|
四半期報告書は、3か月ごとに発行者の経営成績や財政状態を開示させる制度であり、アメリカでは1970年から導入されていました。わが国では、故神崎克郎先生が四半期開示の導入を力説されていましたが、四半期を入れれば臨時報告書は要らないというのは、言い過ぎではなかったかと思います。 他方で、四半期ごとに経営成績等の開示を求めると、経営者が業績の季節的変動を無視した短期的利益の追求に走るようになるなどの批判があり、法制化が遅れていました。他方、投資情報が不足しがちな新興企業向け新市場(マザーズ、ヘラクレスなど)では、取引所の自主規制により四半期情報の開示が求められ、平成16年からは上場会社全般について自主規制による四半期開示が実現していました。 私はこのような自主規制による開示ルールの展開は、市場間競争がうまく働いたからだと見ていました(「市場間競争」という言葉は一時とても流行りました)が、新興企業は情報が不足しているので投資家が情報を欲する結果、取引所が開示を求めたという上の見方が一般的でしょう。 いずれにせよ、金融商品取引法では、企業を取り巻く経営環境の変化が激化していることを考慮して 、企業情報をよりタイムリーに開示させる四半期報告制度を、民刑事の責任と課徴金が伴う「法定開示」に引上げたのです(24条の4の7)。四半期報告書の提出が強制されるのは上場会社だけです。取引所はせっかく自主規制で実現した四半期報告を法律レベルに取り上げられてしまうのですから、この改正に反対するかと思っていましたら、全くそんな態度は見せませんでしたね。 四半期報告書の開示内容は、連結ベースの財務情報のほか、財政状態・経営成績の分析、企業・事業等の状況、株式等の情報などの非財務情報が含まれますが、有価証券報告書に比べると記載事項は簡素化されています。また、四半期報告書に記載される四半期財務諸表については、企業会計基準委員会が作成基準を公表しており 、そこでは簡便的な会計処理も認められています。 四半期報告書に虚偽記載がある場合の提出者の刑事責任および課徴金は、有価証券報告書に虚偽記載がある場合に比べ軽減されています。もっとも、これは、四半期報告書では、少しぐらいの虚偽記載は許されるという意味ではありません。半期報告書と同じ扱いだからです。これに対し民事責任は、有価証券報告書と同様の規定が適用されます。すなわち、重要な虚偽記載、記載すべき重要な事実の不記載、誤解を生じないために必要な重要な事実の不記載が民事責任の発生原因となります。それでは、虚偽記載が成立する範囲は、有価証券報告書と四半期報告書とで異なるでしょうか(つづく)。
|
過去の投稿日別表示
-
詳細
2008年10月15日
全1ページ
[1]
コメント(0)
全1ページ
[1]



