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平成17年にライブドアの関連会社がニッポン放送株を東京証券取引所の開設する立会外取引であるToSTNeT-1によって大量取得した際に、立会外取引が市場取引といえるかどうかが争われました。市場取引といえれば適法に取得でき、市場取引といえなければ3分の1ルールの違反となります。

東京高決平成17年3月23日判時1899号56頁は、ToSTNeT-1は競争売買の市場ではないが有価証券市場に当たるとして、ToSTNeT-1による3分の1を超える取引を許容しました。決定は形式的な理由により判断を下していますが、私は次のように考えています。

3分の1ルールは、支配株式の移動には支配プレミアムが付きものであることから、他の株主がこれに平等に参加するよう確保するためのものです。ToSTNet-1による取引は、単一の銘柄の注文についてネットワーク上で匿名で取引の相手方を探し出し、個別に条件交渉を行い、取引を成立させるものなので、売主側は、自己の売り株数がそれ自体で3分の1を超える場合を除いて、株式の取得によって買主の株券等保有割合が33.3%を超えることを知りえないのであり、条件交渉の結果、「支配権プレミアム」を考慮した価格が約定されることは考えられないのではないか。加えて、取引価格は、オークション市場の価格を基準として一定範囲内に制約されているので、現実にも支配権プレミアム考慮した価格を約定することは不可能ではないか。そうだとすると、ToSTNet-1による取引に3分の1ルールを適用しなくても、同ルールの趣旨に反しない。

しかし、立会外取引は一般投資家が容易に参加できる市場ではないことから、平成18年改正により、立会外取引による3分の1を超える取得は公開買付けの方法によらなければならないとされました(27条の2第1項3号、これを特定売買等という)。この改正は金融審議会の議論を経たものではありません。この時の改正にはさらに問題が二つあります。

第1に、27条の2第1項3号は競売買の方法以外の方法による有価証券の売買等として内閣総理大臣が定めるものに3分の1ルールを適用しますが、告示ではToSTNet-1だけでなくToSTNet-2やその他各取引所の立会外取引のすべてが指定されました。しかし、従来、ToSTNet-2は、買付け数・買付け価格を事前に公表して行うので、時間優先の原則が働き、競売買の市場であると理解されていました。ToSTNet-2による売買を禁止したことが政策的に妥当だったのか、疑問が残ります。穿った見方をすると、ToSTNet-2は競売買の方法だから、これを内閣総理大臣が指定するのは委任の範囲を超えていて無効であると言えるかも知れません。

第2に、自己株式の取得には3分の1ルールは適用されないため、立会外取引も禁止の対象とされませんでした。しかし、自己株式の取得には株主平等原則が適用されるので、3分の1を超えなくても市場取引か公開買付けの方法によらなければならないはずです。立会外取引が一般投資家が容易に参加できる市場ではないことを理由に公開買付規制を適用するのなら、自己株式の取得にもその理は当てはまるでしょう。一般投資家が容易に参加できなければ実質的な株主平等は図られないからです。

なお、特定売買等に該当するためには、相手方が多数の者か著しく少数の者かは問われません。しかし、支配権プレミアムの公平な分配という3分の1ルールの趣旨からは、多数の者を相手方とする立会外取引を規制する理由を説明できないように思われます。むしろ、特定売買等の規制は、立会外取引により支配権が移転するのを端的に禁止するものであり、従来の3分の1ルールとは趣旨が異なるということでしょうか。

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