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金商法166条2項3号は、新たに算出された決算数値の実績値または予想値が、直近に公表された決算数値の実績値または予想値から一定程度乖離したことを以って、重要事実としています。このような規定は、重要な決算変動をうまく捉えることができるでしょうか。

ある会社が過去に公表した収益予想を上方修正する新たな決算数値を算出したとします。ところが、世間ではこの会社の業績が好調であることが既に伝えられていて、アナリストはすでに収益予想を上方修正していました。アナリストの予想が市場価格に反映していれば、会社の決算発表は市場に大きなインパクトを与えないでしょう。それにも拘らず、決算内容を公表前に知って会社の株を買った会社関係者・情報受領者はインサイダー取引の罪に問われることになります。

別の会社では過去に公表した収益予想どおりの決算数値を算出しました。ところが、世間では、この会社の業績悪化が伝えられており、アナリストは収益予想を下方修正していたとします。アナリストの予想が市場価格に反映していれば、会社の決算の公表は、アナリストの予想を裏切るものなので、市場に大きなインパクトを与えるでしょう。それにも拘らず、決算内容を公表前に知って会社の株を買った会社関係者・情報受領者はインサイダー取引の罪に問われないことになります。

このようなおかしな結果は、市場に流布している情報を無視して決算数値の変動を一律に重要事実としたことから生じています。アメリカの判例では、重要事実とは、投資家の利用可能な情報の総体(total mix of information)を大きく変えるものを言います。この定義は大雑把なものに見えますが、利用可能(available)な情報の全体に照らして、特定の情報の重要性が判断されることになるので、妥当な結果が得られます。上の第一の例では、決算発表はアナリストの予想を含めた情報の総体を変更しないので重要性に欠け、第二の例では、アナリストの予想を含めた情報の総体を変更するので重要性が認められることになります。

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