発行者等の間の売買(8号) ←(b)(c)
⑩ 社債・投資法人債の現先取引(9号)←(b)(c)
⑪ 発行者・発行者に対して売付けを行おうとする者等への売付け(10号)←(b)(c)
⑫ 取引市場または外国市場における有価証券の売買の取次ぎに伴う有価証券の売買(11号)←(d)
なお、「譲渡制限のない」とは私募・私売出しに該当しないという意味を含んでいます。
①から④は(a)を理由としていますが、私は以前から(a)のみを理由に開示の対象としないのはいかがかと疑問をもっています。市場やPTSの取引でも、大量の販売を行えば販売圧力がかかることがあると思われるからです。⑥は海外発行証券の国内持込の段階、⑦はそれを国内で売付ける段階に当たりますが、相手が専門家であること(b)を考慮して、売出しに当たらないとされました。⑦の協会への報告は、一般投資者への譲渡を防止するためのものです。
⑧は、情報の非対称性・販売圧力の有無を問題とするもので、重要な規定です。ただし、形式的に一定の者による取引を適用除外取引としたために、過不足が生じないか心配です。たとえば、発行者から第三者割当てによって株式を取得した者が、それを市場外で売却していく場合、持株が10%を割り込んだ時点で主要株主でなくなり、売出しに該当しなくなるのでしょうか。この者が株式を全部売り切ることに利益を有しているのだとすると、投資者に対する販売圧力が生じているのではないでしょうか。適用除外取引は形式的に定めなければならないため、販売圧力のような実質概念を盛り込むのが難しいのは確かですが。
⑫が取次ぎの実行に過ぎないのだから「売出し」に該当しないことはその通りですが、取引所金融商品市場における有価証券の売買については、①により適用除外となる以上、⑫は不要のように思えます。外国金融商品市場における有価証券の売買は①では適用除外となりませんが、委託取引の実行行為として売買を行うことのどこに売出しという勧誘行為が介在するのか分かりませんでした。
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