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格付業者の規制(1)

番組の途中ですが、
今年の金融法学会で格付業者の規制について報告します。ところが、報告用の金融法務事情に掲載した原稿はアメリカでドッド=フランク法が成立する前に書いたので、学会報告に向けて、今頃になってドッド=フランク法の条文を読んでいます。格付機関(rating agency)は、全国的に認知された統計格付組織(nationally recognized statistical rating organization、NRSRO)として扱われたい場合には、登録することができるという基本的な仕組みをドッド=フランク法は変更していませんが、規制の内容については、最終的にはSECが制定する規則に委任するものの、かなり細かいところまで法律に書き込んでいます。
 
格付機関の規制は、Subtitle C- Improvements to re Regulation of Credit Rating Agencies 信用格付機関の規制の改善に規定されていますが、その最初の条文である931条は(これは性質上法律とはいえない内容ですが)、議会は次のことが分かったとして5項目を挙げています。以下に、それを訳してみます。
 
(1)信用格付機関が資本形成、投資者の信頼、およびアメリカ経済の効率的な発展にとって中心的なものになるにつれ、信用格付の制度上の重要性、信用格付に対して個人投資家、機関投資家、および金融規制当局が寄せる信頼に鑑みて、NRSROを含む信用格付機関の行動および成績は、国益(national public interest)の問題といえる。
(2)NRSROを含む信用格付機関は、デット市場における重要な「ゲートキーパー」の役割を果たすのであり、その役割は、エクイティ市場において証券の質を評価するアナリスト、企業の財務諸表を審査する監査人の役割に類似するものである。
(3)信用格付機関は、他の金融ゲートキーパーがするのと同様に、顧客のために評価的分析的サービスを提供するのであるから、信用格付機関の活動は、基本的に商業(commercial)の性質を有するものであり、したがて監査人、証券アナリスト、および投資銀行に適用されるのと同様の責任基準・監視基準に従わなければならない。
(4)一定の活動、とくにストラクチャード金融商品のアレンジャーに、当該商品の潜在的な格付を助言する場合に、信用格付機関は利益相反の問題に直面するのであり、当該利益相反は、注意深く監視され、SECに明確な権限を与えるために立法で明示的に対処されるべきである。
(5)最近の金融危機において、ストラクチャード金融商品の格付が不正確であったことが明らかになった。このような不正確は、金融機関および投資家のリスク管理の失敗に大きく寄与し、それが今度は、アメリカおよび世界経済の健全性に悪影響を与えた。このような不正確性は、必然的に信用格付機関の問責性(accountability)を増すものである。
 
ここには、信用格付機関に対する厳しい態度が表明されています。信用格付機関はこれまで言論の自由の名の下で守られてきたが、やっていることは商売でしょ。証券アナリスト、監査人、投資銀行と同様の民事責任を負い、監督を受けて当然である。しかも金融危機の元凶をなしたのだから、責任が強化されても仕方がない。こう言っているわけです。しかも、これは単に議会が政治的態度を表明したというだけでなく、格付が誤っていたことを理由に行政処分を下せるように読める条文や、信用格付機関がrule10b-5の責任を負うことを前提として、責任追及を容易にする条文が置かれているのです。

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