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マーケット・スウィープが争われた裁判例では、いずれも公開買付けに当たらないと判断されました。その理由は、マーケット・スウィープの相手方が、公開買付規制を適用することによる保護を必要としていなかったことに求められています。しかし、マーケット・スウィープの悪性は、この取引に参加できない投資者が不利益を被ることにあるので、取引に参加した者が不利益を受けていないことは理由になりません。

そこで、取引に参加できなかった一般株主の不利益を考えてみると、一般株主がプレミアムを獲得できなかったことそれ自体を問題とする議論はなされていません。一般株主は持株を高騰した価格で市場で売ることができるし、もしマーケット・スウィープは公開買付だとしてこれを実質的に禁止すると、そのことが企業買収を減少させ、一般株主が獲得できるプレミアムの総量を減少させる可能性があるからです。

次に、マーケット・スウィープが許されると、一般株主に市場で株式を売却する圧力がかかるという点ですが、この点の評価は、市場で株を買い集め買付者または防衛者に提供するさや取り業者(arbitrager)の役割をどう見るかにかかっています。どのような者がさや取り業者なのか、当時は想像できませんでしたが、現在であれば、ヘッジ・ファンドがこれに相当するでしょう。さや取り業者は、株式買集めを通じて適切な額まで対象会社の株価を押し上げていくから、さや取り業者間の競争が成り立っていれば、利益の大半は、さや取り業者に株式を売却した一般投資家に与えられるし、さや取り業者は株式保有を集中させることによって買付者に対する交渉力を増し、一般株主が企業買収に際して直面する集合行為の問題を克服できるとして、これを肯定的に捉える見方があります。これに対して、さや取り業者はマーケット・スウィープの持つ「売却圧力」を利用して株を買い集めることができるので、さや取り業者は一般株主から利益を奪っているという見方もあります。

さいごに、マーケット・スウィープが許されると、公開買付けがマーケット・スウィープの前段階としてのみ利用され、本来の企業買収の手段として利用されなくなるという懸念があります。たしかに、公開買付けの目的は、本来、市場で分散保有されている株式を機関投資家やさや取り業者の手に集中させることにあるのではありません。しかし、公開買付撤回後にマーケット・スウィープを行うことに合理性があり、必ずしも弊害を生じていないのであれば(この点は見解が分かれているところですが)、マーケット・スウィープを一律に禁止する必要はなく、その結果として、公開買付けが企業買収方法として利用されなくなってもやむを得ないのではないでしょうか。

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