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書庫ディスクロージャー

売出しの定義(3)

学会づかれで更新が遅れました。
 
既発行有価証券の売付け勧誘等のうち、売出しに当たらない行為を「私売出し」といいます。新たに発行される有価証券についての「私募」に相当する概念で、「売出し」の要件を満たさない点が適用除外取引との違いです。今回、売出しの定義が整えられたため、私売出しも私募と同じように、適格機関投資家私売出し、特定投資家私売出し、および少人数私売出しの3つに、綺麗に分類されるようになりました。
 
適格機関投資家私売出しは、適格機関投資家に限定して既発行証券の売付け勧誘等を行うものであり、基本的に適格機関投資家私募と同様の規制がかかってきます。特定投資家私売出しは、プロ向け市場に上場する有価証券の私売出しとして平成20年改正で導入済みのものです。
 
少人数私売出しは、50名未満を相手方とする売付け勧誘等であって、政令の要件を満たすもの(ただし、適格機関投資家私売出し、特定投資家私売出しを除く)です。通算期間は、私募が6か月であるのに対し、私売出しは1か月です。これは、1か月に50名未満であれば6か月続けても300名未満となり、継続開示義務を免除される要件に当たるという良く分からない理由によります(私もいたワーキングの報告書にあるんですが)。少人数私売出しとされるためには、施行令1条の8の4各号のすべての要件に該当しなければなりません。その1号として、「特定投資家向け売付け勧誘等であって、50名以上の者を相手方として行う場合でないこと」が挙がっているのは、特定投資家私売出しに該当しない場合のうち、50名以上を相手方として行う場合を「私売出し」から除外するためです。2号は、少人数私募によって発行された有価証券をその転売制限(一括譲渡以外の譲渡禁止)に従って転売する場合に私売出しとするための規定です。3号は、少人数私募以外の方法で発行された有価証券についてのもので、私募と同様、エクイティものについては開示が行われていないこと、それ以外については一括譲渡以外の譲渡禁止が定められることが要件となっています。
 
以上のように、私売出しは、適格機関投資家私募、特定投資家私募、および少人数私募の流通段階での開示免除の機能を果たすことになり、この点は私募とパラレルになるのですが、私売出しは流通段階の規制なのでそれ以外の部分が出てきます。その1つは、国内で募集された有価証券の転売ですが、これは今回の改正で、「開示証券の売出し」は届出を要しないこととされたので、私売出しの制度には乗りません。もう1つは、海外発行証券の国内転売で、これが少人数私売出しの主な適用対象になると考えられます。
 
ところが、同じ海外発行証券を、業者がバラバラに国内に持ち込むと、一業者は50名未満を相手方に勧誘を行ったとしても結果的に多数の者に対する勧誘が行われてしまいます。そこで、金融商品取引業者等が譲渡制限のない海外発行証券の売付け勧誘等を行った場合には、銘柄、保有者数等を日本証券業協会に報告し、同協会が、これを公表し、所有者の総数が1000を超えないことを、少人数私売出しの要件としました(令1条の8の4)。これは巧妙なやり方だと思います。1000という数は、外形基準による継続開示要件と一致させたものです。したがって、この規制は、売付け勧誘時に販売圧力がかかるから開示が必要な人数基準は何人かという観点ではなく、販売圧力がかからない場合に証券保有者が何人以上いれば継続開示が必要かという観点から設けられたものといえるでしょう。なぜ、そのような規制が必要だったかというと、海外発行証券については外形基準が設けられていないからです。海外発行証券に外形基準を適用するということは、海外の発行者に日本法に基づく継続開示義務を負わせることなので、法の執行に困難が伴います。そこで、外形基準の形を変えて売出しの規制(私売出しの要件)として、勧誘行為を禁じることで、同じ目的を達成することは賢いやり方だと言えるでしょう。 
 
 
くろぬま
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