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書庫相場操縦

丸八証券の相場操縦事件で、関係者と法人としての同社が起訴されました。
両罰規定により法人の処罰を求めるのは、相場操縦事件では初めてのようです。

被疑事実は報道から推し量る限り、変動操作と安定操作の受託行為のようです。つまり、丸八証券が自己の資金で相場操縦をしたのではなく、顧客に勧めて新規公開銘柄を買わせることにより相場の操作と安定を図っていたということです。

相場操縦行為は、それ自体のほか、その委託等または受託等も禁止されています(159条2項1号)。かつては、相場操縦は取引所の会員である証券会社しか行えず、顧客が相場操縦に当たる注文を出して取引を行う行為は「委託等」として禁止の対象になるとの学説もありました。しかし、判例は、投資家の行為は相場操縦そのもの(「有価証券売買」)に当たると判断しましたので、委託等とは、委託はしたが執行されなかった顧客の行為を意味すると解されるようになりました。これが「見せ玉」です。

受託等とは、相場操縦行為に当たる投資家の注文を証券会社が受託する行為を言います。もちろん、取引を執行しなければ処罰されませんし、投資家の行為が相場操縦に当たるとの認識が必要です。つまり、受託等の禁止は、顧客の相場操縦を防止するために設けられた規定という理解がされていました。ところで、159条2項の変動操作では「誘引目的」が必要ですが、受託等について、証券会社にも誘引目的が必要なのでしょうか。もし必要だとすると、顧客の行為が外形的に相場操縦に当たるとの認識だけでは足りないように思われ、従犯的な場合に本当に受託等の禁止規定を適用できるのか、疑問も沸いてきますね。

今回の事件は、証券会社側で顧客に相場操縦をさせたことをもって、変動操作取引の受託と捉えているようです。つまり、この場合は顧客は主犯ではなく、証券会社が主犯だということです。たしかに、受託等の禁止の規定は、顧客に正犯が成立しなくても禁止されるように読めます。ただ、このあたりは、これまでほとんど議論されてきませんでした。また、このケースでは、顧客は勧められて注文を出しているだけなので、顧客には「誘引目的」がありそうにありません。そこで、注文を受託する証券会社の側に誘引目的があることが必要になるのでしょう。条文上も、「前各号に掲げる行為の受託等をすること」とあり、前各号の行為類型には主観的要件は含まれていませんね。

丸八証券も、顧客は被害者であると見て、相場操縦があったとされた期間に当該証券を通じてその銘柄を購入した顧客に損害の賠償を申し出ています。相場操縦の損害賠償は難しいといわれているところ、自発的に賠償を行うことは評価できます。ただ、相場操縦の被害者は丸八証券の顧客だけではないはずであり、他の証券会社を通じて当該銘柄を不当に高い価格で購入した顧客が保護されなくて良い理由はありません。丸八証券の申出は、「顧客を騙したのが悪いと言われたので、お金は返します、だけどそれ以外では悪いことはしていません」といっているようにも聞こえるところが、若干引っ掛かります。

くろぬま
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