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金融商品取引法の目的論に実益があるかどうか、もう少し考えてみましょう。

投資者保護が法の目的であると解することにより、投資者保護以外の公益を法の解釈・立法に持ち込むことを防げるでしょうか。投資者保護以外の公益とは、たとえばマネー・ロンダリングの防止です。

本人確認を怠っていた証券会社に対して、金融庁は法令違反を理由とする行政処分を下すことができるでしょうか。この法令は金融商品取引法とその付属法令に限られるという見解をとる余地は、投資者保護説の論者にもいないのではないでしょうか。

金融機関による有価証券関連業の禁止(33条)は、預金者保護・保険契約者保護の規定であって、投資者保護の規定ではないといわれています。では、この規定は1条に違反して無効でしょうか。今ある規定を無効とするのは難しいとしても、同じような趣旨の規定が新たに金商法に定められるとしたら、その規定は1条に違反して無効でしょうか。法律には憲法のように違反する法律を無効にする強い効力はありませんから、投資者保護説をとっても、投資者保護を目的としない立法を防止することはできないでしょう。

このように解釈上、立法上の強い効果はないとしても、解釈・立法の指針になることは、なお否定できません。たとえば、インサイダー取引規制の目的の一つは、企業情報の保護にあるという見方があります。この見方によれば、外部から侵入して秘密情報を盗取した者は、会社関係者が職務に関して知った場合または情報受領者が情報の伝達を受けた場合に該当すると解釈することにもなるでしょう。しかし、インサイダー取引規制の目的は投資者保護(と市場の公正性確保)にあると解するのであれば、情報の盗取者をインサイダーとして規制する必要はありません(したがって、無理がある上記の解釈はとらないことになります)。もし企業情報を保護する必要があるならば、金商法以外の法律でやってくれということになるでしょう。

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