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神戸大学の研究会で報告するためにアメリカの判例を読んでいました。Pugh v. Tribune Co., 521 F.3d 686 (7th Cir. 2008)です。 この事件では子会社の執行役が新聞の発行部数について虚偽の表示をし、それによって子会社が過大な広告報酬を受け取っていました。2004年2月に広告主が親会社に対して報酬の返還請求訴訟を提起すると、親会社は調査を開始し、最終的に同年9月10日に結果を公表しました。すると、2001年10月から2004年4月までの親会社によるプレスリリース、法定開示書類に虚偽記載があったとして、クラス・アクションが提起されました。子会社が過大な広告収入を得ていますから、子会社の収益が過大計上され、親会社の財務諸表上も収益が過大表示されていたことになります。被告は親会社の執行役らと、詐欺をした子会社の執行役、および親会社自身です。 論点は多岐に亘りますが、親会社執行役については、それぞれが記載が虚偽であることを知っていたか(または知らないことが無謀であったか)どうかが問われることになります。 子会社の執行役は親会社の法定開示書類の作成に直接関与していないため、原告は、当該執行役の第三者(広告主)に対する詐欺が投資家との関係でも詐欺に当たるというスキーム・ライアビリティーの主張をしました。http://blogs.yahoo.co.jp/mousikos1960/6976916.html でも、スキーム・ライアビリティーは最高裁のStoneridge判決で否定されたので、この事件でも第7巡回区控訴裁判所は、子会社執行役の責任を否定しました。 スキーム・ライアビリティーが認められないのは仕方がないとしても、私が疑問に思ったのは、子会社執行役は子会社の財務諸表に虚偽記載をすることを通じて、親会社の連結財務諸表の虚偽記載の作成に関与したといえないだろうかということです。子会社の収益を過大に計上すれば親会社の連結財務諸表に虚偽記載がなされることは当然予想できるからです。原告はこの点の主張をしておらず、裁判所も判断をしていません。 この事件を読んでライブドアの東京地裁判決(平成21・5・21)を思い出しました。同判決は、連結対象の子会社が虚偽の会計処理をした結果、親会社が作成した連結財務諸表が虚偽の内容となっても、当該子会社が親会社と共同で当該連結財務諸表を作成したと評価できるような特段の事情がない限りは、投資家に対する直接の責任は、親会社およびその取締役等が負うとして、子会社の不法行為責任を否定しました。結論はアメリカの判例と同じですが、なぜ不法行為責任を成立をいとも簡単に制限できるのか、私には疑問です。 明日、神戸で報告してきます。
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2010年03月11日
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