|
公開買付規制の一つに強制公開買付けとか、3分の1ルールと呼ばれるものがあります。
これは上場会社等の議決権の3分の1超を取得することとなる株券等の買付けをするには、公開買付けの手続によらなければならないというものです。3分の1ルールには、いろいろな理論上の問題があるのですが、ここでは、日本の上場会社の株を海外の投資家同士が相対で取引する場合に3分の1ルールを適用できるかという問題を扱います。
私は立法論としては3分の1ルールを廃止すべきだと考えているのですが、ひとまずそれを措いて考えると、3分の1ルールの保護の対象は、相対取引の当事者以外の一般投資家です。したがって、取引が誰によって何処で行われようとも、3分の1超が取得されるときには、一般投資家に取引参加の機会を与える3分の1ルールを適用すべきです。3分の1ルールの適用があると解した上で、違反者が外国にいる場合は、適用範囲の地理的限界から、ルールを執行するのが難しいと考えるべきでしょう。
この問題は、私が座長をした研究会の報告書で、弥永先生が要領よくまとめてくださいました。ところが、この報告書はウェブサイト等で公表されておらず、委託研究を受けた出版社も保管していなかったため、現在「幻の報告書」になっています。
金商法27条の2第1項2号は、「取引所金融商品市場外における株券等の買付け等であって」と規定しています。ここに取引所金融商品市場とは金商法上の概念なので、外国の証券取引所は含まれません。そこで、たとえばNYSEの上場企業がTSEでも上場する場合、NYSEでの取引で3分の1を超える場合には、日本で公開買付けをしなければならないことになります。理屈から言えば、日本の投資家はNYSEの取引に参加しにくいから、日本で売却の機会を与えろということなのでしょう。しかし、NYSEの上場企業もその株を市場で購入する投資家も、「同じ条件で日本でも買え」といわれるなど夢にも思っていないでしょうね。
|