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消費者庁の委託調査で日曜日からワシントンに来ています。訪問先はFTC(連邦取引委員会、日本の公正取引委員会に相当、写真上)、SEC(連邦証券取引委員会、証券取引等監視委員会又は金融庁に相当、写真下)、DOJ(司法省)で、主として、違法利益の吐出し訴訟(disgorgement action)について聞いています。

さて、
【判旨】(つづき、要約しています。強調筆者)
損害、過失相殺、過失割合について。

原告には発注管理体制の不備があるほか、原告の従業員は価格と株数を取り違えるという初歩的なミスをした上、警告表示を無視して発注行為を継続した点に重過失が認められる。また、本件の損害との関係において、有価証券売買責任者が不在であり、また、電話が同人ないしその代行者に取り次がれなかったことが、原告の過失となるべきものである(もっとも、原告の体制整備によっても、損害回避の実現できない部分が残りうることは確かであるから、生じた損害との関係において、この点の原告の過失を大きく見ることは相当とはいえない)。また、原告に反対注文を直ちに行う義務があったとは認められない。

被告の債務不履行は本件売り注文以前から継続的に存していた。他方、原告は、本件売り注文を行うとの義務違反行為によって、その原因となった本件不具合を現実化させたのであるから、被告の債務不履行が継続中に、原告の重大な義務違反行為により損害を生じさせたということになるから、前記に認定の損害は、被告の重過失のよる債務不履行に、原告の重過失が競合して生じたものと認められる。

原告ないしその従業員には前記のような重過失がある。しかしながら、被告は、システムを提供する前提として、発注者としてなすべき回帰検査の確認を怠った上、システムの運用においても、担当者において、売買停止の判断を遅滞させ、その結果として原告の損害を拡大させたものであり、被告の過失はより重大である。その他、本件に顕れた一切の事情を考慮すれば、原被告の過失割合は、原告3割、被告7割と認めるのが相当であり、被告が賠償すべき額は、105億1212万8508円となる。

【コメント】
過失相殺について、本判決が掲載されている金融商事判例1330号21頁の囲み記事では、誤発注をしたことが「取消注文が実現されるような市場システムを提供する義務」の過失相殺の理由になるのかという点は、より深く検討されてしかるべき問題のように思われると指摘しています。商法学者の素朴な疑問として、過失相殺というのは、被告の義務違反との関係で考慮されたり考慮されなかったりするものなのでしょうか。本判決は、いわゆる原因競合のケースにおいて公平な結論を導くために過失相殺の法理に用いているのであり、発生した損害に対する寄与度に応じて責任を分担させようとしているように思われます。

また、上の囲み記事は、火災報知機が作動しなかった場合に、火災を起こした人にも責任があるとして火災報知機メーカーが過失相殺を主張するようなもので、問題があるのではないかという新聞コメントを引いて、興味深いと評しています。しかし、本件では火災を起こした人が原告になっているのであって、第三者の過失を指摘して過失相殺を主張するのとは状況が異なるのではないでしょうか。

どちらの点も、これから民法学者が議論するでしょう。

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