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プロ向け市場(1)

平成20年改正で創設されたプロ向け市場は、大変わかりにくい制度です。

プロ向け市場はロンドンのAIM市場を参考にしたものです。改正の議論が始まったころから東証のS社長は、ロンドンがいい、NYもSECもロンドンにやられて焦っていると力説されていました(ニュアンスが違っていたらごめんなさい)。たしかに取引所の商売を考えたら、上場会社がたくさん来てくれることが最高でしょう。でも、私の理解では、アメリカの証券法は自国民保護のためにはSOXのような厳しい規制もかけ、それで上場会社が逃げても構わないという態度なのです。

さてプロ向け市場は、発行者が法定開示義務を免除された市場です。プロ向け市場に参加できるのは「特定投資家」だけです。とはいっても、法人であればすべて特定投資家になれますので、特定投資家のハードルがかなり低いこともたしかです。特定投資家相手であれば法定開示が要らないとした理由は、特定投資家は情報収集・分析能力があるか、リスク管理能力があるため、自己責任を基本とすることが可能だからと説明されています。

しかし、投資家はすべて自己責任の原則に基づいて投資をしているはずで、特定投資家だけが自己責任を基本としているわけではありません。そして、すくなくとも、これまでは、自己責任の原則は発行者が情報を開示することが前提となっていたはずであり、法定の情報開示があって初めて自己責任の原則(投資者が自らの投資判断の結果を負担すること)を問えると考えられてきました。開示なき自己責任では、もはや市場とは言えないでしょう。もっとも、実際にはかなりガッチリした開示が行われます。ですから、説明とすれば、特定投資家は情報分析能力があるから、外国語による開示、外国基準による開示でもしっかり判断できるといえばよかったのでしょう。

もっとも、特定投資家はすべて情報分析能力があるとは限りません。特定投資家の定義中には情報分析能力を窺わせる要件はありません。むしろ、特定投資家は、公式の説明ではリスク管理能力がある、私の理解ではリスク負担能力があるという基準で選ばれています。要するに多額の投資をしているのだから、自分で情報分析ができないのであれば、専門家を雇いなさいということなのでしょう。

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