|
商事法務1859号45頁以下には、公開買付けに応じて対象会社が自己株式を応募する話が書いてあります。こういうことは想像したこともなかったのですが、ありうる話ですね。このとき、対象会社が自己株式処分の手続をとるのは当然のことですが、次の記載が気になりました。
「会社法上の自己株式処分の手続が行われない場合には、対象者が自己株式を公開買付けに対して応募しても当該株式を買い付けることはできず、金商法違反が生じうる(法27条の13第4項・第5項)。・・・敵対的な公開買付けにおいては問題が生ずることも理論的には考え得る。」
これは、敵対的な買収の場合、対象会社が手続に違反して自己株式を応募すれば、買付者を法令違反に追い込むことができるから、買収防衛策として使えると言っているようにも読めます。果たしてそうでしょうか。
まず、買付者に金商法違反が生じるかどうかですが、会社法上、自己株式の処分は株式発行と同じ規制に服するため、手続違反があっても代表者が処分したのであれば有効であるとするのが判例ですし、そもそも募集株式の発行等の無効の訴えを提起しなければ、金商法違反の主張をする前提として自己株式処分の無効を主張することもできないのではないでしょうか。刑事罰も私法上の効力を前提として考えるかぎり(見せ金の議論を参照)、買付者に金商法違反が生じるとは思われません。
かりに手続違反があれば自己株式の処分を無効だと解するとしても、買付者は無効であれば買ったことにならないだけであって、応募された株式全部を買い付ける義務に違反したとは評価されないのではないでしょうか。これは、応募株主の意思表示が無効であり買付けが成立しなかった場合にも生じる話だと思います。
|
過去の投稿日別表示
-
詳細
2010年03月31日
全1ページ
[1]
コメント(0)
全1ページ
[1]


