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委任状勧誘規制(4)

更新が大分遅くなってしまいました。書き入れ時にブログを書いていて良いのだろうかと、反省していました。

さて、何事でも規則に従うにはコストがかかることから、会社側であれ株主側であれ他人の議決権の行使を勧誘する者は、委任状勧誘規制の適用を避けようとします。そこで、勧誘とは何かが問題になります。

アメリカでは、勧誘(solicitation)が、委任状の取得に繋がるようなあらゆるコミュニケーションを含むように定義されているため、勧誘の範囲が広すぎて、機関投資家間のコミュニケーションを妨げるという批判があり、適用除外規定が設けられました。日本法には、勧誘の定義規定も適用除外規定もありませんが、ここでは議決権の行使を代理させることの勧誘のみが規制対象となっているので、株主に対して一定方向で議決権を行使するよう呼びかける行為は代理行使の勧誘に当たらないと解されています。議決権の代理行使を伴わない以上、プレスリリースやテレビ広告で呼びかけることもできます。これに対し、委任状のサンプルを株主に送付する行為は勧誘に当たると解されているようです。

勧誘に当たるのに内閣府令に従わない委任状用紙を用いるなど、委任状勧誘規制に違反した議決権の行使が行われた場合、株主総会決議の効力に影響があるでしょうか。東京地判平成17年7月7日判時1915号150頁は、議決権の代理行使の勧誘は、株主総会の決議の前段階の事実行為であって、株主総会の決議の方法ということはできないから、内閣府令の規定をもって法令とはいえず、府令違反の事実があっても、決議の方法が法令に違反する場合とはいえないと判示しています。

この考え方に対して学説では、会社法上の書面投票を強制される会社が、会社法施行規則64条により、全株主を対象に委任状勧誘を行い、書面投票を実施しない場合には、委任状勧誘規則の違反は決議方法の法令違反に当たると解するのが一般的だと思われます。書面投票制度の違反は決議方法の法令違反に当たるところ、この場合には書面投票の代わりに委任状勧誘を行っているからです。

また、弥永教授は、委任状勧誘規制違反が議決権代理行使の委任の無効をもたらすのであれば、委任をうけないで議決権行使が行われたのであるから、非株主による議決権行使がなされた場合と同様、決議の方法に法令違反があり、総会決議取消原因があると解すべきであろうとされ(会社法の実践トピックス24、156頁)、傾聴に値すると思われます。問題は、委任状勧誘規制違反が委任の無効をもたらすかどうかですが、株主の投票判断に重大な影響を及ぼすような違反は委任の無効をもたらすというべきなのでしょうね。

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