ここから本文です

書庫過去の投稿日別表示

全1ページ

[1]

Mファンドのインサイダー取引事件に対する控訴審判決が出ました。執行猶予付きの有罪判決です。

この判決は、その一般論も事案への当てはめも一審の東京地裁判決とは異なっています。

一般論については、東京地判が「実現可能性が全くない場合は除かれるが、あれば足り、その高低は問題にならない」とした点を否定し、決定といえるためには投資者の投資判断に影響を及ぼし得る程度に実現可能性がなければならない(大意)としました。

実現可能性が極めて低い場合でも「決定」といえるとすると、投資判断にとって重要でない情報を知って取引をした者が罪に問われることになり、妥当ではありません。控訴審判決は、こうした一審判決の不都合を解消した点で評価できます。ただ、投資判断に影響を及ぼし得る程度のものであるか否かを問うのでは、ハードルが低すぎるのではないかと思います。インサイダー取引の包括条項は、「投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの」という文言を用いていますので、表現としては、こちらに揃えるべきではないでしょうか。単なるレトリックの差に過ぎないのなら良いのですが、そうしたレトリックを用いることで、事実に当てはめた場合の結論に差が生じるのなら、問題です。

事案への当てはめについては、このような一般論を当てはめた結果、控訴審判決は、平成16年9月15日に「決定」がなされたとの認定を覆し、この時点では一般投資者の投資判断に影響を与える程度の決定があったと認めることは相当でないとしています。そこで控訴審判決は、決定の時期をずらし、ライブドア側が同年11月8日の会議を設定しようとしたことにつき了承を与えた時点で「決定」があり、それが11月8日に「伝達」されたと認定しています。

事実認定は論評の限りではありませんが、気になるのは、資金調達の目処が立っていたか否かは、5%超の取得について判断すべきか、3分の1の取得について判断すべきか、です。一審判決は、法律上、買い集め等が5%超と定められている以上、5%超を買えるだけの資金調達の目処が立っていればよいとしました。しかし、決定の内容はあくまで事実によって決まり、法律によって決まるものではありません。3分の1を取得できるだけの資金の目処が立っていなければ買付けを開始しなかったであろうことが認められるのであれば、3分の1取得のための資金調達の目処が立たない限り実現可能性は低いといえるのではないでしょうか。この点、控訴審判決がどう考えているのかは、手元の資料では分かりません。

全1ページ

[1]

くろぬま
くろぬま
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索
1 2
3
4 5 6 7
8 9 10 11
12
13 14
15 16
17
18 19 20 21
22
23
24 25 26 27
28

最新のコメント最新のコメント

すべて表示

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事