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ILAハーグ大会の二日目(私にとっての)は、午前中に国際証券規制委員会のセッションがありました。
委員会ごとに直前にレポートを公表するのですが、今回は、世界金融危機後の各国の対応(とくにアメリカにおけるドット・フランク法の成立)をうけて、報告書はかなり大部なものになりました。興味のある方は、International Law Associationのホームページhttp://www.ila-hq.org/en/index.cfmから入って、Committeeのページをクリックするとたどり着きます。私も少し書きましたが、市場規制の展開というマイナーな分野です。報告書は、ほとんどが事実の羅列で、注も学説ではなく、公式文書ばかりですが、それでも勉強の手がかりにはなります。見出しのみ挙げると、次のような構成になっています。
Part Ⅰ 概観
Part Ⅱ イギリス、EU、アメリカにおけるシステミック・リスク規制の展開
Part Ⅲ 市場規制の展開
Part Ⅳ コーポレート・ガバナンスの最近の争点:機関投資家の規制
Part Ⅴ 資産運用(アセット・マネジメント)
Part Ⅵ イスラム金融の展開
Part Ⅶ 世界金融危機後の金融規制・監督分野におけるG20の国際協力
セッションは報告書の内容をざっと紹介して質疑応答をするもので、私も自分が書いた部分について報告しました。報告書には書いていない話で面白かったのは、システミック・リスクとは何か。金融危機前は、市場が機能していればシステミック・リスクなんてないという議論もあった。システミック・リスクの監督なんて本当にできるのだろうか。規制のツイン・ピークス・モデルは有効か。システミック・リスクの監督と行為規制(conduct of business rule)を分離するというが、過剰な貸付の禁止はどちらか。といったところです。
午後は、金融危機という短いセッションに出た後、International Monetary Lawのセッションに出ました。ここも銀行救済の話が中心で、Fed(連邦準備制度理事会)がBear SternsとAIGを救済してLehmanを救済しなかった内幕、ドット・フランク法の内容など、報告書には書いていない興味深い話が出ていました。こちらも、私が面白いと思った話を羅列してみます。証券委員会の議論とかみ合わない部分もあります。
マクロ・プルーデンスとはFedの人間が造った言葉で、それまでは存在しなかった。ドット・フランク法は、マクロ・プルーデンス規制を入れる代わりに、too big to failを認めないことにした。マクロ・プルーデンス規制は、システミックに重要な金融機関か否かだけで規制を変えることなので、機能別の規制(ファンクショナル・レギュレーション)の終焉を意味する。
もっとも、最後の点には異論があります。行為規制は機能別の規制として残るはずで、だからこそアメリカでもツイン・ピークスになったと言われているのです。報告者がFedの元メンバーであったことが関係しているのでしょう。
夜は、騎士の館(写真)で夕食会。ここは国会議事堂で、女王が開会宣言をするのですが、実際の国会はアムステルダムで開かれるようです。
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2010年08月19日
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