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最近の米国判例(3)

インテグリティの開示に関する対照的な判決が出ています。

Galati v. Commerce Bancorp, Inc., 220 F.App'x 97 (3d Cir. 2007).

【事案】 銀行持株会社が、子会社である銀行の役員が州の財務官と癒着していたことを開示しなかったことに開示義務の違反があるとして、rule10b-5違反が申し立てられた。原告の主張によると、財務官が銀行から好条件の融資を受ける見返りに、銀行は、州から当座預金、普通預金を受け入れ、地方債の取引に便宜を図ってもらった。原告は、州政府の預金の増加の記載、「公共ファイナンス部門」の「業績が好調である」との記載、および「預金の力強い成長に支えられたユニークなビジネスモデル」との記載について、投資家の誤解を招かないために、銀行持株会社は癒着を開示する義務があったと主張。
第3巡回区控訴裁判所は、請求棄却の地裁判決を維持。

【判旨】 重要な情報の不開示は、被告が当該情報を開示する積極的な義務を負っていない限り、rule10b-5に基づく責任を生じさせない。過去の収益額の引用は、10条(b)項に基づく責任を発生させない。「預金の増加」「業績が好調である」「ユニークなビジネスモデル」といった記載は単なる「自己賞賛」であって、州政府の預金に関する銀行業務の誠実性(integrity)に言及するものではない。したがって、過去の財務業績の記載や発行者の将来の成長に関する一般的な楽観的記載は、子会社の役員の不正行為を開示する義務を生じさせない。

In re Syncor Intenational Corp. Securities Litigation, 239 F.App'x 14 (9d Cir. 2007).

【事案】 違法な支出によって生じたものであるのに、違法な支出を開示せずに海外収益の増加を記載したことが発行者の開示義務違反になるとして訴訟が提起された。第9巡回区控訴裁判所は、被告勝訴の地裁判決を破棄。

【判旨】 Syncor社の成功を正当な慣行に帰せしめることにより、被告は、その成功に寄与した違法な慣行が存在しないことを黙示的かつ虚偽に表示した。また、被告取締役は、我々は合法的にビジネスを行っていると表示したのに、実際には贈賄や買収に従事していた。

【感想】rule10b-5は発行者に積極的な開示義務を負わせるものでないが、発行者の表示について誤解を生じないために必要な事実を開示しないこと(Omission)は、開示義務の違反となる。したがって、違法な行為によって収益を上げていた場合に、当該違法行為と関連する表示をしている場合には、違法行為を開示する義務が生じる。Galati判決は、そのような表示がなかったとしたのに対し、Syncor判決はそのような表示があったとした。後者の事件で、「合法的にビジネスを行っている」のとの表示が公表されていたのか否かは不明。もし、公表文書にそのような開示がなくても、合法的にビジネスを行っているとの表示は、どのような発行者であっても黙示的に行っているとすれば、前者でも責任が認められる余地があるように思われる。ビジネスが合法的か否かは投資判断にとって重要な問題であるから、どのような事情があればインテグリティの開示義務が生じるかは、重要な論点であろう。

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