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金商法2条4項の「有価証券の売出し」に該当する場合でも、4条1項各号に当たる場合には、届出が免除されます。届出が免除される場合には、目論見書の作成・交付義務も免除される場合とそうでない場合とがあるのですが、目論見書の作成・交付も要らない場合の一つとして、今回、「外国証券売出し」が加えられました。前回書いたように、売出しの定義の改正で、海外発行証券の国内転売は「売出し」に当たり得ることになったのですが、そのうち、少人数私売出しに該当しないものがここに流れてきて、外国証券売出しに当たるものと、それ以外の開示義務が生ずるものとに分かれることになるわけです。そして、外国証券売出しに当たる場合に、さらに、簡易な情報提供(外国証券情報の提供・公表)が求められるものと、そうでないものとに分かれます。
まず、「外国証券売出し」とは、外国で既に発行された有価証券(国内発行の際の取得勧誘が外国で行われたものを含む)の売出し(金商業者等が行うものに限る)のうち、国内における売買価格に関する情報を容易に取得できるものとして政令で定める要件を満たすものとされています(4条1項4号、令2条の12の3)。外国証券売出しについては、日本国内で開示が行われている場合と同視して、届出を免除するのです(ただし、簡易な届出が求められる場合あり)。
施行令2条の12の3各号では、海外発行証券ごとに要件を定めていますが、その基本(法律規定部分を含む)は、①金商業者等が売出しを行うこと、②インターネット等の利用により、国内での売買価格に関する情報の取得が容易であること、③外国において継続的に売買されていること、および④インターネット等の利用により、発行者に関する情報(日本語又は英語に限る)の取得が容易であることです。①は、簡易な情報提供を確保するためのものです。各号に列挙されていない有価証券は届出免除の対象とならないので、仕組債や証券化商品は対象になりません。投資判断の難しい証券には免除を認めないためです。
つぎに、外国証券情報の提供・公表(金商法27条の32の2第1項)ですが、これも不要な場合(同項但書)を先に説明しましょう。「証券情報等の提供又は公表に関する内閣府令」(情報府令)13条各号のいずれかに該当するときは、外国証券情報の提供・公表も不要となり、結局、開示なしに発行できることになります。それらの場合とは、①発行者が他の有価証券について有価証券報告書を提出しており、かつ当該売出し外国証券に関する証券情報を提供・公表している場合、②発行者がプロ向け市場の発行者で、かつ証券情報を提供・公表している場合、③外国国債等と同種類の有価証券の売買が2以上の金商業者等により継続して行われることが、証券業協会により確認されている場合、および④売出しの相手方が適格機関投資家である場合です。
これらのうち①は、義務を負うと開示を求められる証券情報を開示していれば義務を免れると言っているわけですが、「証券情報を提供・公表している場合」とはどのような場合を想定しているのか、分かりませんでした。②は、プロ向け市場の発行者の開示は簡易化されたもので法定開示ではないため、ここに規定する必要があるのでしょう。③が主に想定されている例です。立案担当者の解説では、これらの有価証券が国内において流通していれば、これらの有価証券またはその発行者に関する情報は投資者に周知され、または投資者はより容易にこれらの情報を入手することができると考えられることから、情報提供・公表義務を免除したと説明しています。なぜ、外国国債、外国地方債、外国特殊法人債に限って、そうなのでしょう? 私の理解は、どの国でも自国の国債、地方債、特殊法人債は開示の適用除外証券としているので、外国で流通する場合に限って開示を求められても困る(日本だって困る)というものです。これらの有価証券を開示の適用所帯証券(金商法3条)とすることも考えられるのですが、範囲を適切に画することが難しいので、その代わりに③の要件を課したと考えたらよいのでしょう。④は、適格機関投資家が当該証券を金商業者等または非居住者以外に譲渡しないことを条件に取得する場合に限って、情報提供が免除され、かつ、適格機関投資家が請求した場合には情報を提供しなければなりません。趣旨は15条2項1号と同じで、規制が尻抜けにならないようにするために、このような複雑な規定になったのでしょう。
金融法務事情の最新号に、「『課徴金事例集』にみる金融商品取引法上の論点」という論文(というよりコメント)を発表しました。
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2010年10月29日
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