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講学上、我々は一般投資家という語を使っています。
アメリカの文献では、public investorという語は用いられていません。たぶん、public investorというと公共投資をしている者といったニュアンスがあるのでしょう。ときたま、investing public(投資大衆、投資公衆)という語を見かけますが、これが一般投資家にもっとも近いでしょうか。
講学上、一般投資家という語はさまざまな意味で用いられています。個人投資家を意味することもあるし、財テクを行っている事業会社を含む場合もあります。
法律上、意味のある一般投資家の概念として、これを「適格機関投資家以外の者」の意味で使う場合があります。証券取引法は、適格機関投資家向け証券を適格機関投資家以外の者に勧誘することを「適格機関投資家向け証券の一般投資者向け勧誘」と言って来ました(4条3項)。「適格機関投資家以外の者」では長ったらしいので一般投資者という訳です。
ところが、金商法では、業者の行為規制を柔軟化するためにプロ投資家とアマ投資家を区分し、プロ投資家に「特定投資家」の語を当てました。アマ投資家に用語は当てられておらず、「特定投資家以外の者」という言い方をしていますが、金商法を説明するときには、これを一般投資家と呼ぶのが通常です。適格機関投資家の範囲よりは特定投資家の範囲の方が広いため、一般投資家の範囲は従来よりも狭くなります。金商法では、誤解を避けるため、従来の「適格機関投資家向け証券の一般投資者向け勧誘」を「適格機関投資家取得有価証券一般勧誘」と言い換えています(4条2項、英訳するときはどうするのでしょう?)。
適格機関投資家の語も、そろそろ言い換えの時期に来ているのではないでしょうか。機関投資家とはinstitutional investorのことで、他人のために投資を行う者を言います。アメリカでは、適格機関購入者(aualified institutional buyer)とか、適格投資家(accredited investor)といい、前者には事業会社や個人は含まれませんが、後者には含まれます。つまり、ちゃんと言い分けが出来ているのです。日本では、適格機関投資家制度が出来たときは、大部分の事業会社や個人は範囲に含まれていませんでした。その後の改正で適格機関投資家の範囲は拡大され、金商法では事業会社一般も個人も適格機関投資家になれます。もはや機関投資家という後は適切でないでしょうね。
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