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目論見書の作成義務を定める3条1項は、目論見書の作成主体を明示していません。国内法では、発行者に目論見書作成義務を課すことになると思われます。目論見書には、投資者が情報に基づいた評価をするために必要なすべての情報が含まれていなければなりません(5条1項)。目論見書指令では目論見書の内容の一般原則のみを定め、詳細な開示内容は委員会規則(レベル2)に委任しています(7条1項)。IOSCOの国際基準やIFRSの内容は委員会規則の段階で反映されます。
目論見書の様式には、単一目論見書(single prospectus)と三部形式文書(tri-partite document)があり、さらに、プログラム発行のための目論見書が用意されています(5条3項4項)。三部形式文書は、一括登録に用いるもので、登録文書、証券ノート、サマリー・ノートからなり、登録文書には発行者情報、証券ノートには証券情報を記載します。目論見書には要約情報の記載も求められます(5条2項)。この要約部分については、加盟国は、法律を制定して、母国語に翻訳するよう求めることができます。言い換えると、要約部分以外については翻訳義務を課すことはできなくなりました。
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(以下、私見)この辺りは、証券実務を反映したものであるため、日米の制度と似通っています。一括登録は日本法の発行登録に相当します。母国語による要約は、日本では英語開示の文脈で議論されているところですね。
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作成された目論見書は、発行者または募集者の本国である加盟国による承認を受けなければなりません(本国の選択基準は前回説明しました)。そして承認を受けた場合には、承認後、遅滞なく、募集または上場よりも「合理的な時間だけ前もって」(at a reasonable time in advance of )、かつ、遅くともその開始時期までに(at the latest at the begining of )、目論見書を公表しなければなりません(3条1項2項)。
目論見書(募集の場合)は、①募集が行われる国で読まれる新聞への掲載、②発行者および募集に従事する業者の事務所において、無償で紙媒体の目論見書の交付を受けることができるようにすること、または③発行者または募集に従事する業者のウェブサイトにおいて電子的様式で利用可能にすること、のいずれかの措置がとられたときに「公表された」ことになります。①または②を採用したときは、投資家の要望があれば③も求められます。③を採用したときも、投資家の求めがあれば無償で②が行われなければなりません。参照方式をとる目論見書では、参照先の情報は、別途、①〜③の方法で無償で利用可能にしておく必要があり、それで足ります。
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(以下、私見)目論見書の交付義務の問題は、少なくとも指令レベルでは、目論見書の公表の方法によって対処されているように思われます。新聞、事務所、ウェブサイトのいずれかで公開するとともに、請求があれば個別に交付する義務が、発行者・業者に課されていると見ることができるでしょう。しかし、指令レベルの交付義務は、日米の証券法ほど厳格なものでもないようです。
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