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書庫ディスクロージャー

年間の記事数が少ないのも寂しいので、今年書いた雑誌論文から、一部、抜き書きをさせてもらいます。
 
ジュリストの11月号に新規・成長企業へのリスクマネーの供給という題で、クラウドファンディングを中心に今年の金商法改正についての解説を書きました。クラウドファンディングの規制(緩和)は業者規制ですが、クラウドファンディングの投資額の制限をディスクロージャーとの関係で眺めたがどうなるかと思い、あれこれ考えてみたのが、下の部分です。
 
 クラウドファンディングがインターネットを通じた手軽な資金調達手段であることから、投資家保護の観点から、一人当たりの投資額が50万円以下に制限される。JOBS法におけるクラウドファンディングの投資制限に倣ったものである[1]
 投資額の制限をどう位置づけるかは難しい問題である。まず、多数の者から少額の資金を調達するというクラウドファンディングの特徴に即した投資家保護のあり方であると見ることができよう。しかし、伝統的なディスクロージャーの考え方からは、少額の資金といえども多数の者に勧誘する以上、販売圧力が生じており、被勧誘者は情報を必要としているという批判が可能である。また、一人当たりの投資額が大きくなれば、その者は情報を獲得する能力(取引力)を取得するから、むしろディスクロージャーは不要となる。そこで、募集総額を限定した上で投資者保護を図るためには、むしろ一人当たりの投資額の下限を定めるべきだということになる。これは、少人数私募の考え方であり、これによれば1億円以下、50人未満が基準となるので、一人当たりの投資額を200万円以上とすべきことになる。もっとも、この条件で多数の者(50人以上)から資金を調達すると「少額免除」の枠(1億円)を超えてしまうから、多数の者からの少額の資金の調達という特徴を維持するために一人当たりの投資額を制限しているのであろう。
 また、伝統的な金融商品取引法の考え方からは、開示が不要な場合は開示なくして投資者に自己責任を問える場合であり、開示が必要な場合は開示があることが投資者に自己責任を問う根拠となる。いずれにしても投資は自己責任であり、投資額の限定は自己責任の原則に反するという批判が考えられる。これに対しては、クラウドファンディングの規制は、投資者保護というよりは、投資家が大きな被害を受けないように法が後見的な役割を果たす消費者保護の理念に基づいているのだという反論が可能であろう。
 以上のように、投資額の制限に対しては、①ディスクロージャーの理念または自己責任原則に反する、②多数の者からの少額の資金の調達という特徴を維持するための規制である、③消費者保護の理念に基づく規制であるとの3つ見方が考えられよう。


[1] アメリカでは投資総額規制が置かれており、年収10 万ドル未満であれば、2,000ドルまたは年収の5%のいずれか大きい方を限度とする。
 
 言いたいことはあったのですが、それが分かりにくい文章ですね。
くろぬま
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