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監査人の訂正義務に基づくRule10b-5責任について判示した判例です。 Lattanzio v. Deloitte & Touche LLP, 476 F.3d 147 (2d Cir. 2007) 【事実】(上記の論点に関する部分のみ) 原告は、2001年6月に破産申立てをしたWarnacoの監査人を訴えた。D&T(監査法人)は、Warnacoの1999年の財務諸表を監査し、当該財務諸表は2000年5月16日に提出された。クラス・アクションの期間は、2000年8月15日から2001年6月8日であり、原告はWarnacoの株主資本が会計ミスにより過大表示されていたと主張。D&Tは、会計ミスを後から知ったが、クラス期間中に1999年の財務諸表に対する監査意見を訂正しなかった。 地方裁判所はD&Tによる棄却の申立てを認め、第2巡回区控訴裁判所はこれを支持した。 【判旨】 発行者の監査人の責任を追及するためには、原告は、不実記載が公表されたときにおいて、その不実記載が監査人に帰着することを主張しなければならず、提出書類の準備に監査人が助力したことを理由に責任を追及することはできない。D&Tは1999年のWarnacoの財務諸表に監査意見を表明したときに表示をしたけれども、それはWarnacoが財務諸表を含む年次報告を作成したときに行われたのであり、それはクラス・アクション期間よりも前なので、原告は救済を申し立てることができない。 原告は、D&Tはクラス期間中に会計ミスを知っていたので、1999年の財務諸表に対する監査意見を訂正する義務を負い、訂正をしなかったことが表示に当たると主張する。しかし、原告は、D&Tはクラス期間が開始する前に会計ミスを知ったと主張しているのであり、訂正の懈怠は知った時点において表示になるから、原告が申し立てている救済期間には、D&Tはそのような表示をしていない。 【感想】 なかなか理解の難しい判決です。 Rule10b-5の責任は、不実記載の教唆・幇助からは生じず、その者が開示の第一次違反者となる場合に限って生じるというのがアメリカの判例(Central Bank判決)です。 また、この判決は訂正義務が生じた時に訂正をしないことは、前に行った表示を不実のものにし、かつ、その時点で虚偽の表示がなされてものと評価しています。 それにもかかわらず、判決は、訂正義務が生じた時点がクラス期間の開始時よりも前なので、クラス期間には監査人による表示がないとしたのです。 しかし、不実記載がなされた後であって、かつ、その記載が生きている間に有価証券を取引した者に訴訟提起権が認められるはずですから、クラス期間前に不実記載がなされれば足りるのではないでしょうか。むしろ、本件は、1999年の財務諸表が公表された時点でD&Tは会計ミスを知らなかったのだから、監査証明をしたことについて過失がないといえる事案のように思えます。ただし、過失がないことを理由にmotion to dismisswは認容できないため、クラス期間に虚偽表示をしていないという構成をとったのでしょう。
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2008年11月18日
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