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Yahooアバターが終了するらしいですね。無料アイテムを大放出しているので、こまめに変えてみましょうか。これまで一度も有料アイテムは使いませんでした。気づいていましたか? 私は課金システムに納得できないんですね。だからモバゲーもドラクエXもやっていません。でも、据置ゲーム(いわゆるTVゲーム)も、お金を浪費することがなくても時間を浪費するから同じですかね。
 
さて、東証と大証が統合して日本(ニッポン)証券取引所になるための手続きが進められています。持株会社の下に、自主規制法人、現物市場運営会社、デリバティブ市場運営会社、および清算機関がぶら下がることが予定されています。市場間競争などと言っていた頃が遠い昔のようです。共著の『金融商品取引法』におけるリーダー格の近藤先生は、日本に証券取引所は何か所あるとか、固有名詞を出すと、改訂が大変だよと仰っていましたが、今になって慧眼だと思います。
 
今回、注目したいのは、公正取引委員会がこの統合は実質的に競争を制限しないと判断したことです。シェア1位の東証と2位の大証との統合が、です。公取は、メインマーケットと新興企業向市場とを分けて検討しています。まず、競争の実質的制限を判断する市場の範囲について、東証・大証側は世界がマーケットだと主張しましたが、公取は日本国内がマーケットであるとしました。この判断は、国際化(外国企業の上場)をめざす東証にとって悲しい認定ですね。次に、メインマーケットについては、すでに東証が圧倒的に大きなシェアを占めており、競争関係にない大証を統合しても、競争の実質的制限にならないと判断しました。これは大証にとって悲しい認定でしょう。独占禁止法のことはよく分かりませんが、ここでは独占状態の規制が問われているのではなく、統合による競争制限の程度が問われているので、すでに競争がない以上競争制限もないということのようです。
 
第3に、公取は、東証のマザーズと大証のジャスダックとが競争関係にあると判断しました。そして、双方において上場関係の手数料の値上げが安易に行われないような措置が取られることを条件に合併を認めました。これを受けて、東証および大証は、上場手数料の値上げの際に外部の独立専門家からなる委員会に意見を諮問することを約束しています。
 
ここでは新興企業向市場の上場会社獲得競争の制限が主として問題とされていることが分かります。公取は、東証と大証の統合により新興企業向市場も統合されることを想定しているのですが、そうすると競争はなくなるわけです。しかし、競争がなくなるから市場を譲渡せよというのは現実的でないところから、上場手数料の値上げに慎重を期すという措置で公取は満足したようです。この問題はちょっと面白いですね。市場間競争によって利益を得るのは上場会社であると考えると、統合により不利益を受ける上場会社の保護を厚くすることが競争制限の補償措置になりえます。これに対し、市場間競争によって利益を得るのは投資家であると考えると、上場手数料の値上げを慎重に行うことは筋違いのように思えます。
EUとUSは以上の通りであるとして、日本ではどうなっているのかが気になります。
以下に、私が報告用に作ったメモを載せます。写真はソフィアのアレクサンドル・ネフスキー寺院。オスマントルコに征服されていたブルガリアがロシアに解放されたことを記念して造られた寺院。その後の歴史を凝縮しているようなたたずまいでした。
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修正があります(赤字部分)。調べたつもりだったのですが、見落としていました。7月11日に「店頭デリバティブ取引等の規制に関する内閣府令」http://www.fsa.go.jp/news/24/syouken/20120711-1/03.pdfが交付されていました。11月1日より施行されます。
 
1.清算集中義務の対象
 G20の合意に対応するために、日本では2010年に店頭デリバティブ取引の清算集中のための制度が構築された。しかし、2010年改正法はまだ施行されておらず、対象取引は具体的に特定されていない。
 
改正法の枠組みでは、対象取引は内閣府令、すなわち金融庁が指定することになっており、2010年の改正段階では、清算集中の対象取引として、金利スワップまたはCDSであって、取引規模の大きい金融機関同士の取引が想定されていた。その後、金融庁で開催された研究会における議論を経て、金利スワップについては、円建て金利スワップのうち、プレーンバニラ型で変動金利の対象指標をLIBORとするものを、CDSについては、CDSの指数銘柄であるiTraxx Japanを対象とする方向が決定されている。その通り実現しています(内閣府令2条1項・2項、金融庁告示60号)。
 
 
清算義務の対象となるのは、取引規模の大きい金融機関同士の取引が予定されている。金融機関とエンド・ユーザーとの取引は除外される予定である。これも予定通りでした(内閣府令2条3項1号)。
 
2.取引所への集中
G20の合意は、すべての標準化されたデリバティブ契約は取引所で取引されるか、電子取引基盤で取引され、かつ、そこでは清算集中が行われるべきであるとするものであった。
 
日本では、現在、電子取引基盤での取引を可能とするための金商法の2012年改正案が国会に上程されている。電子取引基盤を利用できる取引対象は、内閣府令、すなわち金融庁が決定する。G20の合意では電子取引基盤で取引されたデリバティブについては、清算集中が行われなければならないから、清算集中の対象となる取引についてのみ、電子取引基盤で取引を行えることとし、現段階では、円金利スワップのプレーンバニラ型が想定されている。
 
3.清算機関の認可と監督
日本では金融商品の清算業務は、市場インフラとして免許制の下に置かれている。金融商品取引清算機関の健全性規制は、免許付与の際の清算機関の業務方法書の審査、および業務方法書によって業務が行われているかどうかの監督によって行う。証券取引の清算機関である日本証券クリアリング機構の業務方法書により大雑把に述べると、清算参加者が債務不履行を起こした場合、第1に当該参加者の取引証拠金、第2に当該参加者が預託した清算基金、第3に当該参加者が取引所に預託している信認金があれば当該金認金、第4に不履行参加者以外の参加者に特別清算料の支払いを求め、支払いが得られないときは当該参加者を不履行参加者と扱ってその預託金等を充て、それでも損失を填補できないときは清算機関が負担する。
 
清算機関の認可について、日本法に特徴的なことは、日本法においては、店頭デリバティブ取引の清算は、国内清算機関、国内清算機関と外国清算機関の連携による方式、外国清算機関のいずれかによってされなければならないとされていることである。そして、清算要件が日本での企業の破綻要件と密接に関連している取引、具体的にはCDS取引のうち日本企業の破綻(クレジット・イベントの発生)を要件とするiTraxx Japanについては、国内清算機関において清算することを義務付けることとしている。その理由としては、CDSについては、実務慣行としてISDAがクレジット・イベントの認定を行っているが、その認定が国内の破産法制と整合的でない場合がありうるため、国内清算機関が契約当事者として必要な主張をすることができるようにするためであると説明されている。
 
4.店頭デリバティブ取引の報告義務
店頭デリバティブ取引の報告義務に関する法制は2010年改正で整えられた。
日本では、清算集中の対象となる店頭デリバティブ取引については、取引情報を保存し、規制当局に対して報告する義務が清算機関に課される。清算集中の対象とならない店頭デリバティブ取引については、第1次的には、情報保存および報告義務は金融機関(証券会社を含む)に課せられるが、金融機関は、取引情報蓄積機関を用いて情報の保存・報告を行う場合には、自らの保存・報告義務を免れるという選択制を採用した。
 
金融機関が情報の保存・報告義務を負う対象はすべての店頭デリバティブ取引ではなく、内閣府令、すなわち金融庁によって定められる。金利スワップおよびCDSであって清算集中の対象とならない取引が想定指定されている。
 
取引情報の報告は、第1次的には規制当局がモニタリングを行うためにされるが、第2次的には、市場の透明性を高めるために行われる。そこで、情報の報告を受けた規制当局は、必要な事項を公表するという規定が置かれている。公表情報の内容はまだ決定されていないが内閣府令4条で定められた
 
5.取引情報蓄積機関の監督
取引情報蓄積機関については、国内取引情報蓄積機関については申請に基づく指定制度がとられた。これに対して外国取引情報蓄積機関については、申請を必要としない指定制度がとられた。そして、国内取引情報蓄積機関については、規制当局による監督権限を定めたが、外国取引情報蓄積機関に対する監督権限は定められなかった。国際協調に期待したものである。指定が取り消されると、金融機関は自ら取引情報を保存・報告するか、他の取引情報蓄積機関を探してその者に取引情報を報告しなければならなくなる。
前回のつづきです。写真は会場の裁判所
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B  Transparency
1. Background
店頭デリバティブ市場は歴史的に2つの方向で不透明だった。一つは市場に対して(trade reporting)、もう一つは規制当局に対して(transaction reporting
 
a  Transparency in EU and UK markets
店頭デリバティブ取引はMiFIDtransaction reporting regimeに含まれていなかった。
 
b  Transparency in US Markets
Dodd-Frank以前は、店頭デリバティブ取引は規制の対象外であり、透明性はなかった。その理由としては、(1)洗練された投資者は一般投資家のような保護を必要としていないこと、(2)金融機関はすでに厳格な規制に服していること、(3)洗練された金融機関は、専門性と自己利益の追求のゆえに自らを守ることができること、(4)店頭デリバティブは、清算集中や取引集中に適するほど標準化されていないこと、(5)USが店頭デリバティブを規制すると金融イノベーションを阻害し、取引が海外に逃げることが挙げられていた。
 
AIGの救済を契機に店頭デリバティブへの規制の機運が高まり、Dodd-Frankにおいて、2つの方向での透明性が確保されるに至った。
 
2. Reporting Obligations
USおよびEUにおいて店頭デリバティブの取引者に課される第一の義務は、スワップ取引についてdata repositoryへ報告する義務である。場合によっては、この報告義務は、取引の行われる取引所、または清算機関に課される。ただし、清算集中の対象でない取引については取引者(dealer)に報告義務がある。
 
Dodd-Frankでは、すべてのスワップ取引(店頭・市場を問わず)が報告義務の対象である。報告義務はスワップ・ディーラーに課せられ、したがってエンド・ユーザーには報告義務はない。ただし、規模と投機的な性質故にエンド・ユーザーがmajor swap participantと分類され、報告義務を負う可能性はある。
 
EMIRでは、報告対象は店頭デリバティブ契約のみであり、かつ非金融機関との取引は報告対象でない。ただし、金融機関でない当事者も、そのエクスポージャーがESMAの定めるinformation thresholdを超えるときは、義務の対象者となる。
 
3. Trade Repositories
Trade Repositoryは市場の透明性確保に決定的な役割を果たす。Trade Repositoryは取引情報を集めて伝達するという点で規制市場と変わりがない。
 
a  Role and Operation
Trade Repositoryの役割は、①市場参加者から提供された情報を収集し保存すること、②情報に認証を与えること、③規制に従って、当該情報を市場および規制当局に提供することである。市場への情報の提供については、Dodd-FrankEMIRも市場参加者の匿名性は保護されなければならないとしている。
 
規制当局への情報提供については市場参加者の匿名性は確保されない。
 
b  International Coordination
20121月のCommittee on Payment and Settlement Systems CPSS)とIOSCOの共同報告は、次の点に焦点を当てている。
trade repositoryに報告されるべきデータの内容、とくにシステミックリスクおよび金融の安定化に必要な情報をそこに含めること
・異なる法域の監督者が取引データを合算できるようにするための、common legal entity identifierの開発
・データ合算のための商品分類システムの開発
 
このようにtrade repositoryにより実質的な役割を果たさせるという政策目標は明確だが、実施の手段には検討の余地が大きい。
 
c  Supervision
監督のアプローチはEUUSで異なる。EUでは、trade repositoryは認可(authorisation)を必要としないが、ガバナンス、組織構造、事業リスクの管理に関する要件の適用は受ける。また、取引当事者の情報の秘匿、保護を確保することが求められる。EMIR上は明確でないが、これらの要件の遵守についてtrade repositoryは国内規制当局およびESMAの監視を受ける。
 
Dodd-Frankでは、swap data repository(SDR)CFTCSECの登録を受けなければならず、登録先の機関の検査権限に服する。
国際法学会(ILA)の大会でブルガリアのソフィア(=写真)に来ています。2年前はハーグでした(同じような記事を書きました)。会場はPalace of Justice(裁判所=写真)で、私の属する委員会の報告書では金融機関の破たん前の処理と店頭デリバティブの規制を扱っています。原文はここhttp://www.ila-hq.org/en/committees/index.cfm/cid/23をご覧ください。報告のうち、店頭デリバティブの規制については、日本でも法整備が進行しているので、大会当日に日本の状況を報告しました。その際にメモとして作った報告書の要約を掲げておきます(EUとUSの規制の概要が掴めると思います)。(例によってフォントの変更はご容赦)
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10暫定報告書
Part 1 Overview
Part 2 Global OTC Derivative Regulation
1989年当時、デリバティブの主役はオプションと先物取引だった。それ以来、デリバティブは質、量ともに増加し、1日当たりのデリバティブ契約の想定元本は現物の株式・社債の取引高を超えるまでになっている。
 
毎年のように、利用者や投資者にとってデリバティブの潜在的な危険を認識させる事件が起きている。銀行規制当局は、1990年代初頭から、銀行に洗練されたリスク管理とリスク評価のテクニックを実施するよう要求してきた。国内法は、1990年代中ごろまでに、デリバティブ契約がデフォルトになったときに、グロスベースではなくネットベースで決済できるように改正された。
 
過去2年間をみると、2009年にG20は、店頭デリバティブ取引の清算と報告を強制する法・規制を実施することを合意した。EUは、EMIREuropean Markets Infrastructure Regulation)において店頭デリバティブの改革案を提示し、USDodd-Frankにデリバティブ改革を盛り込んだ。
 
国際的な不調和も見られる。J.P.Morgan London支店の巨額デリバティブ損失事件の報道に接して、CFTCの委員長は、多くの国際取引はUSの登録制の下に置かれるべきだと発言し、EUの金融サービス委員会委員長はこれに不快感を示した。
 
本報告は、世界的なデリバティブ改革の論点のうち、取引相手の信用リスクと市場の透明性を取り上げる。
 
A. Counterparty Credit Risk
1. Nature and Links to Systemic Risk
取引相手の信用リスクとは、キャッシュフローの最終決済まえに取引の相手が債務不履行に陥るリスクである。これには支払不能と支払拒絶とがある。
 
取引相手が信用リスクを吸収できない場合は、信用リスクがシステミックリスクに転化する。システミックリスクが生じる可能性は、デリバティブが金融システムにおいて果たしている役割と、デリバティブの損失を金融システム全体に移転するメカニズムに依存する。
店頭デリバティブの規制が緩やかだったことが金融危機の重要な要因であることは疑いがないから、デリバティブ市場をより厳格な規制のコントロールに服させようという関心が高まっていることは驚くべきことではない。このような関心は、世界的な金融危機の要因を店頭デリバティブ業界に求める点に現れているように政治的な色彩を帯びている。
 
2. Risk Mitigation Techniques and Regulatory Approach
店頭デリバティブ市場はしばしば規制されていないと言われてきたが、取引相手信用リスクのコントロールのさまざまな仕組みはすでに取り入れられていた。第1に、義務の履行について担保をとることが一般的となっていた。第2に、Baselの自己資本規制においても担保を取ることが奨励されていた。第3に、店頭デリバティブ市場の透明性は低かったが、参加者はリスク管理の義務を負っていたことに変わりがない。
 
このような観点から見ると、規制当局による監視は店頭デリバティブのリスクに及んでいたはずであり、信用リスクから生じるシステミックリスクを評価する一定の能力があった。したがって、店頭デリバティブに対する規制枠組みの最近の展開は、規制の重点が間接的なものから直接的なものへ移行してきたものと見ることができる。
 
3. Regulatory Developments and Proposals
G20の合意は、すべての標準化された店頭デリバティブについてCCPを通じた清算を強制することを求めた。リスクの軽減は、CCPによる履行の保証、及びネッティング・証拠金・担保要求によるリスク管理から生ずる。CCPにリスクが集中することから、CCPの健全性規制その他の規制を通じた効果的な行政監督が極めて重要である。CCPに対する各国の規制内容は異なりうる。
 
a  Mandatory Clearing Obligation
2つの争点がある。1.どんな契約がCCPで清算されるか。2CCPの連携をどうするか。
1Hong Kongでは、現引きのできない先渡し(forward)と金利スワップのみを対象とした。
 
標準化された契約とは、one-size-fits-all mannerで取扱いができるほど同質化されていることが必要である。上場されている先物取引がその典型とされることは、驚くに当たらない。
 
標準化された契約の決定について、FSBIOSCO2つのアプローチを採る。CCPが対象契約を提案するbottom-up approachと、規制当局が提案するtop-down approachである。
 
考慮すべき要素は、第1にシステミックリスクへの影響であり、他に、契約の流動性、価格情報の利用可能性、決定が透明性に対して与える効果である。
 
EUでは、清算集中を求めるデリバティブの決定はEMIRによる。ところがEMIRは店頭デリバティブしか扱えないため、上場デリバティブの清算集中を求めることができない。USでは、清算集中の対象はスワップとされており、これには金利、商品スワップのようなnon-security based swapと、単一証券のスワップやCDSのようなsecurity-based swapとが含まれる。上場デリバティブの清算集中を除外する規定もない。スワップの種類の相違は、上場の有無、清算のプロセス、ディーラーの義務、報告義務に影響する。Security-based swapSECの規制に、non-security based swapCFTCの規制に服するという相違もある
 
例としてHong Kong政府の報告書は次の問題点を指摘している。
(a) 証券デリバティブを含むとすると、店頭デリバティブ取引の定義が広すぎないか。
(b) 従来の規制とのオーバーラップはないか。
(c) 銀行その他の規制対象が取引当事者となっていないが、オリジネーターまたは執行者となっている取引を対象とすべきか。
(d) 外国銀行による店頭デリバティブ取引を規制対象とするか。国内銀行がグループベースで守るべき要件はなにか。
(e) 報告および清算の閾値の決定方法
(f) 店頭デリバティブが純粋にヘッジ目的で用いられる場合に、エンド・ユーザーに関する適用除外規定がないこと
(g) 海外銀行または国内銀行の海外支店による報告義務について、顧客情報の保護に関する法が抵触する可能性があること
 
EMIRの下での清算義務は、EUにおける金融機関同士の取引に適用される。USにおいても、金融機関とエンド・ユーザーとの取引は除外されている。このようにEUUSの政策は、commercial formのデリバティブ取引はシステミックリスクの源泉としては重要でないという仮定に立脚している。
 
b Mandatory Exchange Trading
G20の合意内容:2012年末までに、すべての標準化されたデリバティブ契約は取引所で取引されるか、電子取引基盤で取引され、そこでは清算集中が行われるべきである。店頭デリバティブ契約は取引情報蓄積機関に報告されなければならない。清算集中されない取引は、より高い自己資本基準に服するべきである。
 
201010月のFSBの報告書は、取引所取引への移行を示唆したが、20122月のIOSCOの報告書は、この問題を検討していない。これはEUUSの見解の相違を反映している。Dodd-Frankでは標準化されたスワップは取引所での取引が強制される。理由は、取引の透明性が競争とより良い価格付けをもたらし、ビジネスとその消費者にコストの削減をもたらすことにある。
 
EUやアジアの多くの地域では取引所取引の強制は採用されていない。しかし、Markets in Financial Instruments Regulation (MiFIR )の新提案では、清算集中の求められるデリバティブの取引所取引を求めている。もっとも、そこにいう取引所とは、規制市場のほか、MTForganized trading facility (OTF)を含む。
 
c Jurisdiction and Extraterritoriality
EMIREU域外で約束されたデリバティブには適用されない。ただし、non-EU entityEU域内支店には適用される。EMIRthird country entityには適用されないが、そのEU域内の取引相手に適用されるため、その取引は清算集中が義務付けられ、報告義務も生ずる。
 
Dodd-Frankは、スワップのいずれか一方の当事者がUS entityであれば適用される。CFTC20126月に提案したガイドラインでは、US entityの定義を、USで設立されたか営業している金融機関を超えて拡大し、US市民と取引をしたか、US市民に清算サービスを提供したforeign entity(またはそのUS内の支店)を含むとしている。???
 
アジアでも状況は同じである。店頭デリバティブがいずれかのレジームで清算集中の対象となれば、コンプライアンス・リスク、とくにどのレジームの清算要件が優先するかという問題が生じる。たとえば、Hong KongCCPを通じて取引しているUS entityDodd-Frankは適用されるか。Hong KongCCPが第三国の機関としてUSでの登録を免れるかという問題には、政治的イシューが潜んでいる。
 
ビジネス面でいうと、バイサイドにおいて、コンプライアンス・リスクを避けるために、保険のようなデリバティブ以外の手法を使う例が増えるかも知れない。
 
d  Authorisation and Supervision of CCPs
清算業務は、現在、MiFID上の投資サービスではない。EMIRは、CCPの認可と監督が加盟国の権限ある機関によって行われることを求める。EMIRによって設定された健全性規制は、CCPの流動性と信用エクスポージャーの管理に着目するものである。CCPは参加者から日ごとに証拠金を集め、分離保管する。Default waterfallは、第1段階として、デフォルトした参加者の証拠金をそれによって生じた損失の補填に用いる。第2段階として、参加者がエクスポージャーに応じて拠出した証拠金からなるデフォルト・ファンドが、デフォルトした参加者の拠出額の限度で、CCPの損失の補填に使われる。次いで、デフォルトしていない参加者の拠出したデフォルト・ファンドが用いられ、最後に、CCPが証拠金およびデフォルト・ファンドを超える損失に備えて保有する自らのファンドが補填に用いられる。デフォルトしていない参加者はデフォルト・ファンドに拠出した額を超えて責任を負うことはない。
 
EMIRCCPに信用リスク及び市場リスクの低い、高度に流動性のある担保のみを受け入れるよう求めている。
 (つづく)
論文の3つ目のテーマとして「ディスクロージャーの効用と限界」と題し、具体的には役員報酬の個別開示(平成23年内閣府令改正)と第三者割当増資(平成21年取引所規則と内閣府令の改正)を取り上げました。
 
役員報酬の個別開示は、金融審議会のスタディグループ報告を受けてのものであるとされているが、同報告は報酬の個人別の開示までは求めていません。役員報酬の個別開示は政治的判断で導入されたものといえるでしょう。
 
会社法でなかなか実現しなかった役員報酬の個別開示が、上場会社の役員(取締役・監査役・執行役)に限って、かつ1億円以上に限ってではあるが、法律ではなく内閣府令の改正によってあっさり実現してしまったのです。注目したいのは、情報が投資者の投資判断にとって重要であるという理屈さえ立てば、金融商品取引法は開示会社または上場会社に対してどんな開示でも要求できるというディスクロージャーの強制力です。
 
他方で、このような強制力に鑑みると、どのような開示を求めるかは、それによって害される利益との衡量のなかで慎重に決定されなければなりません。役員報酬の個別開示との関係で衡量されるべき利益はコーポレート・ガバナンス、換言すると株主の利益でしょう。論文では、1億円以上の役員報酬の開示が、上場会社に役員報酬の引下げを促したり、有能な経営者の採用を難しくすることを通じて株主の利益を害さないかが慎重に検討されなければならないと指摘しました。
 
第三者割当増資の開示については、内閣府令と取引所の上場規則を説明し、両者を比較しました。前者は開示ルール、後者は行為規範となっており、内容も後者の方が発行者に厳しいものとなっています。そこではハード・ローとソフト・ローの役割分担が行われているとみることもできますが、上場会社等の発行者に対して金融商品取引法では開示規制しか及ぼすことができないというのは当然のことかという問題提起をしました。
 
この問題については、金融商品取引法と会社法の役割を画すべきであり、上場会社の株主保護は会社法の領域に属する問題であるというという声をよく聞きます。しかし、私自身は、金融商品取引法は行政処分や課徴金によって法を執行することができる点で上場会社の株主に適切な救済を与えることができるから、金融商品取引法の利用を一概に否定すべきではないと考えています。上場会社は既に金融商品取引法上の行政処分の対象とされているのであり、立法すれば、発行者の役員の解任命令権を金融庁長官に付与することさえできるでしょう。また、たとえば、希釈化率300%超の第三者割当を金融商品取引法上禁止して、証券取引等監視委員会が192条に基づく緊急差止命令を申し立てることができるようにすれば、これを取引所の自主規制のみに委ねて上場廃止とするよりも株主の保護を図ることができるようになります。
 
前半では、効用が強いので規制のデザインを慎重にすべきであるといい、後半は限界を超えて強い効用を大いに利用すべきであるといっており、結論がバラバラですが、この辺りは論文というよりもエッセイになっていると反省しているところです。
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