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前回のつづきです。写真は会場の裁判所
B Transparency
1. Background
店頭デリバティブ市場は歴史的に2つの方向で不透明だった。一つは市場に対して(trade reporting)、もう一つは規制当局に対して(transaction reporting)
a Transparency in EU and UK markets
店頭デリバティブ取引はMiFIDのtransaction reporting regimeに含まれていなかった。
b Transparency in US Markets
Dodd-Frank以前は、店頭デリバティブ取引は規制の対象外であり、透明性はなかった。その理由としては、(1)洗練された投資者は一般投資家のような保護を必要としていないこと、(2)金融機関はすでに厳格な規制に服していること、(3)洗練された金融機関は、専門性と自己利益の追求のゆえに自らを守ることができること、(4)店頭デリバティブは、清算集中や取引集中に適するほど標準化されていないこと、(5)USが店頭デリバティブを規制すると金融イノベーションを阻害し、取引が海外に逃げることが挙げられていた。
AIGの救済を契機に店頭デリバティブへの規制の機運が高まり、Dodd-Frankにおいて、2つの方向での透明性が確保されるに至った。
2. Reporting Obligations
USおよびEUにおいて店頭デリバティブの取引者に課される第一の義務は、スワップ取引についてdata repositoryへ報告する義務である。場合によっては、この報告義務は、取引の行われる取引所、または清算機関に課される。ただし、清算集中の対象でない取引については取引者(dealer)に報告義務がある。
Dodd-Frankでは、すべてのスワップ取引(店頭・市場を問わず)が報告義務の対象である。報告義務はスワップ・ディーラーに課せられ、したがってエンド・ユーザーには報告義務はない。ただし、規模と投機的な性質故にエンド・ユーザーがmajor swap participantと分類され、報告義務を負う可能性はある。
EMIRでは、報告対象は店頭デリバティブ契約のみであり、かつ非金融機関との取引は報告対象でない。ただし、金融機関でない当事者も、そのエクスポージャーがESMAの定めるinformation thresholdを超えるときは、義務の対象者となる。
3. Trade Repositories
Trade Repositoryは市場の透明性確保に決定的な役割を果たす。Trade Repositoryは取引情報を集めて伝達するという点で規制市場と変わりがない。
a Role and Operation
Trade Repositoryの役割は、①市場参加者から提供された情報を収集し保存すること、②情報に認証を与えること、③規制に従って、当該情報を市場および規制当局に提供することである。市場への情報の提供については、Dodd-FrankもEMIRも市場参加者の匿名性は保護されなければならないとしている。
規制当局への情報提供については市場参加者の匿名性は確保されない。
b International Coordination
2012年1月のCommittee on Payment and Settlement Systems (CPSS)とIOSCOの共同報告は、次の点に焦点を当てている。
・trade repositoryに報告されるべきデータの内容、とくにシステミックリスクおよび金融の安定化に必要な情報をそこに含めること
・異なる法域の監督者が取引データを合算できるようにするための、common legal entity identifierの開発
・データ合算のための商品分類システムの開発
このようにtrade repositoryにより実質的な役割を果たさせるという政策目標は明確だが、実施の手段には検討の余地が大きい。
c Supervision
監督のアプローチはEUとUSで異なる。EUでは、trade repositoryは認可(authorisation)を必要としないが、ガバナンス、組織構造、事業リスクの管理に関する要件の適用は受ける。また、取引当事者の情報の秘匿、保護を確保することが求められる。EMIR上は明確でないが、これらの要件の遵守についてtrade repositoryは国内規制当局およびESMAの監視を受ける。
Dodd-Frankでは、swap data repository(SDR)はCFTCかSECの登録を受けなければならず、登録先の機関の検査権限に服する。
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