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前回の記事に対するコメントに触発されて、公開買付けの定義規定について考えてみたいと思います。 金商法27条の2第6項は、「この条において『公開買付け』とは、不特定かつ多数の者に対し、公告により株券等の買付け等の申込み又は売付け等の申込みの勧誘を行い、取引所金融商品市場外で株券等の買付け等を行うことをいう。」と規定しています。 この規定にはどんな意味があるのでしょうか。 沿革的には、平成2年改正前に27条の2第1項が、不特定かつ多数の者に対する株券等の有価証券市場外における買付けの申込み又はその有価証券市場外における売付けの申込みの勧誘は、公開買付届出書を大蔵大臣に提出し、その効力が生じているものでなければ、することができないと規定していました。つまり、これは公開買付けの手続をとらなければならない場合(規制の発動要件としての公開買付け)を定めたものでした。 ところが、平成2年改正で公開買付けの手続によらなければならない場合が列挙されたため、この定義規定は若干の修正を受けて6項に引っ越してきたものです。したがって、この定義規定は、もはや規制の発動要件としての公開買付けを定めるものではありません。むしろ、6項は「この条において」のみ適用され、1項では、各号のいずれかに該当するものは公開買付けによらなければならないとしているため、もし6項が規制の発動要件を定めるものであれば、公開買付けは公開買付けによらなければならないという同義語反復になってしまいます。そこで、6項の公開買付けは、効果としての公開買付け(従わなければならない公開買付けの手続き)を示したものと読むべきでしょう。1項各号に該当するものは公開買付けによらなければならず、その公開買付けとは6項定義のものである、ということです。 もっとも、具体的な公開買付けの方法は法令に規定されていますので、6項に従うだけでは公開買付けの手続規制に従ったことにはなりません。つまり、6項には法的効果はないといってよいと思われます。 それでは6項があることによって公開買付けの規制が不当に制約されることはないでしょうか。「不特定かつ多数の者に対して」の要件は、公開買付けは公告して行い、提供者を拒むことができないので、不特定かつ多数の者に対して勧誘する行為は常に存在し、要件が満たされるものと思われます。「公告により」の要件も、法定のやり方で公告しなければならないため、当然に満たします。「取引所有価証券市場外で」という点も、公開買付けの手続は市場外のものに限定されていますので、法令に従う限り満たすでしょう。 つまり、6項は毒にも薬にもならない規定ということでしょうか。
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2009年07月14日
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